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私の白い結婚  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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二人の会話

 義母とのティータイムを終え、自室へ戻ろうとしたが、夕食までまだ時間がある。かつ未だ屋敷の案内をしてもらっていなかった。


 ある程度はどこに何があるかは分かってきている。

 でもこの機会に案内してもらってもいいかもしれない。


 そこでヘッドバトラーのジェフにこの件を頼もうと、彼がいる確率が高い執務室へ向かうため、廊下を歩いていると……。


 男性二人の話し声が聞こえてきた。


 それはライルとベルナード。


 その瞬間。


 階段の手すりの影に隠れてしまった。


「それでは無理ですよ。明日もう一度ですね」


「分かった。本当はベルナードが」


「勘弁してください。さすがにそれは……」


 何の話をしているのかしら?


「ともかく今晩もちゃんと夫婦の寝室には行ってください。マナーですよ、初夜から一週間は、夫婦の夜を過ごすのが」


「そうか……。確かにそうだな。分かった」


 そこで会話が聞こえなくなる。

 会話は聞こえなくなった。

 だが何の話をしていたのかは、分かった。


 どうやらライルはベルナードに、私との白い結婚について、相談したようだ。

 すると夫婦としての営みがなくても、新婚であれば一週間、夜は一緒に過ごすようにとアドバイスを受けた。


 でも最初の会話は何の件か、分からない。

 ただ明日もう一度、ライルは何かをするようだ。

 何をするのかしら……?

 私達の白い結婚と関係すること?


 気になった私はある案を思いつき、部屋に戻ることにした。


 ◇


「まあ! 街を案内したのに、屋敷や離れ、敷地内の案内がまだだったなんて! ライル、ちゃんと案内してあげないとダメよ」


「そうですね。アイリ、申し訳なかったです。明日、早速案内します。朝食後はどうですか?」


 夕食の席で私は、母屋、離れ、敷地内の施設について、まだ案内してもらっていないと話した。それを聞いた義母が声を上げ、ライルは予想通りで案内を申し出てくれたのだ。


「ご案内いただけるということで、ありがとうございます。朝食後、つまり午前中ですよね。私は午後でもいいのですが……」


「申し訳ないです、アイリ。午後は少し外出の予定があるのです」


「あら、ライル! また出掛けるの!? 結婚休暇は明後日までなのでしょう? ティータイム、また私とアイリさんの二人にするつもり?」


 義母に問われたライルは、たじたじになりながらも答える。


「母上、明後日は土曜日で、翌日は日曜日。よって休みになります。明日の午後はどうしても外せない用事がありまして……。でも明後日はちゃんとティータイムを一緒に過ごせます」


「そうなの。それにあなた、休暇が終わったら王都へ戻って、騎士団の宿舎に戻るのでしょうけど……。新婚なのだから、アイリさんをここに置いてきぼりは可哀そうよ。タウンハウスはどうなっているの?」


「それについては先日見つけた物件で、購入の手続きを進めています。ですが実際に住めるようになるまでは……三か月程かかります」


 タウンハウス、見つけていたのね…!


「母上、そのタウンハウスの件は、準備が整ったらアイリにサプライズで知らせると話していたのに」


 ライルが少し拗ねたようにそう言うと、義母は「あ、そうだったわね。ごめんなさいね、ライル」と素直に謝った。一方のライルは「仕方ありません」と答えた後、私を見る。その瞳は……やはりこれまでの通りの優しい眼差しで、それを見た私は泣きそうになっていた。


 白い結婚なのに。そんな眼差しで私を見るのはズルいと。


「アイリ、タウンハウスが用意できたら、ぜひ一緒に王都へ来てくれませんか。団長という職務上、王都滞在が求められるので。あなたがタウンハウスにいるならば、騎士団の宿舎は解約します」


「ええ、そうした方がいいわ。まだアイリさんはお若いのだし。私も元気になったらお邪魔させていただくわ。それでタウンハウスの準備が整うまではどうするつもりなの? 週末だけこの領地に帰ってくるつもり?」


「いえ、それは非効率なので、王都のホテルを三カ月、押さえています。アイリには不便をかけるかもしれませんが、そのホテルの部屋に滞在してもらうつもりです」


 もうこの話にはビックリ!

 しばらくは王都に戻ることはないと思っていたのに。

 でも薔薇石英を広く王都の貴族達に広めるには、社交界に顔を出す必要があった。ゆえにホテルに滞在してでも、王都にいる意味は……あると思えた。


「タウンハウスの準備ができるまで、王都のホテルで滞在する件。ライル様の妻として、当然と思います。ライル様の指示に従う所存です。そしてタウンハウスが用意できたら、そちらに滞在する件。こちらも承知いたしました」


 私が答えると、義母とライルが笑顔になる。

 それを見た私も、自然と笑顔になってしまうが。


 私達はあくまで白い結婚。

 気を抜くと、ライルが私といたいと思い、ホテルの部屋を用意しているように思えるが……。


 違う。


 あくまでこれは、薔薇石英を貴族へ広めるためだ。


 それに。

 明日の午後。

 ライルは何か予定がある。義母や私に詳細を明かさない予定が。

 それが何であるのか、調べてみよう――。

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