【特別編】LoveLink Week(6/6)
「アイリ。心から感謝します。君の手作りのチョコレートを食べられることに。自分のためにアイリが労力を掛けてくれたことが……とても嬉しいです」
改めて御礼の言葉を口にして、隣に座る私のことを、キラキラした瞳で見つめる。
「期待に応えることができているといいのですが……。ライルが気に入る味か、少し心配です」
あまりにも眩しい眼差しに、ちょっぴり不安になってしまう。
その気持ちを伝えると……。
「アイリが作ってくれた。その事実だけで胸がいっぱいです。例えチョコレートが塩辛くても、文句はありません」
流石に砂糖と塩の入れ間違いはない。
でもこの言葉でよく分かった。
ライルはどんなに下手で不味いものでも、私の手作りだったら気にせず食べてくれるのだと。
「ありがとうございます。そこまで言っていただけたら、安心です。ぜひ召し上がってください!」
「アイリは食べないのですか?」
「私は味見もしているので大丈夫です。あっ、毒味が必要であれば」
するとライルはチョコレートの入った箱を手にとり、首を振る。
「毒ありでも食べます」
「入れてませんよ(笑)」
「では遠慮なく全て頂きます!」
ライルは早速、包装紙から丁寧に箱を取り出すと、蓋をパカっと開ける。
「これは……コロンとしたハート型のチョコレート。初めて見ました」
「そうですね。特注の木型で作ったものです。カフェで売っているチョコレートは平面のハート型。これは来年の販売を考えている、特別なハート型のチョコレートです」
「アイリの特別……ますます嬉しくなります」
ライルはそう言うと、ビターチョコレートから食べ始める。
「これは……ほろ苦さにカシスの甘酸っぱさが混じり、実に美味しいです。まさに大人のチョコレートですね」
「はい! 『RE:LoveLink Week』のコンセプトはオトナの味わいなので」
「対してこちらのミルクチョコレートは、カシスリキュールの甘さが際立ちますね。ビターチョコレートの後だからなのでしょうか。なおのこと甘さを感じます」
ライルがとろけそうな顔になっている。
その後もパクパクとチョコレートを食べすすめ、あっという間に平らげてしまった。
「お楽しみ頂けましたか?」
「ええ。存分に。ありがとうございます、アイリ。そして美味しいチョコレートの御礼をしないといけないですね」
ライルはブラックティーを一杯飲むと、私に向き合う。
「御礼、だなんて。これは『LoveLink Week』の私からのお返しですから」
だがライルはトロンとした瞳で私の顎を持ち上げると、そのまま唇を重ねる。
そのキスが思いがけず激しいものだったので、思わず息が上がってしまう。
「ライル……」
息を乱した声で、その名を呼ぶと……。
「カシスのリキュール。あんなに入れられては、酔ってしまいます……」
「……!」
通常は大さじ2杯程度のカシスリキュールだったが。ライルはお酒が強そうだったので、ちょっと増量したのだけど……。
ちょっと……ではなかったのかもしれない。
ライルは熱い息を吐きながら、ドレスの上から私に触れ……。
「ラ、ライル、えっ、ソファで!?」
「……ダメですか?」
とんでもなく甘い声。そしてうるうるの瞳の上目遣い。
それを見た私は、体の芯がキュンと震えてしまう。
「……ダメではないです。ただ狭いですし……」
するとライルがフワリと優しく笑い、いとも簡単に私を抱き上げる。
「では寝室へ。明日は昼過ぎまで、アイリのことを離しません」
「執務はいかがなさるのですか!?」と聞く前に、キスで口を塞がれている。
しかもそのキスは……深い!
甘美な痺れが走り抜け、ライルにギュッと抱きついてしまう。
「たまの寝坊ぐらい、ベルナードがなんとかしてくれます」
抱きつく私に応えるように、ライルも私のことを強く抱きしめてくれる。
でもライルの顔は私の胸元にあるから……。
谷間をなぞるようなキスをされ、たまらず甘い吐息が漏れてしまう。
「アイリ……」
私の吐息に被せるように、ライルがキスを繰り返し、ベッドへと私を横たえる。
もう何度も繰り返すことで、ライルはドレスを脱がす達人だった。さらに自身のタイもシュルと外し、上着もシャツも、あっという間に脱いでしまい……。
重なる肌はいつもより熱く、酔っていると分かるもの。そしてその手が太ももを優しく撫でていく。
「あっ」
短く声を出した後は、もう荒い息遣いが止まらない!
カシスリキュール入りのチョコレートで、甘々に酔ったライル。
宣言通り、翌日の昼まで……溺愛だった!
お読みいただき、ありがとうございました!
主人公達の溺愛編でした〜