1-3
読んでくれている人はいるのだろうか。
少しでも需要があれば嬉しいでヤンス。
リサが目を覚ました時、最初に感じたのは柔らかい、そして温い、だった。
ベッドの上で、リサには毛布がかけられていたのである。
「ここは……」
「おや、目が覚めたかね」
まだ頭がぼんやりとしたまま、柔らかな寝床からゆっくりと身を起こすと、聞いたことのない声が降ってきた。
まるで気配を感じなかったことに内心で驚愕しつつ、そちらへ顔を向けてみれば、そこにいたのは一人の美女であった。
床にまで届きそうな銀の長髪は窓から差し込む斜陽で仄かに輝き、感情の読み取れない顔立ちはまるで人形のように整っている。
着ているのは飾り気のない作業着のようだが、この人物が身に着けるだけで一級品のドレスに勝るとも劣らない衣装に思えてくるから驚きである。
寝起きに遭遇するにはインパクトの強すぎる美貌に衝撃を受け、リサが美女の全身をまじまじと見ている間、相手も同様にリサの様子を観察していたらしく、しばし眺め回した後で満足そうに小さく頷いた。
「うむ、どうやら後遺症の類も無さそうだ。十夜君が昨晩君をかつぎこんできた時は、君は完全に気を失っていたからね。どこか怪我でもしていないか心配していたのだよ」
「十夜君?」
「ああ、彼だよ」
美女が視線で促した先を見やってみれば、枯れ草色のコートを羽織った青年が壁に寄りかかってこちらを窺っているではないか。
「あ、あなたは!」
気を失う直前の状況が脳裏に蘇り、思わずベッドから飛び起きかける。だが、美女はやんわりとリサを押しとどめた。
「落ち着きたまえ。色々と言いたいこともあるのだろうが、ひとまず事情の説明をお願いできるかね。何しろ、私達は君の名前も知らないのだから」
そう言ったかと思うと、美女がポンッと手を打つ。
どことなく芝居がかった仕草だったが、人間離れした美貌を持つ者がやると、そのギャップのせいか緊張の糸を少しだけ緩ませる。
「そういえば、こちらもまだ自己紹介をしていないじゃないか。これは失礼したね。私はネーアという。『銀糸境界』の代表を務めている者だ。あちらにいるのは荒凪十夜君、彼の所属は……まあ、現在は『銀糸境界』の一時預かり、といったところになるかね」
「……リサよ。リサ・ノウファースト」
完全には警戒を解かぬまま、リサは己の名前のみ投げつけるように告げた。何もかもが想定外ともいえるこの状況では、迂闊に肩書やら立場を告げるのは抵抗があったのだ。
そんな警戒心もどこ吹く風と、ネーアは転がすようにリサの名前を何度か口にすると、いきなり、しかし核心を突く質問を放ってきた。
「それでは単刀直入に訊こう。君は、どこからやって来たのかね」
「……………………」
さすがに即答はできなかった。というよりも、リサ自身も答えに窮していたのである。気を失う直前の状況を思い起こせば推測こそできるものの、その回答を口にするには若干どころではない躊躇いがあったためだ。
そんな心情を知ってか知らずか、リサが口を開くよりも早く、
「ふむ。どうやら思っていたよりもクリティカルな質問をしてしまったようだね。すまない、一度忘れてくれて構わんよ」
拍子抜けするほどあっさりとネーアは質問を取り下げた。
訝しげなリサの視線に気付くと、分かっているとでも言いたげに頷いてみせる。
「とはいえ、こちらとて詳しい事情を知りたいという思いはある。もちろん、それは君もだろう?」
「……ええ、そうね。それに、より切迫しているのは私の方みたいだし」
「現状把握は正確のようだ。話が楽で助かるよ。そこで提案なのだが、お互いに1つずつ質問し、順番に答えていく、という形式はどうかね。答えにくい質問であれば回答を拒否しても構わない。その場合、別の質問をさせてもらうことになるがね」
