日常
御門の様子が変だ。
いつもぼーっとしているが更に磨きがかかっている。
「空、どう思う?」
「御門じゃないから分からない。」
確かに最もな答えだ。ここは本人に直接聞くのがいいだろう。
放課後、唐草を捕まえて話を聞くことにした。
気が付けば授業は終わって人がいなくなっていた。そんな感覚だった。
目の前には唐草と双子が座っている。
「御門、昨日帰ってから何かあった?」
直球だ。海らしい。
昨日あの言葉をこぼしたとき母さんは一瞬驚いた顔をして、変な夢でも見てたの?と笑った。
自分が何も言うことはなかったし、普通にご飯を食べたと思う。
けれど、一度ことばにしたものはなかなか頭から離れない。
こびりついて、こだまして。
やっぱり双子同士息ぴったりだ。へらっと笑って特に何も、と言おうと口を開いた瞬間、
「はい、ダウト。」
さえぎられた。
「御門が笑うときはごまかす時が多い。」
きっかけまで話したのに隠す気?と。それを言われると何とも言えない。
唐草のほうにちらっと視線をやるがあの眼光は見逃してくれそうにない。
誤魔化しは効かない、な。
正直に昨日のことを話した。
「兄さん、か。それが忘れている人か。」
「もう存在に気付いたのなら思い出すのも近いはず。」
「それで、」
「「御門は思い出したいの?」」
「思い出したい、かな。」
きっとこれは切実な思いじゃない。単なる好奇心に近い。
皆はそれぞれ複雑な顔をしていた。
「ねえ、」
海が口を開く
「花火、しようか」