#3 第一の噂「校舎を徘徊する人体模型」③ ~調査~
「あ、そうだ!渡り廊下から出られねえか!?」
教室を出た途端、龍がひらめく。渡り廊下の側面は壁に覆われておらず外の空間と繋がっているため、龍はそこからなら出られるのではないかと思った。
「なるほどな。それで、渡り廊下はどこにあるんだ?」
海凪はこの学校に転校してきたばかりでまだ構造を知らない。
「この階にあるぜ。どのみちそこを通らねえと中校舎にある物理準備室には行けねえしな」
現在海凪たちがいるのは南校舎4階。南校舎と中校舎を繋ぐ渡り廊下は、2階と4階に存在する。
海凪は物理準備室へのルートを頭に入れ歩き出す。
そして渡り廊下に向かおうと歩き出した時──
「来る…!」
「えっ。来るって?……どこ!?」
海凪の言う相手が人体模型ということは龍にもわかったが、どこにもその姿がないため、いまいちピンときていない。
「走るぞ瓦くん!しっかり捕まっててくれ!」
「おわっ!」
しかし海凪は有無を言わさず走り出す。そしておよそ2秒後、その渡り廊下のほぼ正面にある階段の角から人体模型が現れた。
「うわっ!きた!」
「ハハ、ミツケタ」
人体模型は海凪たちを視界にとらえた瞬間、相も変わらず綺麗なフォームで走り出した。
「はえぇ…!!」
人体模型を見て龍は少し震え気味に感嘆の声を上げたが、差は縮まるどころか少しずつ離れて行ってるように感じた。
「ちょっ、どんな身体してんだ深代…」
龍は海凪の異常な身体能力を再び肌で感じ、驚きのあまり段々と人体模型に対する恐怖は薄れていた。
「ところで、なんで人体模型が来るってわかったんだ?」
海凪が全速力で走ってる最中ということは承知の上、どうしても気になった龍が海凪に問いかける。
「昔から人のマイナスの感情には敏感でな。そういう気配が遠くからでも分かるんだ。特に都市伝説として現れる魂なんて、基本負の感情の塊だから分かりやすい」
あまりに淡々と答えるので、龍は
「…深代って、すげえな」
という当たり障りのない感想しか出てこなかった。
そんな会話をしてる中でも人体模型の足は止まらない。カタカタと異様な音を鳴らしながら追ってくる。両者はほぼ互角のスピードで廊下を走り回る。
「持久戦はまずいな」
普段よりも3倍近くの体重を抱え、しかも不安定な状態で走ってるため、海凪の体力の消耗は通常よりも激しい。
「瓦くん、保健室は?」
「えっと、この校舎の1階だ」
人体模型の仕業で1階には行くことができない。
海凪は人体模型に気を配りながらも、何かを考えている様子だ。
「…瓦くん、今から物理準備室へ向かう。俺が人体模型さんと鬼ごっこしながら渡り廊下から出られないか確認する。その間に瓦くんは魂の未練を解消するための手がかりを探してくれ」
「…よっしゃ!任せろ!」
ずっと追いかけ回され続けては埒が開かない。そう判断した海凪は二手に分かれて行動することを決断した。
「まずは案内を頼む!」
「オッケー!そのまままっすぐ!そこ左!」
南校舎と中校舎をつなぐ2階の渡り廊下に出る。目視ではこの渡り廊下から出られる(飛び降りるというべきか)か分からない。
「そこの階段登って、向かって右の突き当たり!そこの物理室の中にある!」
「サンキュー!」
人体模型と一定の距離を保って、目的地に辿り着いた。
「ってそうだ!鍵!鍵どうすんだ!」
物理準備室以前に物理室に入る術がなく、一度諦めたのを思い出す。しかし、海凪に焦りの色は見えなかった。
「大丈夫。多分開いてる」
そして扉の取手につま先をかけ、サッカーのボレーシュートのように勢いよくスライドさせると、海凪の予想通り扉はスッと開いた。
