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モブNo.160:「私達は街ブラかな。そうだ! 私達もゲーセンお供していい?」

次にくるライトノベル大賞2024にノミネートされました。

できれば投票をお願い致します


挿絵(By みてみん)

 完全に少女マンガ脳になっていたノスワイルさんに、ゴンザレスがこの姿になった経緯を説明したり、身分証明書を提示したりして、高校時代のクラスメイトだったゴンザレス・パットソンだと信じてもらうまでには、なかなかの時間がかかった。

 そしてその話を聞いたノスワイルさんとティンクス嬢は、

「その貴族のせいで大怪我をして死にかけたのに、勝手に自損事故扱いにするなんて!」

「私なら絶対に見つけ出して、慰謝料をがっぽりいただいてやるわ!」

 と、怒り心頭だった。

 しかし、過ぎてしまった事、相手が目の前にいない事を考慮し、

「でも男だったクラスメイトがこんな美女になってるって知ったら、びっくりするでしょうねえ」

 ゴンザレスの外見に、話を変えた。

「初見の時は僕もびっくりしましたね。病院の先生に聞かなかったら、信じられないところでしたよ」

 事故を聞いて会うことにしたところ病院で待ち合せをし、医師に再生中のゴンザレスの身体を見せてもらい、十二分に納得した。

 するとノスワイルさんが、

「ところで……2人とも今までなにを?」

 はるか上空からの上目遣いをしながら、変な質問をしてきた。

「アニメンバーで偶然会って、今から行きつけのゲームセンターに向かってるとこです」

「その後は?」

「どっかで食事したら解散かな。俺は明日仕事があるし」

「そうなんですね♪」

 そして俺とゴンザレスの答えに満足したらしいノスワイルさんは、なぜかニコニコとしはじめた。

「ノスワイルさん達はどちらに?」

「私達は街ブラかな。そうだ! 私達もゲーセンお供していい?」

 ティンクス嬢が意外な提案をしてきた。

 本音としては、こんな有名人と一緒にいたくはないけど、彼女達が行くと決めたのなら反対するだけ無意味だろう。


 だが僕は、この時の判断を死ぬ程後悔した。

 

 ノスワイルさんとその友人のティンクス嬢は、有名人なのもあって変装しているが、それでも美人だからもちろん目立つ。

 そしてゴンザレスの奴も、外見からか目立つ事が多い。

 そんな3人と、僕みたいなのが一緒に行動をしていたら、悪目立ちするのは間違いない。

 ゲーセンの店員さんや常連なら、僕とゴンザレスがどういう関係か分かっている人も多いし、話したりしたことがある人も何人もいる。

 しかし、あまり来ない人や初めての人だとそうはいかない。

 普通の人なら『美人が3人もいるぞ。珍しい』ですむけれど、普通でない連中はそうはいかない。

 要するに、絡んでくるわけだ。

「ねえ君たち。これから時間あるなら俺達と食事にいかない? おごるからさ。はい決まり! 早速(さっそく)いこうか!」

 イケメンではあるが、明らかにヤバそうな3人組が、ぬいぐるみのクレーンゲームをやってるノスワイルさんとティンクス嬢とゴンザレスに声をかけると同時に、リーダーらしい金髪の男がゴンザレスの肩に手を置いた。

 クレーンゲームをさっさとやめろという意味らしい。

 後ろの2人は何やらポーズを取り、ノスワイルさんとティンクス嬢が自分達の隣にはべるのを待っているらしい。

 僕も当然近くにいるわけだが、彼等は僕をいないものとして行動しているようだ。

 それなら、ノスワイルさん達には悪いけど、少し仕込みをしておこうか。

 僕は近くにいた店員さんに、警察を静かに呼ぶようにお願いした。

 彼等が話しかけても、ゴンザレスはクレーンゲームに集中、ティンクス嬢は不快害虫をみるような目をし、ノスワイルさんはうんざりした表情を浮かべていた。

 そんな反応でも彼等はめげなかった。

「もちろん行く店は超高級店だから安心していいよ。『ティアーズミール』ってしってる?俺達や君達みたいな人間には相応しい店だからさ」

 金髪の男はゴンザレス達が動かないのは、店のグレードの心配をしているのだと思ったのか、ゴンザレスに顔を近づけてさらに声をかける。

 いや、『ティアーズミール』って、支店が各地にあるとはいえ、ウルトラ級の超高級レストランだからこんな連中がいけるとは思えないんだけど。

 ゴンザレスは無視してクレーンを操作し、

「悪いけど。こっちはお前等に用事ないからさ、お引き取りくださりやがれ」

 金髪の男を引き剥がし、ノスワイルさんに糸目なスライムのぬいぐるみを渡しながら、金髪の男に冷めた表情でいいはなった。

 そしてつづけざまに、

「不愉快! ウザい! 邪魔! シッシッ!」

 ティンクス嬢がまるで野良犬でも追い払うかのように、見下した表情をしながら、単語だけを連発し、追い払う仕草をした。

 その行動に、無駄にプライドの高そうなこいつらが切れない理由はない。

 こういう連中は、腹を立てるもその場では引き下がり、あとから襲撃してくるやつと、我慢せずその場で襲撃してくる奴とがいるわけだが、

「おいおい……あんまりお高く止まるもんじゃないぜ。いい女が台無しになるぜ」

 金髪男はあからさまに苛ついた表情をした。

 いやいや。ゴンザレス以外は十二分にお高い人達だよ。

「こいつの馴れ馴れしいのには謝罪するけど、君たちの態度も問題だろう」

 黒髪のやつが、3人に対して説教をするような口調で話しかける。

 いや、まず君達が失礼だからね?

