モブNo.24:「つまり、一騎打ちしろってわけね…」
先日の投稿にたいしてお叱りをいただき、
自分でも見直してあかんと思い、
前話の最後の一部を削除し、
加筆訂正したものを投稿いたしました。
投稿した日は、実生活で色々あって疲れていたのだと思います
申し訳ございませんでした。
敵迎撃部隊が味方に攻撃を仕掛けたのを切っ掛けに、味方左翼による敵本隊への攻撃が開始された。
最初から接敵していた味方本隊に加え、
裏切った敵迎撃部隊と味方左翼部隊、
敵左翼と造反部隊を壊滅させたロスヴァイゼさん率いる右翼部隊が加わったこの状態なら、まず負けることはない。
しかし、海賊や傭兵くずればかりとはいえ手練れがいないわけではないだろうし、ロスヴァイゼさんから逃げてきた敵左翼の連中も合流している。
そこまで油断していいわけではない。
とりあえず、敵迎撃部隊を敵味方識別装置で味方に切り替えておく。
案の定、ヤケクソ気味になった一団が異様なまでの弾幕を張りながらこちらに向かってくる。
多分戦場からの離脱を考えているんだろう。
『いま突進してきているのを止めろ!逃がすなよ!』
本隊から迎撃の指示がきたので、僕を含めた左翼部隊はその一団に向かっていった。
が、そいつらはただ者じゃなかった。
スズメバチのエンブレムがついていたので、おなじ海賊団か傭兵くずれの一団なのだろうけれど、実力が半端ではなかった。
ヤケクソになって突っ込んで来たのではなく、左翼部隊を突破し味方本隊を襲撃する気だ!
だったら先頭に立ちはだかるよりは、側面や後方から仕掛けるほうがまだ安全だ。
「あんなエンブレムの海賊団とか居たかな?見たことないんだけど?」
おもわず軽口を叩きつつも、僕は速度を上げ、敵側面に攻撃を仕掛けた。
ありがたいことに、無人機が何機かと小型機1機が撃沈した。
が、当然反撃はやってくる。
無人機はともかく、有人の小型機がめちゃくちゃ動きがいい。
さっきの迎撃部隊の連中と同じかそれ以上だ。
しかしその分突破力は下がるので、先頭が少し減速したように感じた。
他にも同じように、側面や後方から攻撃を仕掛けていた。
それでもこの『雀蜂部隊』の突進はそこまで下がることはなかった。
この連中と迎撃部隊の連中が最初から全面で押してきて、造反部隊とタイミングを合わせればこっちが負けていたような気がする。
ともかくこの『雀蜂部隊』の突進は止めないとヤバい。
僕は1隻の大型戦闘艇に狙いを定め、『張り付いて』やるべく無人機と小型機の間をすり抜けていった。
こうなると同士討ちを恐れて砲撃が収まる。
そうしてあと1歩で大型戦闘艇に取り付けると思った時に、青いカラーリングの小型機が立ちはだかった。
他の船と同じく、スズメバチのエンブレムが白で抜かれていた。
見た感じ、ノスワイルさんの乗っていたトライエア社の最新鋭機『ストーム・ゼロ』をカスタマイズした感じの奴だ。
ヘッドオン状態からすれ違ったあとはてっきり囲まれると思ったのだが、何故か全体が距離をとり、数機を残して先頭の突進に追従していった。
まあそっちの方が大事なのだから、当然といえば当然だ。
そして残った数機は、本隊への進路を塞ぐように陣取った。
「つまり、一騎打ちしろってわけね…」
冗談じゃない!こう言うのは主人公補正がついた連中の役目だ!
いや、この場合は『青雀蜂』が主人公か。
相手の船は僕の船より間違いなく速いのだから、逃げおおせるのは難しい。
だったら何とか相手の足をとめて逃げるしかない!
そうと決まれば
『撃墜騙し』を仕掛けてやる!
操縦・兵装・レーダーを除いたすべてのエネルギーを推進力に回し、必死に相手の背後を取りにいった。
こうすることで、相手がこちらの背後を取った時に警戒心を持たれないようにするためだ。
とはいえ、これをかわしてくるのが主人公だ。
二ノ矢を用意しておくことにしよう。
それを考えながらも、旋回・宙返り・捻り込みと、背後をとるべく戦闘軌道を繰り返す。
それは向こうも同じで、時折ビームでこちらを牽制しながら位置取りを狙ってくる。
敵味方共に近寄ってきたり攻撃をしてくる者はいなかった。
邪魔が入らない今が実行のチャンスだ。
僕はスロットルを開き、出来るだけ直線を意識して飛んだ。
相手もその後をついてくる。
ビームが船体を掠めた瞬間は生きた心地がしない。
そしてここだと思った瞬間、機首をあげ・機体下部にある姿勢制御用のスラスターを一瞬だけ全力噴射・メインブースター停止を、タイミングを合わせて同時に行う。
すると機体は回転しながら相手の機体を飛び越す形になり、そのタイミングでビームを放てば相手は確実に蜂の巣だ。
しかし流石は主人公。
それを察知し、船体を縦にしてギリギリで左にかわしていく。
やっぱりそうきたか!
なので相手の旋回先になりそうな方向に、とっておきの陽子魚雷2本を放棄するように放出した。
そして改めてメインブースターを開き、旋回する『青雀蜂』の旋回半径の外まで出てから縦旋回して背後をとる。
すると向こうはスピードを生かして逃げようとする。なのでビームを放ち、意識をこちらに向けさせていれば、置いておいた陽子魚雷に気付きにくくなり、気がついて慌てて舵を切れば隙ができる。
そのために陽子魚雷は光沢のでない黒に塗ってある。
排除のために陽子魚雷を撃ったとしても、爆風?で、機体は制御が難しくなる。
どうでるかは博打だったけど、向こうは慌てて回避をしてくれた。その瞬間を狙えば!
「ビンゴ!」
ビームがブースターとエンジンの一部に当たり、まともな機動はできなくなった。
このまま撃ち落としても良かったが、『雀蜂部隊』の本隊の方が重要なのと、本隊への進路を塞ぐように陣取ってた奴が『青雀蜂』を救助すべくやって来たので、連中に当たればいいなくらいの感じで目眩まし代わりに陽子魚雷を撃って爆発させ、その隙にその戦闘宙域を離れた。
そうして『雀蜂部隊』の本隊を追いかけたところ、彼等は味方本隊の猛烈な迎撃と左翼部隊の追撃を受けながら戦闘宙域を離脱していくところだった。
敵迎撃部隊が味方に攻撃を仕掛けてからわずか15分。
両翼の部隊が全滅し、
味方の、おそらく一番の精鋭らしき迎撃部隊に寝返られ、敵本隊への突進を仕掛けた『雀蜂部隊』が撤退しては敗北は確実。
おまけに残った敵本隊のほとんどは、僕の予想どおり傭兵崩れや海賊やチンピラの類いだった事もあって、男爵夫人側はあっさりと全面降伏した。
相手の降伏を受け入れたロセロ伯爵の、
『今、グリエント男爵軍の降伏を受け入れた。戦闘を終了し、生存者の救助や怪我人の収容を開始してくれ』
という終戦宣言と、
『将兵、そして傭兵の諸君。君たちのお陰で、我が領地は守られ、油絵も返ってくることになった。この戦闘で亡くなった者もいる。その者達の冥福を祈り、その者達に恥じない政を、続けていく所存だ』
という新たな決意の言葉により、今回の闘争は終了した。
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