ゴブリン退治のお時間です
「あの洞窟がゴブリンの住処かな?」
「入ってみないと分からないわね・・・」
木の陰から伺う二人と一匹。
村長の話を信じるならこの洞窟だと思われるが・・・。
時刻は11時。時間は人間の味方だ。多少強気で言ってよいと思われる。
「まだ日も明るいし、冒険してみよう」
「・・・そうね、そうしましょう。早速買ってきたランタンと松明が役に立つわね」
火打ち石を用いてマリーが火をつけようとするが上手く付けれない。
「ハハッ、マリーは火もつけられないのかい?」
「うるさいわ!」
僕もおもむろに火打ちを始める。そして点かない。
「「・・・」」
黙々と石を擦り合わせ続ける。
手抜かりなく準備したつもりでこれだよ。
今回の戦闘中で明かりが消えたら、点けられるとは考えない方がよさそうだ。
火打ちの練習も課題だ。忘れずに覚えておこう。
「完璧だわ!」
煌々と燃える松明を誇らしく掲げるマリー。
勿論腰のランタンも控えめに灯っている。
僕も同じスタイルだ。
「それじゃ、突入だね」
「ええ!」
林から身を出し洞窟に近づく。左手に松明、右手にショートソードを握りしめる。
「臭い!」
「臭いわ!」
「フニャー!!」
これは、いるよね・・・
「モンスターってこんなに臭いのかしら」
「モンスター図鑑に載ってなかったよ」
「ニャー・・・」
肥溜めのような吐き気を催すような匂いに辟易する二人と1匹。
こんなに臭かったら、冒険者は討伐を消極的になるだろうし、探すのも容易だろう。
まさに新米冒険者のための依頼だ。
見開き2ページでゴブリンの全てが分かるなんて虫が良すぎるか。
そして触りを知っているか知らないかで、僕達の命運を大きく分けることだろう。
横一列に並んで進む。なるべく互いが視界を補うように慎重に進む。
特に岩陰などに注意を払う。不意打ち(アンブッシュ)を仕掛けられたらたまったものではない。こういった進み方が出来るのは前衛職ペアの強みだろう。
奥の方は見えないけど充分光源は確保出来ている。こちらからは先行き不透明だが、ゴブリンからは丸見えだろう。自分たちの侵入はバレている前提で進んだ方がいい。
「何だか僕達、冒険者っぽくない?」
「冒険しにきたんだから当たり前じゃない」
マリーは呆れた顔をするけど肯定する。
周囲に気を遣いながら方針を再確認する。
「村長の話を信じるならゴブリンの数は2匹。多くても4匹位だと思う」
「多分そうだと思うわ。1対1に持ち込めれば負けないはずだわ」
「うん、自分たちより多ければ後退すればいい。囲まれなければ何とかなると思う」
カランカランカラン。
マリーが足元にあった紐に足を引っ掛け、鳴子が響き渡る。
こちらに顔を向ける。剣を構えるとマリーもそれにならう。
「ゴブ!?」
「ゴブゴブ!!」
奥の方から2匹のゴブリンの声が聞こえる。
大慌てでやってくるゴブリン。
やってしまったものはしょうがない。
手に石斧を持ち、ボロボロな腰布を巻いたゴブリンが2対出現する。
背丈は僕のお腹位はある。
幸いにも1対1対に持ち込めている。
「ハッ」
「ゴブッ!」
マリーがショートソードを振るい、石斧を持った腕、右腕を切り裂く。
ゴブリンAは石斧を落とす。
後はマリーの一方的な勝利だった。
かくいう僕も1対1なら危なげなくゴブリンを倒すことが出来た。
「やったわ!依頼成功よ」
「まだちょっと気が早いよ、落ち着いて!」
テンションがおかしくなっている二人。
ベルも少し離れた後ろで左右に跳ねて何かおかしい。
かく言うも僕も釣られてテンションおかしくなってる。
「まだゴブリンがいるかも知れないよ。後、指輪も探さなくちゃいけないし」
「そうだったわね」
バツの悪そうな表情をするマリー。冷静さを取り戻したらしい。
「ゴブリンを調べたらもう少し奥を探索してみよう」
「分かったわ」
「オーーーーーーグーーーーーーー」
地響きのような声とともに僕達より身長が2倍ある巨人のような生物がヌッと出てきた。
ヤバイ!! ハイオーク、ナンデ!?
読者様へ
読んでいただきありがとうございます。
76万作以上ある「魔境なろう」で、僕の物語を読んでくれたことに只々感謝です。
より面白い物語が書けるように精進してまいります。
今後ともお付き合いいただけたら幸いです。




