僕達にうってつけの依頼
「でっ、調べて何がわかった?」
「新米冒険者2人でゴブリンの巣穴駆除は無謀です」
「よしっ、それ分かれば、まあ合格だな」
満足げに冒険者ギルドのガトーおじさんは頷く。
どうやら僕達の認識は間違えではなかったらしい。
中央図書館でゴブリンについて理解を深めた後に冒険者ギルドに戻ってきた。時刻は13時。
マリーと話し合った後の所感をおじさんに伝える。
こちらの面子は変わらずに僕とマリーとベルだ。
「ゴブリンと戦うにあたり気をつけなければならないことは何だ?」
「少しでもこちらが有利な局面を築いていくことだわ。暗所で戦わない。一対一の状況に持ち込む。」
「よしよしよし。分かってんじゃねぇか。俺達(冒険者)の命は1個しかないんだ。つまらんモンスターにくれてやる必要はねぇ」
「つまりお前達が討伐すべきゴブリンとは何だ?」
「野良ないし、少人数で外を巡回しているゴブリンを各個撃破することです」
「合格だ」
マリーと顔を見合わす。
自然と笑みが溢れ、頬が弛緩する。
「そこで、だ。野良ゴブリンの討伐やってみないか?」
もう一度、マリーと顔を見合わす。
顔が強張り、笑みは消える。
「依頼の詳細を教えて欲しいわ」
「こっから歩いて4時間の位の村にゴブリンが2匹徘徊してるから駆除して欲しいという依頼だ。恐らくだが、あのお貴族様が討伐に向かわれた巣穴から追放されたゴブリンなんだろうな」
もう一度、マリーに顔を向ける。マリーは首を縦に振る。
「その依頼、僕達でやらせてください」
「よしっ、交渉成立だ」
「あっ、後、先に質問してもいいですか?」
「ん、なんだ?」
「僕達が徘徊しているゴブリンを倒すのはいいのですが、巣穴そのものはどうなるんですか?元を絶たないとずっと危険なんじゃ・・・」
「そっちは他にパーティ組んで当たる平気だぜ。お前たちはお前たちの仕事に専念しろ。後、無理はすんなよ。ヤバイと思ったら逃げろ。命あっての物種だぜ」
ーーーーーー
「ゴブリン退治に必要なものって何かしら?」
冒険者ギルドを出たのが14時。
よく話し合った結果、明日の早朝に出発して日中の間にゴブリンを退治する計画を立てた。
とりあえず中央街道の露天を物色している。
「無難に考えれば、まず光源の確保かな。モンスター図鑑に従うなら日中はゴブリンは寝てるはずだよ。つまり奴らのねぐらに乗り込むことになると思うけど」
「そうなると用意するのは松明かしら?」
「うん、松明は良いと思う。明かりの確保のために片手が使えなくなるということかな。いざとなったら、火のついた松明も武器になるかな全く無駄というわけでもないけどど・・・」
「じゃあ、あれは?」
マリーが指差した先にはランタンが並んでいる。
「へいっ、らっしゃい」
恰幅のいい中年のおじさんが僕達に呼び込みの声をかける。
「ランタンと松明の違いついて教えてくれませんか?」
「冒険者様かな? ランタンはいいですぜ。何せ腰とかに引っ掛けることが出来ますからね。自由に剣や盾を振回せますよ。欠点は照らせる位置の関係で松明より先が見通せないことですかね」
「そうなると探索中には松明。戦闘の際はランタンの方が有利ということね」
「仰る通りで。どうです?ランタンと松明、2つセットでいかがです?お安くしますぜ」
満面の笑みを浮かべる商人。苦笑いしつつ購入する。
ランタン2つ松明4本。松明はいざという時のために各自予備を持ち歩くことに。
同様にあれこれ話し合いながら、洞窟の中での戦闘を想定してあらこれ準備を進める。
二人と1匹の買い物は思ったよりも楽しかった。
何だか一人前の冒険者になったみたいだ。
読者様へ
読んでいただきありがとうございます。
76万作以上ある「魔境なろう」で、僕の物語を読んでくれたことに只々感謝です。
より面白い物語が書けるように精進してまいります。
今後ともお付き合いいただけたら幸いです。




