03-2
中に入ると、机の上に置かれた見知らぬ物に目を取られた。
驚くほど多彩な人形が並べられていたのだ。それに加え、小さな車輪と持ち手のついた大きな箱、薄い板等、見たことも使用方法も分からない物が置いてある。
来たときにはこんな物を所持していたはずがないよね。もしかして、マジックバッグかそれに類する能力でも持っているの?
視線をなるべく動かさず、光佑様の方をみる。
「お茶のご用意を致しました。ご要望等はございますでしょうか」
「じゃあ、アールグレイで」
「かしこまりました」
アールグレイは昔来た勇者が、有名なお茶だと言って広めたため、それなりに飲まれているとか。
まあ、値が張るから、王族や貴族、金のある商人ぐらいしか飲む人はいないんだけどね。かくいう私も、お茶の入れ方を教えられたとき、味を覚えるための1回だけしか飲ませてもらったことはない。
手順をなんとかして思い出しつつ、慎重にお茶を入れていく。
高いお茶だからか手が震えそう・・・・・・
「そういえば、こんな物を持ってたんだけど使える?」
チラリと見ると、光佑様は長方形の板を取り出していました。
「いえ、そのような物は存じませんが・・・・・・なにか魔法でも込められているのですか?」
一応この世界には魔法もあるので、その類いの物なんじゃないのかな?
どのみち見たことないってことは、この世界にはまだ無い技術で作られた物だろうから、自慢をしたいとみた!
「へ~」
あ、やっぱり
この顔は見たことがある。と言うか、貴族が良い物を手に入れたときに良くする顔。
「これはね、こうやって使うんだよ」
そう言いつつ、光佑様がその板を触ると、板の色が変化した。
その後、色が変化した面を自分の方へ向け、指を当てて怪しげな動きをしてる。
「ハイ、チーズ」
パシャ
「もうちょっと笑ってほしかったな~」
そんなことを言いながら、私の顔(と思われる絵)が写っている面を見せてきた。
「それは写真を撮る物でしょうか?」
一応、写真はある。
1枚がすっごく高いし、毎回現像しないといけないから、これみたいにすぐに見ることは出来ないけど。
それに、この勇者がバカじゃなければ、1つの機能しか持たないような物をおいそれと種明かしするとは思えない。疑り深いとよく言われるけど、そのせいもあってこの担当になったんだし、これで良いんだよ。
それにあの大きさの板なら、さらに数枚は隠し持っているだけのスペースはあるし、見知らぬ物を取り出したのもアレが関係あるんじゃない?
「そうだよ~。というか、写真には驚かないんだね」
白黒かつ現像するまで見れませんけどね。
「ええ、まあ高いですが写真はございますので」
あ、がっかりした。この子わかりやすいな~、というか子供っぽい。