ネーアの提案にリサはしばし黙考する。確かにその方法ならば、少なくとも一方的な情報の搾取にはならないだろう。無論、嘘をつかれる可能性もあるし、元々の情報量に差があれば有利不利は出てくるだろうが、それは別の方法でも同じことだ。
ならばここは、相手の土俵に乗ってでも情報を得るべき場面である。
「分かったわ。ただし、回答に説明が必要だと判断した場合はきちんと補足してもらう。これは質問に数えない、ということならば」
「かまわないとも。それから、これはサービスだ。最初に質問する権利はそちらに進呈しようじゃないか」
リサの要求を即座に了承し、更にリサの方から先に質問するように促してくる。その応対からして、この流れはあらかじめ想定済みだったとみて間違いないだろう。
掌の上で踊らされている気分を味わいつつ、リサは深呼吸すると切り出した。
「それじゃ最初の質問。ここは一体どこなの?」
「ふむ、我々『銀糸境界』の狭河市支部だね。表向きは骨董品店を営んでいるが……」
そこまで答えたところで、リサの表情から物足りない様子を読み取ったのか、ネーアは頬に手を当てると思案するように両目を閉じた。
音もなく椅子から立ち上がると、窓辺に歩み寄りカーテンを開ける。差し込んでくる茜色の西日を背に、生徒を試す教師のような口調で一つの名前を言の葉に乗せた。
「交叉都市……いや、狭河市という名前に心当たりは?」
「……無いわ」
言葉の響きからして地名だろうか? 少しの間記憶を探ってみるリサだったが、ハザカワなどという奇妙な響きに聞き覚えはなかった。
その答えを聞くと、ネーアは我が意を得たりとばかりに頷き、続けて名前を挙げていく。
「日本、アジア、地球という名前では?」
「同じく。心当たりは無いわね」
「なるほどなるほど。ちなみに、順番にこの街、国、地域の名前、そしてこの世界、つまり星の名前だよ」
「!!」
ネーアの説明に少なからぬ衝撃を受け、リサの全身が一気に硬直する。だが、すぐに唇を噛みしめてネーアに向き直った。
「そう……何となくわかっていたけど……ありがとう、その言葉で確信できたわ」
「どういたしまして。では今度はこちらが質問する番だね。改めて問おう。君はどこから来たのかね?」
「……多分、信じてもらえないかもしれないけど」
リサは言葉を濁すものの、ネーアは即座に首を横に振ってみせる。
「かまわないさ。それが君の回答であるというならば、私達はそれを尊重するとも。そうだろう、十夜君」
これまで我関せずの態度を貫いていた十夜だったが、唐突にネーアに同意を求められ、ビクリと身じろぎをした。
「いきなりこっちに振らないでくださいよ。ビックリするじゃないですか。まあ、リサだっけか、あんたに嘘ついて誤魔化そうってつもりが無いのはなんとなくわかる。だから、どんな答えでも言ってみりゃいいさ」
気を使うというよりも無関心の色が滲み出た十夜からのフォローだったが、かえってそれで気が抜けたのか、リサはあっさりと逡巡していた内容を口にすることができた。
「分かったわ。私は……そうね、あえて言うならば異世界からやって来たわ」
「ま、そんなところだろ」
夢想扱いされるのを覚悟していた回答をあっさりと肯定され、リサはおもわず目を瞬かせてしまう。
「えーと、自分でも突拍子もないことを言ってるって自覚があるんだけど、少しは疑わないの?」
「さっきも言った通り、あんたが嘘をついている様子は無いからな。それにちょっとばかり事情もある」
「事情?」
「そいつはおいおい、な」
はぐらかすような十夜の態度にカチンと来て、思わず険のある視線をぶつけるが、十夜はどこ吹く風とそれを受け流してしまう。
険悪になりかけた空気を振り払うように、ネーアが二人の間に割って入った。