「まじかっ!」
龍が驚いてるのをよそに、海凪は龍たちを一番後ろの長机の下に隠した。女子生徒に関しては自身の制服のブレザーを下敷きにして寝かせた。
「なんで──」
「知って欲しいんだよ、自分のことをな」
なんで扉が開いたのか、そう聞き終わる前に海凪は先回りして簡潔に答えた。
「じゃあ後は頼む。多分連絡は取れないから、10分後ぐらいにも一度来る。足、無理すんなよ」
「おう!深代も気をつけろよ!」
そのタイミングで人体模型が入って来た。
「ホンキ、ゼンリョク…」
その声を聞いて海凪が長机から顔を出す。そして人体模型も海凪に気づき、再び海凪目掛けて走り出す。
(この魂は理性がないタイプのように見える。だから瓦くんたちの存在にも気づかないはず。それに…)
海凪の狙い通り、人体模型は海凪を完全にロックオンしており、龍たちに気を配るそぶりも見せない。
うまく躱しながら一つしかない出入り口から出ることに成功した。そして距離を離しすぎないようにスピードを緩めて走る。
(よし、ついて来てるな。…それに、この魂、俺たちに対する敵意や害意はほとんど感じられない。そして、恨みというより未練だ。…本気、全力、か…)
魂の未練がなんなのか、少ない情報で色々と憶測を立てるももちろん答えは出ない。
そうこうしているうちに、目的の渡り廊下に辿り着いた。
渡り廊下の壁に足を掛ける。海凪の経験上、何かに閉じ込められている時は、見えない壁によって阻まれることがある。しかし今回はなんの障壁もなかった。
(普通に出られそうだな。…高さは約5メートル。問題なし)
海凪が状況を確認し始めて2秒後、人体模型がすぐそこまで迫ってきた。
(まずは二人を逃してその後なんとかするか)
そう決めた海凪は人体模型の追跡を華麗に避け、10分と待たずに龍たちの元へ向かった。
海凪が人体模型を引き連れて物理室を出てすぐ、龍はケンケンで物理準備室に入って行った。
「くれぇな」
何かを探すには暗すぎる。そう思い龍はスマホのライトをつける。
「…は?……0時13分…?」
そしてスマホ画面の違和感に気づく。ホーム画面に表示されている時間が明らかにおかしいのだ。
龍が校舎に入ったのはおよそ19時45分。しかもスマホの時計がバグるとは考えにくい。確実に何かが起きている。
「…後で深代に伝えるか」
しかし龍はこの短時間で様々な異常を体験したため、驚きはしたものの冷静に現実を受け入れた。
そして物理準備室の探索を続行する。実験を行うための器具や、多少の薬品類が棚に整頓されてある。部屋の中央に置かれた机には筆記用具やノートなどか無造作に置かれていた。
その中に、龍の目に留まったものが一つ。
「これは…写真?」
龍がなぜ気になったのか。それはその写真のクオリティが今の時代に似つかわしくないものだったからだ。
その写真は無彩色の白黒で、所々傷が入っており、そこに写る人たちの雰囲気も昔の人という印象を受ける。
「…陸上部の集合写真か…。後ろに写っている校舎は、この学校っぽい?…にしてもずいぶんと昔のやつだな」
その写真は学校の陸上部の集合写真のようで、これまで手にした賞を膝の上に置き、姿勢正しく石段に座ってる様子が写されていた。
龍が写真の裏を確認すると、『1965年度 赤青高校陸上部 卒業アルバム用』と記されていた。
そしてその中で、龍は一人の人物に違和感を覚えた。
全員笑顔とは言わないまでも穏やかな表情をしているが、一人だけ明らかに怠そうな表情をして視線をカメラから外しており、座っている位置もみんなから離れている。
「この時代ならめっちゃ怒られそうだけど」