「せっかく俺達が誘ってあげてるのに、断るって失礼じゃない?」

 茶髪のやつは、なぜか笑顔を浮かべながら前にでてきた。

 笑顔だけど、苛ついているのは間違いないかな。

 どうやらこいつらは後者の方らしい。

 前者の方なら排除は楽だったのになあ。 

 すると金髪の男が懐から万年筆のようなものを取り出し、

「俺達が優しく言っているうちに、快く承知して食事に行った方がいいと思うぜ?」

 ノスワイルさん達の方に向けると、万年筆の先端からビームブレードが現れた。

 金髪が取り出したのは、ビームナイフと呼ばれるもので、万年筆ぐらいの柄から20cm程のビームブレードが出現する、要は小型のビームサーベルだ。

 銃と同じく、申請すれば所持が許可される。

 ちなみにビームブレードの色は、購入時に青・赤・緑・黄・白・黒・紫・水色・黄緑・オレンジ・ピンクから選べるそうだ。

 そして黒髪と茶髪も、金髪と同じようなものを取り出した。

 流石にビームナイフまでだされては仕込みを待っているわけにはいかない。

 僕はノスワイルさん達と男達の間に入り、

「流石にそんなもので脅すのは犯罪です。無力化させてもらいますよ」

 と、通知した。

 と、なれば当然、

「ぁあ? 邪魔すんなクソデブ!」

「無関係な人間がしゃしゃり出てくるものではない」

「え? なに? 俺達に喧嘩売ってたりするの? 君みたいなキモデブが? 笑える〜〜♪」

 とまあこうなるわけだけど、彼等の話に付き合う必要はない。

 僕は腰の銃を抜くと、彼等3人の右太腿を撃った。

「「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!」」」

 威力は最弱にしてあるから脚がもげることはないけど、服の上からもけっこうな火傷になるからかなり痛いはずだ。

 彼等は床に転がってのたうち周り始めた。

 そこに、店員さん達がやって来て、彼等を拘束し、ビームナイフを取り上げた。

「ちくしょう! よくもやりやがったな!」

 金髪の男が手足を抑えられながら怒鳴りつけてくる。 

「そんな物で脅すのは犯罪ですからね、無力化すると宣言しましたよ」

「ふざけるなよキモデブの分際で!」

 こういうタイプの人が、これぐらいで大人しくなるわけはないので、無視して銃を向けた。

「大丈夫ですか? ノスワイルさんティンクスさん」

「ええ。大丈夫」

「もうちょっと早く助けてほしかったなあ」

「すみません。時間が必要でしたので」

 主人公なら最初に絡まれた瞬間から助けに入るんだろうけど、僕ではさっきの不意打ちじゃないと対処ができないからね。

「少しは俺の心配をしろ」

「お前は手首にスタンガン仕込んでるだろ」

 ゴンザレスが文句をいってくるが、いつもならこんなのに話しかけられた時点で、手首の内側から発射するビーム式のスタンガンをぶっ放しているはずだ。

 そんな話をしていた瞬間、

「俺達を舐めてんじゃねえぞ!」

 茶髪の男が店員さんの拘束を跳ね除け、隠し持っていた金属のナイフで、一番近くにいたティンクスさんに襲いかかった。

 しまった! そう思った次の瞬間、ティンクスさんがナイフを持った茶髪の腕を掴み、その脚を引っ掛け、見事な円を描いて茶髪を床に叩きつけた。

 そしてその瞬間、店員さんに呼んでもらった警官隊が到着した。

ティンクス「ねえ。全身サイボーグなのに御飯食べれるの?」

ゴンザレス「機械体だから必要はないけど、人間の本能的に必須だから出来るようになってるんだ。食べたものは完全分解して 脳のエネルギーに変えるんだよ」

ティンクス「てことはどれだけ食べても太らないしお通じも不要……羨ましいっ!」


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しまった!ってモブなのに主人公のあるあるムーブをしちゃ駄目じゃないか。
貴族のせいで身体を再生する羽目になった人物、と反帝国抵抗運動組織に知られた。 組織のメンバーでは、これは利用価値があると目を付ける輩がいたり…? 機械体は「食べたものは完全分解して 脳のエネルギーに…
護身用でもビームはって思ったけど、その程度では護身にもならない世界だったわねって再確認。 たまには主人公らしいことした。
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