「判断材料はいくつかあるがね。まずはリサ君の格好だ。軽く見せてもらったが、かなりの強度の魔術が施されていた」
それがどうして異世界とつながるのか理解できず、リサは小首を傾げた。この反応も予想していたらしく、銀髪の美女はすぐさま言葉を続ける。
「これは推測になるのだが、リサ君の世界では魔術が盛ん――少なくとも社会的に認知されているのではないかね?」
「当たり前でしょう。魔術士教会はどの国にだって存在するし、兵士を募集する時だって魔術士枠があるわ。亜獣と直接戦うことのない一般市民でも、【灯り】の魔術くらいは使えるでしょうね。ちょっと待って、そう言うってことはこの世界では……?」
リサが思い至った結論を、ネーアは殊更にゆっくりと頷くことで強調してみせた。
「ご想像の通りだよ。こちらの世界において魔術とは、物語の中にだけ存在する架空の技術というわけだ。いい歳をした大人が魔術を公に認めるような発言をすれば、その真偽に関わらず、社会的に変人のレッテルを張られるだろうね」
残念なことにね、と言いつつさほど残念そうでもないネーア。リサはわずかな間だけ沈黙するが、すぐにぽつりと矛盾点を口にしていた。
「……でも、あなた達は当然のように魔術を認識している」
通常、人は自分の知識や常識と異なるものを見聞きすると、まずそれを疑ってかかるものだ。だが、リサはあっさりと自身の常識に反する説明を受け入れ、その上で即座に疑問点を突いてみせた。反発するだけでも鵜呑みにするだけでもないその態度は、魔術師として好ましいものである。
そのためだろうか、ネーアも常になく饒舌に語る。
「その通り。先ほどの説明は、あくまで表の社会のものだ。探すべきところを探せば、この世界とて魔術や魔術師といった者達はいるものなのだよ。むしろ、魔術を使える者達が率先して魔術を隠し通してきたからこそ、今の社会があるとも言える」
なぜ隠してきたのかと問いかけそうになったところで、リサは本題からずれてきたことに気付き、頭を振って思考の方向修正を試みた。同時に、最初の説明の理由に思い至る。
「なるほどね。この世界では魔術を使える人は限られている。つまり、魔術士のコミュニティはそこまで大きくない。だから他の魔術士や魔術については、あなた達は相対的にかなりの情報を持っている。だけど、私や私の装備にかけられていた魔術には心当たりがなかった。では、心当たりがない理由とは?」
「ご明察。既知の魔術の傍流程度ならばともかく、まったく未知の魔術となれば、それは『外』から来たものと考えた方が辻褄に合うというわけだ」
ネーアはパチパチと小さく拍手をし、臨時の生徒の回答に合格点を与えた。
だが、本当にそれだけだろうか、とリサは一抹の疑問を抱く。いかに魔術士といえども、別世界の存在をそう簡単に推測できるものなのだろうか。
「無論、私達が存在を知らない魔術、というだけでは不足だがね」
まるでリサの心を読んだかのようなタイミングで、ネーアの補足が滑りこんでくる。
「君の装備に関しても、込められた魔術同様にその素材に心当たりがない。加えて決定的だったのは先刻の君の反応だ。この街の名前程度ならともかく、星の名前も知らぬ魔術師がいるはずもないからね」
「それはそう、でしょうね。ともあれ、理解はしたわ。納得できたとは、とてもじゃないけど言えないけど」
整然と語られる説明には、少なくとも破綻は見当たらない。いずれかの前提条件を覆しでもしない限り、受け入れるしかなかった。
リサが落ち着くのを待ってから、ネーアは一問一答を再開する。
「では次はそちらの番だね」
「ええ、そうね…………昨日何が起きたのか、あなた達の視点で構わないから、詳細に教えてもらえないかしら?」
リサがそう頼むと、ネーアは軽く頷いて十夜の方を振り返った。
「そういった話ならば、彼の方が適切だろう。私が受けた報告は、所詮は伝聞に過ぎないからね」