龍のイメージとして、この時代の部活はスパルタだというものがあった。実際のところは分からないが。
ちょうどそんな想像をしていたところで、物理室の扉が開く音がした。
「10分経ってねえよな…。ってことは!」
龍は人体模型が来たと思い、一人取り残してる女子生徒を守るために、ケンケンで物理室に戻る。
「って深代か……。焦ったぜ…」
しかし扉を開けた相手が深代だと分かった瞬間、安堵でその場にへこたれた。
「驚かせたな、悪い」
「いや、無事でよかったぜ。それより人体模型は?」
「遠回りして巻いてきたから、しばらくは来ないと思う」
「おおそうか!さすがだぜ!」
「んっ……」
二人の話し声に反応したのか、机の下で寝ていた女子生徒が小さな唸り声を上げる。
「おい!大丈夫か!?」
その声に反応した海凪が一目散に駆け寄り、体を優しくゆする。
「ん…、ここは……」
女子生徒はゆっくりと目を開け、はっきりと言葉を発した。
「…そうだ、私…忘れ物を、取りに来て…。っ!」
記憶を辿っていた女子生徒が思い出したくないものを思い出し、顔を青ざめた。
「大丈夫ですよ。俺たちがいますから」
その様子を見てすかさず海凪が、女子生徒と目線を合わせ優しく話しかけた。
「あなたは…。…助けて、くれたんですか?」
「貴女を助けたのは彼、瓦くんが」
女子生徒は海凪に尋ねたが、海凪は龍を手で示した。
「そうなんですね。ありがとうございます…!」
優しく、安心したような、それでいて少し無理をした笑顔を龍に向ける。しかしその瞬間、龍の心臓は跳ね上がった。
「い、いや〜。なんてことないっすよ」
(やべえ、よく見るとめっちゃ可愛い!!多分上級生だよな。後で連絡先交換してもらお!)
見かけではただ照れているように見えるが、内心は後付けの下心で埋め尽くされている。
龍が一人高揚してる中、女子生徒は自身の身に違和感を感じる。その様子に海凪も気づいたようで、女子生徒に問いかける。
「どうかしましたか?」
「体に力が入らなくて…。……じゃあ、あれは…」
「あれ、というのは?」
「えっと…はぁ、はぁ…」
女子生徒は立ち上がって説明をしようとするも、立ち上がろうとしただけで、息切れを起こしている。
海凪はその様子を見て、女子生徒の体に何かよくないことが起きている感じがした。
「詳しく聞きたいのですが…とりあえず無理しないでください」
一旦無理して起きようとする女子生徒を寝かして、話を聞くことにする。
「ありがとう…って制服が…!」
そのタイミングで、自身の下に敷かれているブレザーに気づいたが、海凪は気にしないでくださいと優しく諭すようにいい、女子生徒もそれに従った。
「それで、何があったんですか?」
「はい…。その、…何か冷たいものに肩を触られた時、横目に見た窓の反射で人体模型、だと分かったんです…。それで私、その場に倒れ込んで、必死に這いつくばって…そこで記憶が途切れているんですけど…」
女子生徒は話していくうちに体を縮こませている。それでも彼女は体験した恐怖に耐えながら話を続けた。
「その、触られた瞬間にふっと力が抜けるような感覚があって、恐怖のせいで足がすくんだのかなってさっきは思っていたんですが、今でもこうして力が入らないので、あの時力が抜けたのも、今こうして力が入らないのも、何か別の原因があるんじゃないかなって…」
恐怖に侵されながらも、自分の現状を冷静に分析した。
「なるほど、ありがとうございます。…すみません、少し手を貸してくれませんか?」
海凪は少しでもその感覚を体感したくてそう申し出た。
「いいですけど…」
海凪は女子生徒の手を優しく持ち上げる。その様子を見て龍は憤慨しそうになるのをグッと堪えた。
