放課後
「さて、どうしようか。」
海が言うのも最もだ。皆で寝てしまったのでいわゆるサボったことになっている。
「こっそり帰れば問題ない。」
そもそも学校にきてないことにするのか。
皆、親が仕事で家にいないのでバレていないと思いたい。
唐草も怒られるのが面倒くさいようで賛成している。
「じゃあ、力をフル活用して行きますか。」
空がにやっと笑った。
結論から言うと、とても簡単に下駄箱まで辿り着いた。
唐草の耳を使えばそんなものだ。
靴をはきかえて出ようとした瞬間ーーー
ぽんっと肩に手がおかれる。
そっと振り返るととてもいい笑顔の現国の先生がいた。
パチン、パチンとホッチキスの音が教室に響く。
「御門が見つかるからー」
「「そうだそうだ」」
皆ぶうぶうと文句を言っている。
いや、あれは誰でもそうなったと思う。
見つかった結果、口止め代わりに資料のホッチキスをやっているというわけだ。
「御門はトロいんだよ。」
「「そうだそうだ。」」
言いたい放題言いやがって。
けど何か言うと10倍になって返ってきそうなので黙っていた。
パチン、という音と共に日は暮れていった。
そうだそうだと双子に同調しながら御門が先生に見つかった時のことを考えていた。
全く聞こえなかった。
自分が足音に気づかないはずはないのに。
下駄箱に着いて気が抜けていたのだろうか。
「唐草?どうかした?」
とっさに何でもないと答える。
考えても答えは出そうになかった。