ノープランは死亡フラグ
「よし、村に到着ね」
「うん、無事についたね」
「にゃー」
絵に書いたような辺境の村だ。
木片を用いて村を囲っている。
家の軒先で鶏がウロウロしている。
日が明ける直前5時頃に僕達のいた街[ニューランド]を出発して、4時間かけて目的地[ホープ]に到着した。
時刻は9時。余裕をもってゴブリン討伐にあたれるはずだ。
勿論、事前にベルとも相談してついてくか確認すると二つ返事で『ついてく!』とのこと。
マリーもこちらは猫連れだと分かっていたから邪険にされることもなかった。
直接的に助けてもらったのは薬草採取の最初の一回だけだけど、トラブルを生じた際に期待している。
僕は猫と意思疎通出来る。これは強力なアドバンテージだ。
「それじゃあ、手筈通り、まずは依頼主に状況確認ということでいいかしら?」
「勿論。後、流石に休み休みとは言え、4時間歩きっぱなしは疲れるよ。少し休憩もしたいね」
「そうね、依頼主に話を聞いてから小休止。その後に討伐とゆきましょう」
ーーーー
「これはこれは遠路はるばるよくいらっしゃった。村長のデボンじゃ」
「こんにちわ、僕はセシルと申します」
「ごきげんよう、マリーよ」
「ニャー」
年齢は50歳位。少し背中がまがっている。頭はハゲ上がり、ヒゲを豊かに蓄えている。
清潔感があり、人の良さそうな笑みを浮かべている。
村長宅に上げていただき、ソファーでお茶をいただきながらお話を伺っている。
「では、早速ですが、今回の依頼内容を伺ってもいいですか?何でもゴブリンを見かけたという話ですね」
「そうじゃ。村の者が森を入ると、2匹のゴブリンを見かけた。あいつら放っておくと家畜はやられるし増える恐れもある。何とかしてほしいんじゃ」
「分かりました。数は2匹で間違えないですね」
「ああ、そのとおりじゃ」
マリーにアイコンタクト。頷くマリー。
ここまでは情報通り。
「ちなみにどこで見かけましたか?」
「北の森じゃ。大きな洞穴があってな。恐らくそこに住み着いたんじゃ」
雲行きが怪しくなる。場合によっては他にも仲間がいるかも知れない。
暗所でゴブリンと戦いたくなかったが、ここまでは想定の範囲内。
「後2つお願いしたいことがあるんじゃが・・・」
「なんですか?」
困り顔の村長。こちらは初心者なんだから無茶振りはやめてね。
勿論、そんなこおとを行っても村長(依頼主)を困らせるだけだからしないけど。
「実はな、ワシの娘が結婚するんじゃが、ゴブリンに婚約指輪を盗まれてしまったんじゃ。それを取り返してほしい」
「分かりました」
笑顔で快諾。変な依頼じゃなかった。
「もう一つは、最近地響きのような声が北の方から聞えてくるんじゃ。その声について調査してほしい」
マリーの顔を見る。難色を示している。
「地響きの件は、可能な限りにさせてください。ゴブリン討伐の際に痕跡があれば調査します。調査結果に関わらず冒険者ギルドには報告を入れますのでご安心ください」
「それで頼む」
村長が全然ご安心されない表情で返事を返す。
こちらとしても、達成出来ないことを約束出来ないし、ゴブリン2匹分の代金だ。
命あっての物種だよ。
ーーーー
「マリー、どうだった?」
「どうもこうも。討伐は続行しましょ。本当にゴブリンの数が2匹なのか不安だけど、万が一もっとたくさんいても深入りさえしなければ問題ないはずよ」
「そうだね、僕もそう思うよ。出来れば洞窟の外から戦いたいけど、日中は難しいだろうね」
僕とマリーの見解に差異はない。
「それより不安なのは地響きのような声よ」
「それだよね」
恐らく想定されるのは大型動物ないし大型のモンスターだ。
ゴブリンなら正々堂々と戦えれば負けることはないだろうけど、大型動物と正々堂々戦って無傷でいられる保証はない。
下手に刺激して村に襲撃してくるという事態だけは避けたい。
「ゴブリンは討伐。地響きは状況確認だけにしよう。幸い村から[ニューランド]までの道のりは半日もかからない。 状況を掴んでギルドに応援を仰いでも遅くないはずだよ」
「・・・本当は私達で解決したいけど、そうするしかなさそうね」
「それじゃあ、方針が決まった所でゴブリン討伐を始めよう」
読者様へ
読んでいただきありがとうございます。
76万作以上ある「魔境なろう」で、僕の物語を読んでくれたことに只々感謝です。
より面白い物語が書けるように精進してまいります。
今後ともお付き合いいただけたら幸いです。




