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聖女トゥキスモの恋  作者: 水無月 一夜
8/10

-----聖女護衛付きになる-----

「お久しぶりです、白い妖精さん」


という声がしたので、見上げてみると

以前治してあげたご夫婦の奥さんでした。

私は、クルリと輪を書いて飛んで見せました。


思えば、人間と一緒にいて安心して人を治療できたのは、このご夫婦と一緒に居た時だけだったなぁ

と思いました。


再会できてうれしいと、奥様は言ってくれて涙を流しています。

「また遊びに来てね。」

と言われましたが、またお部屋にずっといると、色んな人を治してあげられないなと思ったりしていたら

ピロンと音がして奥さんのスマホにメッセージが送られて来ました。


奥さんは、スマホに向かって

「今 白い妖精さんと一緒に居ます また後で連絡します」と言いました。

私も、一緒に

「私はトゥキスモです 奥さんと一緒に居ます」と言いました。

画面を見た奥さんは、とても驚いた顔をしていました。


画面には

”今 白い妖精さんと一緒に居ます また後で連絡します”

”私はトゥキスモです 奥さんと一緒に居ます”

と表示されていたからです。


奥さんは「白い妖精さんは トゥキスモさんと言うお名前だったのですか」

と聞いたので「ええそうよ」と言いながら、くるっと回って見せました。


奥さんは「スマホの音声変換は、トゥキスモさんの声が分かるんですね。じゃぁこのスマホでトゥキスモさんとお話が出来ますね」

と言いながら、スマホを私の方に向けてきました。


「そうみたいですね、さっきまで甘すぎるジュースを飲んだので、水を飲んでいました」

「もっと人を治してあげたいです、でも、とじ込められるのは嫌です」と言うと

奥さんは、

「ほんと最初の頃 凄く甘い砂糖水を出してしまったし、うちの家に隔離してしまって済みませんでしたわ」と言いました。

私は「あのおかげで力が強くなったみたいです」と答えました。

スマホにメッセージが届いて、奥さんは言いました。

「明日また、ここに来たら友達を治してもらえるかしら?」と聞いてきました。

「明日いつごろ?、さっき裏の方で、悲痛な声が聞こえてたから、その後になるかな」

と伝えると、奥さんはまたスマホにメッセージを吹き込んでお友達に送っては、戻ってきたメッセージを読み上げてくれて、という事を繰り返して、明日の昼頃にまたここで落ち合う事になりました。

