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デストラップのお時間です

「オーグ!!!」


 身長3m越え。頭髪はなく、四角い顔。灰色の肌にガチガチの全身筋肉。贅肉は一切ついていない。

 オークの身体能力は人類と変わらない。上位種であるハイオークに至っては通常一人では太刀打ち出来ない生物として認定されている。つまり、僕達がゴブリンの立ち位置になってしまった。


 ハイオークが僕達と転がっているゴブリンの死体を見る。

 殺る気スイッチ入っちゃってる。


 無造作に近づきマリーへ拳を振り上げる。

 際どい所でマリー回避。返す刀で腕に斬りかかるが浅く切り裂くだけで勢いは止まらない。

 続けざまに蹴りを繰り出し、マリーを吹き飛ばす。

 そのまま3m程吹き飛ばされ、壁にぶつかる。


「逃げないなさい!あなたじゃコイツは無理よ!!」

「オーグぅぅ!」


 ハイオークが僕に振り返る、今から逃げ切れないし、そもそもマリーを見殺しにして逃げられないよ。

 でもどうすれば切り抜けられる!?


「セシル、手を前に向けて!」


 ベルが叫ぶ。思わずガン見する。

 何だかめっちゃベルが光ってる。

 ハイオークも足を止めてベルを凝視する。


 ベルを信じてショートソードを手放しハイオークに向ける。

 光がベルから僕に移る。今まで感じたことのない力が漲る。


「発射!」

「えっ!エッエエイ!」


 体力がごっそり抜け落ちるのを感じながらハイオークに手から出た塊がぶつかる。

 ドンっ!という大きな音とともにハイオークが壁にめり込む。

 それを見届けてから視界が一気に暗くなる。


 目を覚ますと森の中にいた。

 時間は分からないけど、陽は高い。


「大丈夫?」

「よかったぁ、セシル目を覚ました!」


 心配げにこちらを覗き込む一人と一匹。

 身体が重い。

 そんなことよりまずハイオークだよ。どうなったの。


「ハイオークはどうなったの」

「そっちは平気よ。君が倒したわ」

「よかったぁ・・・。そうじゃないと僕達が生きていられる理由もないよね」

「そうね。後、指輪の件、多分解決したわ。ハイオークが持ってたわ」


 見慣れない革袋を見せる。

 宝石類がぎっしり詰まった袋を見せる。指輪が一つ入っている。

 仮に違っていたとしてももう一度洞窟に潜ればよいだろう。臭いけど。


 それよりも、ベル喋っちゃってるけどいいのかな。後、不思議パワーは何だったんだろう?


「気絶している間に色々とありがとう。その、何と言うか、ベルが喋れることは内密にしてくれないかな」

「勿論よ。こんなかわいい猫とお喋り出来るなんて素敵だわ」

「特別にお喋りしてあげる」

「かわいいわ!」


 とりあえずベルが喋れるという件は問題なさそうだ。きっとかわいいは冒険者より強いんだろう。

 マリーはここぞとばかりにベルをわしゃわしゃしてる。

 

「そろそろいいかな? ベルのお陰で助かったけど、あの力はなんなの?」


 一時的なものなのか、今も備わっているのかも分からない。

 とりあえず、疲れるということだけは分かった。生きているのだから安い買い物だとあ思うけど。


「ちーとすきる」

「ちーとすきる?」

「うん、ずっと昔にね、私のことを可愛がってくれてた人が授けてくれた力なの。大切な人が出来たら上げないさいって言われたの」

「そうなんだ。よく分からないけど僕もベルのことが大切だよ」

「私もセシル大好き!」


 マリーの手を逃れてに僕に身体を擦りつけてくる。

 恨めしそうにマリーがこちらを見る。


 恐らく高位の魔法使いか何かに飼われてたいたということだろう。

 詳細は分からないけど、無闇やたらに喋るなとか、力を授ける相手を見極めろと言い聞かせている所から考えると、ベルの飼い主は賢い人だ。

 

「あの力ってまだ僕も使えるの?」

「使えるはずだよ。ちーとすきるの管理者権限がセシルに移譲されたってログが流れてたもん」


 言葉の端々で分からない点もあるけど気にしないでおく。人間と猫で見えている世界がちょっと違うはずだから。

 きっと動物的な超感覚でこそ見えてる世界なのだろう。

 

「何か代償はないの?」

「体が資本だって言ってたよ。常用は難しいから無闇に使うなって言ってた」


 確かに言わんとするところは分かる。

 まだ身体がだるい。出来れば動きたくない。


「ねえ、とりあえず村に戻らないかしら?休んでから考えましょう」

「そうだね」

読者様へ


読んでいただきありがとうございます。

76万作以上ある「魔境なろう」で、僕の物語を読んでくれたことに只々感謝です。

より面白い物語が書けるように精進してまいります。


今後ともお付き合いいただけたら幸いです。

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