「全力で握ってみてください」
女子生徒はおずおずと海凪の手を握る。
全力を振り絞ってる、ように見えるが海凪は赤ちゃんに握られているような感覚がした。
他にも自分の手を叩いてもらったり、逆に自分の手を持ち上げてもらったり、承諾を経て腕を触らせてもらったりした。
「ありがとうございました」
「い、いえ……。…それで、どうでしたか?」
身体の異常さに対する現実感がさらに増していき、女子生徒の不安の色は濃くなっていく。
「専門の知識はないので確かなことは言えませんが、筋力の低下というよりも、筋肉を出力するエネルギーがないというふうに感じました」
「そう、ですか……」
何か病気的な異常はなく、かといって恐怖で力が入らないという感じでもない。そんな説明を聞いて、女子生徒は顔を落とした。
「大丈夫ですよ。絶対に治ります」
その様子を見て、海凪が励ましの言葉を贈る。
専門家でもなんでもない人にこんなことを言われても信用ならないだろう。
しかし海凪の力強い眼差しを見て、女子生徒は確かな安心感を感じていた。
そんな二人の様子を見てさらに目をつり上げる者が一人。
「…もしかしたら、何か、生命エネルギーのようなものを吸収する”魂術”を持っていたりするのかもな」
「……魂術?」
しかしそんな龍も、再び耳に飛び込んできた聞いたこともない言葉、魂術という言葉に対する好奇心が海凪への嫉妬心に勝った。
「惹起魂(都市伝説を生み出す死者の魂)は自身の生前の何かに由来した、人知を超えた力を持っているんだ」
「へえ。そんなのもあるのか」
「因みに魂術ってのは、俺が勝手に命名しただけ」
感覚が麻痺して案外すんなり受け入れた龍に対し、女子生徒は意味がわからないとポカンとしていた。
もしかしたら海凪が昨日聞いた、1週間以上寝込んでいるという高原さんもこの魂術が原因かもしれない。しかし今はこれ以上のことは分からないため頭を切り替え、龍の調査結果を聞くことにした。
「ところで瓦くん。物理室で何か見つかったか?」
「あ、そうだ、これ」
龍が例の写真をポケットから取り出し、海凪に手渡す。
「ありがとう。写真か…」
「その右に写ってるやつだけ態度おかしくね?」
「確かにな。……他には何かあったか?」
「わりぃ。それだけだ」
「そうか、ありがとう。これ、持ってていいか?」
「おう。ぜひ深代が持っててくれ!」
海凪は写真を懐にしまう。そこで龍はあっ、と何かを思い出したようにスマホを取り出し海凪に見せる。
「見てくれこれ!」
「…0時13分?」
「そうなんだよ!…てか、さっき見たときから1分も進んでねえじゃん!」
どうやらこの数字は固定されているらしい。海凪も自身のスマホを取り出して確認する。
「俺の時間は、0時9分、か…」
「えっ!?俺のとちげえ!」
海凪と龍の時間には差があった。
「すみません。あなたのスマホの時間も確認していいですか?」
「あ、はい…。すみません、バッグの中にあるので…」
「開けてもいいですか?」
「ど、どうぞ……」
女子生徒は不思議そうにしながらも承諾する。海凪が開けた女子生徒のバックを見て、龍はその中身を見たいという衝動に駆られながらも流石にまずいと感じ、なんとか思いとどまった。
「20時3分か。現在時刻としては妥当な時間だな。ただ、みんな圏外なのは当たり前に共通か」
「圏外…か……」
その言葉に龍は何かを思いついたのか、考える素振りを見せる。
「何か引っ掛かる点でもあるのか?」
「うーん…。あ、そうだ!あの時!救急車呼ぼうとしたとき、確か7時50分くらいだった気がするぜ!」
龍が倒れてる女子生徒を見て、通報しようしたときに見たスマホの時間は正常だったことを思い出した。