別れ際に奥さんが私の写真を撮って行きました。

奥さんは再会できたことを何度も何度も嬉しいと言ってくれていました。


その日のSNSのトレンドは「白い妖精さん」「トゥキスモ」になっていました。


夕方、蚊が沢山飛び始めると、トゥキスモに求婚をしてくる蚊も出てきました。

でもなんだか、すっごく軽い感じの蚊だったので、全部無視してしまいました。


白蛇さんにお礼を言っていなかったなぁと、思い出しましたが

その分多くの人たちを助ける事で、返すのが良いのかなと思うと

目の前に、足を引きずりながら歩く狸さんがいました。

トゥキスモは、狸さんに声を掛けました。


足が痛いのですか? 治してあげましょう。

狸さんは、珍しい物を見たという様子で、こちらを見て言いました。

「お前虫なのにしゃべれるんだ」

「はい、私は聖女ですから」

「聖女が何か分からないけど、左後足にとげが刺さってから痛くて歩きにくいんだ」

そう言うので、後ろの左足に止まって回復をかけてあげると、

夕暮れの林の中では、とても目立つ光が出ました。

「おお、足が痛くないよ」そう言って走って遠くまでいなくなってしまいましたが

暫くすると戻ってきました。

「あんたは、何を食べるのか想像つかないんだけどさ」と言いながら

花を口にくわえています。

私はありがたく、花の蜜を吸わせてもらいました。

「美味しかったです。ありがとう」

と言っていたら、キジバトが降りて来ました。


「おいしそ・・・、じゃなくて まっ白な虫さん、 私の子供が病気なんだよ、治してくれない?」

と言うので、狸さんにお別れを言って、案内してもらう事にしました。

キジバトさんの巣に行くと二羽いるうちの一羽が目を閉じて、横になっていました。

息はしているのですが、かなり具合が悪そうです。

そこで回復をかけてあげると、直ぐに元気になって、目の前にいるトゥキスモを食べようとしました。


「ちょっと 食べないでくれる」

前には元気になったばかりの、ひな鳥の大きな口

後ろは親からもらった虫を食べ終えて、また食べたいひな鳥の大きな口

私は回復をかけて、一時的に元気がない状態で絶体絶命


親鳥が慌てて、子供の口に芋虫を突っ込みましたので、

よろよろと逃げ出しました。


鳥は危ないわ・・・

もう鳥の巣には近づかない様にしようと思いました。

トゥキスモは、家へ向かって飛びました。


すっかり日が落ちて、暗くなってしまったのですが、ばったり三毛猫さんに会いました。

「こんばんは、あの黒い猫さんはお加減いかがですか?」

と聞くと

「ああ、もうすっかり元気になってるよ、他の猫もあんたに治して欲しがってるよ」

と言うので、今夜はこれからアメリカンショートヘアーのミシェルさんを治してあげる事になりました。


扉の外から、三毛猫さんがミシェルさんを呼びます。

ミシェルさんは、ヨボヨボした感じで扉から出てきました。

「この人もう、ずっとこんな感じなんだよ」と三毛猫さんが言うと

「こんな感じって何だい、わたしゃ馬鹿にされるような事なにもしとらんわ」

と言い返しました。

ん~ どこが悪いのか良く分からないけど…

耳に腫れものが出来ているのをなんとなく感じたので、

耳のそばに着地して、回復をかけて上げました。

そして、全身にも回復をかけて上げました。

「おや、凄くはっきり聞こえて煩いくらいだわ、三毛の()()()()()、凄いわねその子」

「はっ、おばあさまじゃないわ、この純真な乙女に向かって何がばあさんだ」

「一緒に育ってるのに、あなたが乙女でしたら、私だって乙女ですわ」

なんか 二匹で不毛な会話が始まってしまいました。

黙って、会話を見続けていましたがいつまで経ってもこの会話に終わりはなさそうな雰囲気でした。


そういえば、三毛猫さんには何もしてあげていないなと思ったので、

全身に回復をかけてあげました。

「あらあ、私まで若返っちゃったわ、これで私も乙女よ」

「素敵な乙女ですこと、毛艶も素敵ですこと」

二匹は、笑顔で不毛な会話を続けていて終わりそうにないなぁと思ったので

私はそっとその場を離れて家に向かいました。


いつもの林に入って、眠っていると子供の頃の夢を見ました。

お兄ちゃんの言う通り、素敵な羽が生えた大人になったよ。

大人になった自分と、お兄ちゃんと一緒に空を飛ぶ夢を見て

私は、いつになく爽やかな気分で目を覚ましました。


目を覚ますと、ムスティさんが目の前にいました。

あちゃ~ また何か怒られるようなことしたかな?


じっと、ムスティさんを見ていると

「あなた、ホントにいつも無防備だよね。 私はあなたにドンドン強くしてもらってるから、ホント悪い事は言いたくないんだけど、無防備すぎて心配になるよ、それでね、今日から私の息子をあなたの見張りに付けるわ、ジェイク来て」

ムスティさんの後ろから、大人になりたてっぽいカッコいい男の子が現れました。

ムスティさんが普通の蚊の1.5倍はありそうな体格ですが

息子さんも負けず劣らずの巨大っぷり

「ジェイクです。トゥキスモさんの護衛を務めさせていただきます」


ええ~ごっ 護衛ですか・・・

「私が仕込んだからね、あなたよりしっかりしてるよ」

ムスティさんは笑顔で言いました。

「あなたに、回復をかけてもらってから、子供たちも素早くて大きな子に育ってさ、その中でも一番早くて力持ちで、頭がいい子だよ、あなたあっちこっちにフラフラ冒険してるから、しっかり護衛して貰うんだよ」


「ジェイクさん、よろしくお願いします」

年下の子の方がしっかりしてるって、ちょっぴり悔しいけれど、ムスティさんの息子さんなら確かにしっかりしてそうだし、護衛をして貰う事にしました。


「複雑そうな顔してるね。今日もどっか行くんだろ?」

「はい、今日は佐藤さんの友達の治療を依頼されているのでまた神社に行って来ます」

「あんまり人間に近づくのは感心しないけどなぁ」

ムスティさんはジェイクに何か話している

「よし、息子だけじゃなくて私も一緒について行ってあげる」


ええ~驚きの表情で固まりかけていましたが、ムスティさんが傍に居てくれるのは最もありがたいです。

早めに神社に行って、悲痛な声の主を見つけてあげないと…

バッドエンドを回避したら、話のまとまりがなくなるって言われました。

なかなか難しいですね。

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