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第1話 プロローグ・ゼロ
あれは小5の秋の時だった。
席替えがあり、隣の席はクラスで一番嫌われている女子だった。僕は決して嫌ではなかった。なぜなら、そいつと話したことがほぼないからだ。たまに公園でみんなと遊ぶ時に話すぐらいだ。その日の給食はトマトだった。僕はトマトが大嫌いだ。周りの男子と「食べたら吐くかも」とか雑談を交えながら話していた、その時だった。
「私吐くの見るの嫌だから、吐かないでね」
そんな言葉をきっかけに、次の日からは喋っていた。自分にはなぜそうなったのかわからない。自分が意図していないことが翌日から起こっているのである。その日から自分の視界に霧がかかってくるのであった。




