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追放された。明日のご飯どうしよう?

早朝、天気はどんよりとした曇り。

鉛のように体が重い。

強制退去まで後30分。それまでに実家を出なければならない。


どこで選択を間違えたのだろうか?

追放の二文字で脳内がパンパンになる。

自分なりには頑張ってきたはずなのだが、結局全て空回りで終わってしまった。

こんな結果になる位なら最初から騎士以外の道を目指していればよかったのではないか?


「ニャー」


何かを察したように愛猫のベルが擦り寄る。

頭を撫でてやると、満足げに手のひらにこすりつけてくる。

頬が緩む。思考を切り替える。


手持ちの路銀は3日分。つまり3日以内に生活手段を見つけなければならない。

当面の拠点は隣町に移すべきだろう。時間がない。さっさと荷造りして実家を出よう。


ーーー


裏門からそっと出る。見送ってくれる人はだれもいない。

肩を丸めながら自宅を出る。


「待ちなさい」

「なんでしょうか」


振り返ると、母上がいる。

表情は険しい。僕も顔が強張るのを自覚する。

わざわざ母上まで追放宣言しにきたのだろうか。


「これを持ってゆきなさい」


人目を忍ぶように僕に近づき右手に力強く小袋を握らせる。

中でジャラジャラ金属が擦れる音がする。


「良いのですか?」

「勿論。あの人は厳格です。お前を追放すると言った以上は覆ることはないでしょう。

 これが私の精一杯」

「ありがとうございます」


ギュッと僕を抱きしめる。

僕も母上を抱き返す。


「それでは、母上」

「ええ、いってらっしゃい」


背筋をピンと立て、母上が僕を見送る。

僕も背筋を立て、まっすぐ歩く。

何故かベルも僕の後を追いかけてくる。

一人より二人がいい。ベルも連れてくか。

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