つまり、十夜から直接聞けということらしい。てっきり先ほどのような曖昧な態度を取るかと思いきや、十夜は「はいよ」と軽く応じると、昨晩の出来事を時系列順に説明しだす。
『銀糸境界』の任務であの山中に赴いていたこと、そこにザハクと名乗る魔術師が戦いを挑んできたこと等々。
要点が整理された説明に良い意味で拍子抜けしていたリサだったが、鎖の群れを斬ったらリサが放り出されてきたと語られたところで、つい声を荒げてしまった。
「ちょ、ちょっと待って!!」
「どうかしたか?」
十夜からすると話の腰を折られた格好だが、特に気にする様子もなくリサの制止に応じた。器が大きい、というよりも無関心に近いのだろう。そんな態度に気付くこともなく、リサは十夜の説明に異を唱える。
「その鎖の群れは、おそらく私の召喚術式が対象を捕縛するための形態だと思う。でも、斬ったって! あれは魔術よ。魔術が斬れるわけないわ。それにどうして鎖を斬ったら、私が鎖に捕まって召喚されてくるのよ。あべこべじゃない!」
ヒートアップしていくリサとは対照的に、十夜は投げやりな様子で一言だけ告げた。
「それは秘密だ」
「秘密ですって!?」
「一応、うちの流派の奥義に分類される業なんでな。ほいほいと説明するわけにはいかない。ともかく、俺は魔術を斬ることができる。ほら、あんたの使った矢の魔術だって斬ってみせただろ」
そう言われて記憶を辿ってみれば、確かに気絶させるつもりで放った【麻痺の矢】を、十夜は目の前で斬り払ってみせていた。
その記憶を思い出したところで、芋づる式にもう一つの光景が思い起こされる。十夜が【麻痺の矢】を斬った直後、なぜか矢が突如出現し、リサを襲ったのだ。
どちらのケースも形式上は、十夜が魔術を斬ると、それが術者自身であるリサを襲ったことになる。これは偶然の一致だろうか?
「偶然ではないよ」
気付かぬうちに口に出していたのか、あるいは思慮に耽る表情からその思考を読んだのか。ネーアがリサの疑問に対して答えを示してくれた。
「こちらの世界、この国には、『人を呪わば穴二つ』という言葉がある。一般的には、悪事を行えば回り回って自分に降りかかってくるという戒めだが、こと魔術師にとっては別の意味を持っていてね」
「別の意味?」
「式の発動より以前に抵抗された魔術は、術者本人にその牙を剥くのだよ。魔術師は【返しの風】とも呼んでいる現象だがね」
それでようやく合点がいった。
召喚術は本来、召喚対象を召喚主の元へ呼び寄せる魔法だ。それが“返された”ことで、召喚主であるリサが召喚対象である十夜の元に呼び寄せられたのだろう。
「じゃあ、私がこの世界に来た原因って、つまりは――」
「多少の不運と自業自得、ということになるのだろうね」
対象を強制的に招き寄せる召喚術でなければ、返されてもリサが逆に召喚されることはなかっただろう。あるいは、破られた魔術が術者に返る世界でないか、召喚対象が魔術を斬ることのできる相手でなければ、そもそも術が返ることすらなかったはずである。
偶然に偶然が重なった事故。一言で片づけてしまうのは簡単だが、事故に遭った当人としては、運命と呼ばれるものに対して文句の一つでも言いたくなる心境であった。
「事情が飲み込めたところで、我々からの最後の質問をしても構わないかね」
あまりといえばあまりな結論のため、一瞬だけ思考停止に陥りかけていたリサだったが、放っておくつもりの無いらしいネーアの言葉に、強引に視線を上げさせられた。
リサの意識が己に向いたことを確認すると、ネーアはこれ以上ないほど端的に、その問いを口にする。
「これから、君はどうするつもりなのかね?」
簡潔で、しかし途轍もなく重い問いかけだった。リサは少しの間だけ目を閉じていたが、すぐに胸中で答えをまとめると、ゆっくりと瞼を持ち上げた。
