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 気づいた時には俺は謎の部屋にいた。

 白を基調とした、清々しいまでにシンプルな部屋。

 枕が白いのは当たり前として、椅子までも白い。どういうことなのかまるで分からなかった。


「ふむ。目覚めたかの」


 動揺していると謎の声が聞こえた。

 そこには一人のくたびれた老人が立っていた。


「あの、あなたは? それにここがどこなのか分からないんです」


「安心しろ、全て教えてやる。ここは天界じゃ。そしてお主は地球で死亡し、神である儂によって魂だけここに召喚されておるのじゃ。肉体があるのは儂のおまけという感じじゃな」


「え? ちょ、ちょっと待ってくださいいきなりで理解が追いつきません。一旦外を走ってきてもいいですか?」


「そんな余裕あるわけないじゃろ。そもそも外なんてものもないわい。ここは儂が一時的に作り出した仮想空間じゃ。適当に創造しすぎて出来はあんまりじゃがな」


「えぇ、じゃあ僕は一体どうしたら……」


「落ち着けばよかろう。そう、まずは落ち着くことじゃ。落ち着いて儂の話を聞くのじゃよ」


「わかりました。深呼吸をして落ち着きます。すっ、すっ。終わりました」


「二回息を吸っただけで何が変わるんじゃ! 吐かんか! 一回吸うに付き一回吐くんじゃ! ……おほん、まぁいくぶんか落ち着いたようじゃし話を進めるか」


 神と名乗る男は姿勢をただし話し始める。


「お主は地球で死亡したと言ったの。運悪く飲酒運転のトラックが突っ込んできたのじゃよ。それでお主は完璧に敷き殺され即死した。儂はそれをたまたま見ておったのじゃがの。その様子があまりに可愛そうじゃったから転生させてやろうと思ったのじゃ」


「うっそだろ、そんな記憶俺にはないぞ」


「死の際の記憶というのはトラウマレベルで魂に刻まれる。人格に影響が及ぶとも限らんので、その瞬間の記憶は抜き取っておるのじゃ」


 えー、そんなこといきなり言われてもな……でも神様っぽい人が言ってるんだからそれで合ってるのかな。こんな訳の分からない場所に来た覚えもないし、もう開き直って信じるしかないのかも。


「素直に信用はできませんが、異世界というのはどういうことなんですか?」


「うむ、そんな可哀想なお主を転生させてやろうと思ったのじゃが、宇宙の規約上同一の世界に転生させることはできんからな。そこは異世界へというわけなのじゃ」


「宇宙人とかいる感じですか?」


「まぁ極論言えばそうなるのじゃろうが、所謂ファンタジー世界じゃ。お主でも楽しめるような世界をチョイスするつもりじゃよ。魔法や魔物なんかもおる」


 うーん、ファンタジー世界に転生かー。それはそれで悪くないのかもしれないな。


「でも魔物ってそんなの危険じゃないですか? 僕危険なのだけは絶対に受け付けられないんですけど」


「まぁ平和ボケしておる現代っ子ならそういう感想にもなるかもしれんの。じゃが安心せい、そこは一応『能力』というのものを付与してやろうと考えておる」


「え、本当ですか? だったら全部を圧倒して無双できる能力にしてください」


 それだったら最強なわけだから身の安全は確保されるだろう。実に簡単な話だ。


「それはさすがに無理じゃ。神の規約上、転生者があまりに周囲に影響を与えすぎる力を持つことは禁じられておる。規格外の強さを持つものが異世界で暴れ回れば秩序もへったくれもなくなるじゃろう?」


「ええ……じゃあ僕はしょっぱい能力しか無理ってことですか? 靴磨きが上手になる能力とかは流石に嫌ですよ。危険なのは本当に嫌なんです」


「そこまで弱くはならないじゃろうから大丈夫じゃ。所謂周囲に影響を与えすぎる力というのが肝でのう。逆に言えば影響を与えないような地味な能力なら大丈夫ということなのじゃ。そこを上手いこと考えれば問題ない。時間はやるから練ると良い」


 うーん、そう言われてもピンとこないな……。


「お爺さんだったらどんな能力にしますか?」


「儂か。そうじゃの、暗殺者とか悪くないと思うがの。それじゃったら大量殺人というイメージもないし、要請が通りそうな気もするが」


「ええ! 戦うのも嫌ですよ! 危険な目にに巻き込まれるのが嫌なんです。怪我もしたくないし、のんびりと暮らしたいんです」


「ワガママなやつじゃのう。現代っ子も考えものじゃな……うーん、じゃがそう言われると難しいのう」


「あ! だったらこういうのはどうですか? 攻撃してきた相手に対し自動的に反撃する能力とか」


「うむ……反撃か。確かにそれなら自分から攻撃するわけではないゆえ、暴れるというのも難しいじゃろうしな。聞いてみるか」


 お爺さんは手のひらに生み出した光を天井に向かって放した。

 天井はいつの間にかなくなっており、大きく開けた天がそこにあった。

 光が天に到達するやいなや、波紋のように全体に広がっていく。


「なるほど、オーケーじゃそうじゃ」


「え、本当ですか?」


「うむ。確かにこの能力なら少なくとも身に害が及ぶということはないじゃろう。せっかくの異世界なんじゃ、ゆっくりしてくるとよい」


「ありがとうございます。これで最低限正気を保ちながら生活できそうです」


「まぁ満足したならよい。じゃあお主の能力は『攻撃を受けたら自動迎撃してくれる能力』に決定じゃ。それではこのまま転生させるからの。お主の健勝を祈っておるぞい」



 そうして俺の体は光に包まれ始めた。

 ああ、異世界転生か。こうなるのは流石に予想外だが、果たしてどうなることやら……



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