↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の白い結婚  作者: 一番星キラリ@商業ノベル&漫画化進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/112

一体全体何の話……?

 そもそもなぜ、私だったのか。


 その疑問を思わず口にすると、ベルナードはこんなことを話しだした。


「ザーイ帝国との激戦で、騎士団の一部が、敵陣の近くで孤立してしまったことがあったのです。大局を見た時、彼らの救出はリスクでしかなく、時間の無駄と判断できます。指揮官によっては切り捨てる選択もしたでしょう。でも主(あるじ)は彼らを見捨てず、自ら救出へ向かったのです」


「! それで大丈夫だったのですか!?」


「それはもう一歩間違えれば、死を覚悟するような状況でした。あ、わたしも同行しましたが、本当に大変でしたよ。まさに死の淵ぎりぎりを走り抜けるような状況。そこで主はこう言っていたんです。『自分はここで死ぬわけにいかない。ザーイ帝国を退け、平和を手に入れ、王都に戻ったら、成し遂げたいことがあるから』と。そして王都に戻った団長は、国王陛下に謁見し、今回の戦の報告をして、そして――」


 そこでベルナードはニッコリ笑う。


「そろそろ結婚したい、伴侶が欲しいと言い出したのです、国王陛下に。そして褒賞として良き結婚相手を紹介して欲しいと」


 これまでライルに色恋沙汰の話は皆無。

 それもそうだ。

 騎士見習いとなってから、練習と訓練に励み、正式な騎士に叙任されてからは任務に邁進。社交界デビューの時でさえ、ちょろっと舞踏会に顔を出し、その後すぐ、夜勤についたという。団長に就任してからは激務の日々で、そしてザーイ帝国との最前線へ向かった。


 確かにこれで恋愛をしていたら奇跡だろう。


「国王陛下は公爵家の令嬢も含め、よりみどりで選ぶといいと主に伝えたようですが……。侯爵になったとはいえ、出自が平民であることを踏まえ、絞り込んだ結果」


 そこでベルナードは私をまっすぐに見る。


「ミルフォード伯爵令嬢、あなたが選ばれたのです!」


「!? どう絞り込んでそうなるのですか!? 公爵家を外したのは分かります。男爵家か伯爵家となった時。侯爵家ですから、伯爵家に絞り込んだとしても……」


 そこで気が付く。


「社交界の華であるユーリを希望したら、他の貴族を敵に回すと思ったのですね。私は縁談話もなく、社交界でも目立たない。そんな私と結婚するとなっても、誰も文句は言わない……」


「どうしてそんなにご自身を卑下されるのですか!? 国王陛下は沢山の釣書を主(あるじ)に見せたと思います。性格はあの通り。真面目で実直。誠実な主はきっと釣書を一つずつ見て、そしてミルフォード伯爵令嬢の何かにピンと来たのではないですか」


 それは絶対に違うと思う。間違いなく、私の推理が正解だ。


 平民出身の侯爵。

 波風を立てたくないのなら、王都から外れたこの領地を賜ったことも、私という目立たない妻を得たことも、大正解!


「ミルフォード伯爵令嬢、あまりご自身のことを」


 ベルナードが語り始め、彼の顔をじっと見つめたその時。


 気配を感じ振り返ると、目の周りをふわりと赤くしたライルがそこにいた。

 ライルは既に二十歳なのでお酒を飲んでいる。

 どうやら少し、酔いが回っているようだ。


「ミルフォード伯爵令嬢、騎士達は放っておくと朝まで飲み続けます。特に翌日、任務がないとなると底なしです。明日は弔いの儀式も午前中にありますし、そろそろお休みになった方がいいのではないでしょうか」


「そうですね。ではそろそろ退出させていただきます。……騎士の皆様にご挨拶を」


「しないでいいです」


 そう答えたライルはなぜかベルナードに鋭い一瞥を送った。

 酔っている……と思ったが、その一瞥を見るとしらふに思える。


「主、誤解です。わたしは主の懐刀であり、忠誠を誓っています。決して騎士道に反する下心はありません」


「……信じよう、ベルナード」


 一体全体何の話……?


