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うちの愛猫が喋れた件について

クエストで赤ハーブを採りにきたら目的地で既に毟られていた。

そのタイミングで脳内に不思議な声が響き渡る。

ちょっと話が出来すぎじゃないか?本当にこの話に乗ってよいのだろうか。


『赤ハーブ欲しくないの?目の前の藪の中を真っ直ぐ進むの』


もう一度脳内で声が聞こえる。

どうやら姿形は見えないが声の主はこちらの事情に通じているらしい。

声に悪意や嘲りは感じられない。それにどこかで聞いたことがあるような親しみのある声だ。

どうしたものか図りかねているとベル足下で体をこすりつける。

先に藪の方へ向かう。


「ベル待って!」


こちらを意に介さずに藪の中へ入る。

不安はそりゃあるけど、ベルを放っておけないよ。覚悟を決めて藪の中に入る。


その後、例の声は定期的に脳内に響いてくる。

ベルは僕に寄り添うように傍をついてくる。

遭難するのが怖いから、ショートソードで目印を付けながら前に進む。

声にナビゲーションされながら、赤ハーブ広場から10分程歩いた所で別の広場を見つける。


広場を覗き込むと一面真っ白だ。喜びよりも狐につままれた気持ちだ。

白いハーブが広場中に群生して時折吹く風で揺れている。

おじさんからは赤いハーブを摘んでくるように言われていたけどこれでもよいのだろうか。

広場についてからは声はしない。


どのハーブを摘むにしても革袋一杯にするには30分はかかる。

今から別の場所を探してハーブを摘む時間的猶予はない。

白ハーブを摘もう。


白ハーブを触ると葉は柔らかい。

葉を千切ると柑橘のような爽やかな香りが漂い鼻孔をくすぐる。

心なしか疲労がとれ、活力が出てきたような気がする。

効能の程は定かではないが、赤ハーブ同様に傷や疲労を癒やせるのかも知れない。

これだったらおじさんにクエストを免除してもらえるかも知れない。

ちなみに、僕は彼女と違って鼻歌歌いながらハーブ摘みしてないよ。


「よし、依頼達成だ!」


革袋がパンパンになるまで白ハーブ摘んだ。

立ち上がると腰がちょっと痛い。体がギシギシする。腰を伸ばしたり捻ったりしながら体をほぐす。


あたりを見渡すと広場の白ハーブを¼程とった形だ。

革袋がもっとあれば詰め込めないこともない。そんなことはしないが。

ちょっと欲張りすぎな気がする。罰があたりそう。


白ハーブを摘み始めてから30分程立った。時間にすると夕方、16時を過ぎた頃だ。

もう寄り道している時間はない。

日が暮れる前にさっさと森を脱出しよう。


その前にしなければならないことがある。

それは勿論、声の主へのお礼だ。


「どなたか知りませんが、私をここへ導いてくれたことを感謝します」


チラッと足下のベルを見る。森を見ていて特に声には反応していない。尻尾は機嫌良さそうにフラフラ揺れている。


「お礼をしたいのは山々なのですが、私には貴女の姿が見えません。そこで我が愛猫ベルの好物であるチーズを山盛り振る舞いたいと思います」

「ヤッター!!!!」


足下のベルをガン見する。バッチリ目が合う。

悪戯がバレた時の表情をしている。そんな気したんだよ。

読者様へ


読んでいただきありがとうございます。

76万作以上ある「魔境なろう」で、僕の物語を読んでくれたことに只々感謝です。

より面白い物語が書けるように精進してまいります。


今後ともお付き合いいただけたら幸いです。

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