「ひとまず、この世界についてもっと知識を蓄えることにするわ。最終的には元の世界に帰りたいけど、一朝一夕でできるとも思えないから」
「妥当な判断だろうね。そんな君に一つ提案なのだが、しばらく『銀糸境界』に厄介になってみるというのはどうかね」
ネーアからの勧誘に、リサの眉がピクリと動く。
わざわざ気絶していたリサを連れ帰って寝床を提供してくれたことから、ネーアという個人もしくは『銀糸境界』という組織が、リサに対して友好的に接する意図があることは理解できている。
その理由については、おそらく情報の獲得なのだろう。
リサという異世界の人間がもたらす知識や、異世界そのものについての情報。それだけでも『銀糸境界』という魔術士教会――こちらの世界では異なる名称のようだが、リサの知識に照らせばそうなる――にとっては保護する十分な理由となるはずである。
「……居候させてもらう条件は?」
一方的に世話になる展開は避ける必要があると考え、リサは取引内容を確認した。言ってみればこれは、自分の失態の結果でもあるのだ。いくら好意的に接してくれる相手でも、一から十まで相手に甘えるようなことは、彼女のプライドにかけて許容できない。
「1つ、こちらの世界における君の生活に必要な物資・知識の提供。2つ、君の希望する元の世界への帰還を達成するためのサポート。主にこの2点について、我々は君に提供する用意があるね」
ピッと指を立て、ネーアはすらすらと条件を提示していく。
「君の方からは――そうだね。帰還までの間、我々の外部構成員という立場になってもらおうか」
「具体的には?」
「そう身構えなくても大丈夫だとも。強制的な命令権を保持するつもりは無いさ。そうだね、例えば我々の手が足りない場合などに、適宜仕事をこなしてもらうというのはどうかね。仕事の内容が気に入らなければ、拒否してもらっても構わない。そして、仕事をこなしてくれれば、仕事の内容に応じて報酬を支払おうじゃないか。君の世界にも貨幣の概念はあるのだろう?」
「……はっきり言って、信用できない」
提案内容を吟味したリサがぽつりと漏らすと、ネーアは「ふむ」と苦笑のような吐息をこぼした。
「抱え込むよりは素直に言ってくれた方が対処しやすいものだが、それにしても随分と手厳しい。これでもかなり譲歩しているつもりなのだがね?」
ネーアが気を悪くしたと思ったのか、リサは慌てて弁解した。
「あ、ごめんなさい。そういう意味じゃないわ。逆よ、私にとってデメリットが見当たらなかったから」
「なるほど、逆に警戒させてしまったかね。だが、他意は無いのだよ。信じるかどうかは君次第だが、君を保護することは我々にとっての利益――というより存在意義に近いものでね」
存在意義。どういう意味だろうかとネーアの顔色を窺うが、眉一つ動かさないその無表情からは、どんな思惑も読み取ることはできなかった。
だが嘘をついている様子はない。参考情報として壁にもたれかかっている十夜の様子も横目で見やってみるが、そちらはまるで興味が無いといった風に大きな欠伸をしていた。
判断をくだすには明らかに情報が不足していたが、それでも決断はしなければならない。リサは覚悟を決め、その提案を受け入れることにした。
確かに生活や情報の支援は必要だし、もし害意があるならばこんな迂遠なやり方をする必要は無いからだ
「分かった。申し訳ないけど、お世話になるわ」
リサの返答を聞くと、ネーアはすっと右手を差し出し握手を求めてくる。
「歓迎しよう。『銀糸境界』狭河市支部へ、ようこそ」
相変わらずの無表情のまま、そう告げたのだった。
勘の良い人はきっと色々読み取れるかと。
噂では、作者も考えていなかった設定も先読みできるらしいし。