「なるほど。その後時間がバグったことを考えると…」
その事実を聞いて海凪は
「きっかけは人体模型に遭遇したことか」
人体模型が龍を視認した瞬間、若しくはその逆のタイミングで時計がバグったのではないかと推測した。しかしそれが何を意味するかまでは分からない。
「ただ、それだと彼女のスマホの時計が正常なことの説明ができないか……。とにかく、いい情報をありがとう、瓦くん。とりあえず、脱出が最優先だな」
「出られるのか!?」
「ああ。瓦くんの予想通り渡り廊下から出られる」
「よっしゃ!ナイス深代!」
龍は思わずガッツポーズをし、その話を聞いていた女子生徒も安堵の表情をした。
「一旦二人を外に出すから、またさっきの体勢で──」
「ちょっと待て」
二人を担ごうとした海凪に龍が待ったをかける。
「一旦って、その後深代はどうするんだ?」
「もちろん人体模型さんと決着をつけてくる」
「一人でか?」
「ああ。一人でだ」
2人の間に沈黙が落ちる。女子生徒はその様子を黙って見ていた。
「俺も残らせてくれ」
「ダメだ」
「即答!?」
覚悟を決めて言い放った龍が、海凪に一瞬で断られ転けかけた。
「なんでだよ!」
「昼にも言ったが、危険だからだ。そしてそれを身を持って体験したはずだ」
「うっ…けどよぉ…」
昼間の忠告を無視したことに罪悪感を覚える。しかし龍は諦められない。
「…確かに捻挫もしてるし、足手纏いかもしれない。でも…」
一度間を置き、力を貯めるように握り拳を強く握る。
「最後まで見届けないと気が済まねえ!」
単純明快。龍の動機は魂が還るまで、校舎を徘徊する人体模型の噂を解決するまで海凪と行動を共にすること、ただそれだけだ。
「それに、写真見つけたの俺だし?時計のバグに気づいたのも俺だし?」
龍はわざとらしく恩を売るような言い方をする。
「そうだな。ありがとう瓦くん」
「うっ…。と、とにかくだ!こうして…」
海凪から純粋な感謝の意を向けられ、再び罪悪感に襲われた龍は、それを誤魔化すようにケンケンで海凪の背後に回り、そして
「よっ!深代におんぶしてもらってたら絶対安全だろ?」
海凪に飛び掛かるようにしておんぶし、白い歯を見せながら満面の笑みを見せた。それを見て海凪も小さく笑い、一度目を瞑って…
「…分かった。最後まで一緒に行こう」
「っしゃ!!ありがとう深代!」
そして龍の同行を承諾した。
「ふふっ」
そんな2人の様子を見ていた女子生徒が優しく微笑んだ。それも完全に毒気を抜かれた本当の笑顔。
「よかったです、笑ってくれて」
「あっ…ごめんなさい」
女子生徒は少し照れながら目をそらす。龍はその可愛らしい姿に悶絶し、海凪の背中からずり落ちそうになるも、なんとか堪えた。
「まずあなたをここから出しますね」
「…分かりました。ありがとうございます」
何か役に立ちたいと思いつつも、自分の何もできない身体の状態と人体模型に対する恐怖が勝り、海凪の言葉に素直に首肯した。
そして海凪が2人を運ぶべく、女子生徒の元に行き、腰を下ろす。
「すみません。今だけ我慢してください」
「え、あ、きゃっ…!」
海凪が女子生徒をお姫様抱っこした瞬間、小さな悲鳴をあげた。それを見て龍の海凪に抱きつく腕の力が強まった。
「瓦くん、ちょっと苦しい」
「今だけ我慢してくださいぃ!!」
しかめっ面でそう言い放つ龍を見て、女子生徒は再びふふっと小さな笑いを漏らした。
まさに今、半分閉じ込められている状況で、しかも怪異に追われてるとは思えない和やかな空気感である。
「よし、行くぞ」
そして海凪の掛け声と共に、3人は出口もとい渡り廊下へと向かった。