 そう思ったがライルが私に手を差し出すので、慌ててソファから立ち上がった。

 ライルの手に自分の手を載せると……。

 彼の手は温かい。

 やはり酔いは回っているようだ。


「皆にはミルフォード伯爵令嬢は、昨晩の疲れもあり、先に休んだと伝えてくれ」

「御意」


「行きましょう、ミルフォード伯爵令嬢」


 ライルがことさら美麗な笑顔を向けるので、これにはドキッとしてしまう。

 さらにエスコートされ、歩き出すと、不思議な気持ちになる。

 本当にこのライルと私は、明後日、婚姻関係を結ぶのかと。


 ライルと結婚することにためらいはないが、未だ現実とは思えない。

 もしユーリがライルを事前に一目でも見ていたら、間違いなく「私が騎士団長と結婚します!」と即答していそうだ。そんなライルと私が……。


 気付けば可愛いドレスも、ティータイムのお菓子も、オモチャも全部。

 ユーリがまず選び、残った方が私、という扱いだった。

 自分が欲しいと思ったり、気に入ったりしたものが手に入ることは……なくて当然の子供時代を過ごし、そしてそのまま大人になった。だからこそ、自分が好きだと感じたライルと結婚できることは……とても嬉しい。


 例え彼自身が、平民出身の初代ウィンターボトム侯爵として、貴族社会で上手く立ち回るため、私を選んだのだとしても。


「……今日は沢山の騎士がいました。皆、ミルフォード伯爵令嬢、あなたのことを気に入っています。……あなたはどうなのでしょうか?」


 またも考え事をしている間に、部屋の扉の前まで来てしまった。

 そして前回と同じ。

 扉の前で立ち止まったライルから尋ねられた。


「沢山の騎士の皆様には、最初、緊張しました。でもお義母様やウィンターボトム侯爵様が私の良い所を紹介くださったおかげで、騎士の皆様は気さくに話しかけてくださり……。侯爵様の部下なだけあって、皆様、とても素敵です」


「……! 素敵というのは、どういう意味でしょうか……? まさかカーンのように、筋骨隆々な男性がお好きですか? それともルイスのように、騎士でありながらも博学なタイプが好きなのですか?」


「????? そう言う意味では」「ミルフォード伯爵令嬢」


 私の言葉に被せるように声を発したライルは、エスコートしていた手を離し、私の頬に添える。


「ダメです。あなたは自分と結婚するのですから」


 不意に近づいた顔。

 一瞬お互いの鼻先が触れ、ライルの吐息を感じる。


 さらに距離が縮まり、唇が重なる……!

お読みいただき、ありがとうございます!

嬉しいお知らせと完結作をご紹介させていただけないでしょうか。


とあるコンテストで4作品が一次選考を通り

応援下さる読者様に感謝の気持ちでいっぱいです。

いつも本当にありがとうございます☆彡


【お知らせ】完結、一気読みできます!

日間異世界転生恋愛ランキング8位(2024/10/30)

『断罪終了後に悪役令嬢だったと気付きました!

詰んだ後から始まる大逆転』

https://ncode.syosetu.com/n7805jo/

ページ下部にバナーがございます。

ご覧いただけると幸いですヾ(≧▽≦)ノ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページやタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●9/2発売●
バナークリックORタップで書報ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●本編完結●
バナークリックORタップで目次ページ
やらかしてしまったモブ令嬢です
『やらかしてしまったモブ令嬢です 』

●新連載●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに
『悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●出版社特設サイト●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!②
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!② 』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』は
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

●胸キュンな恋物語●
バナークリックORタップで目次ページ
せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~
『せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~ 』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。