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猫子さん  作者: 柊 風水
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 なにいってるのだってうたこはげんにひとのすがただよやめてじょうだんはやめてくださいおねがいしますゆうことをききますからなんでもききますからほんとうにおねがいしますでもでもほんとうはわたしわかってただってりゅうくんはひとこともいっしょにくらしているのにうたこのことについてなんにもいわなかったしごきんじょもうたこのことだれのなにもいわなかったのはおかしいとおもってたんだじゃあなんでわたしはうたこがみえたの? そうだあのひおかあさんたがしんだひ―――


 







『父さんそれ結子が大事にしているぬいぐるみだよ!』

『うるさい! あいつが買った物なんて見たくもない!』

『ふざけるなよ! ばあちゃんの悪口を言うな!』

『 黙れ! それが親に言う言い草か!』

『あんただってばあちゃんにいつも酷い事言ってただろ!?』

『黙れ!!』



 リビングから乾いた音。そして何が大きな物が倒れる音。

 急いでリビングに向かう私。そこにいたのは。


 頰を真っ赤にして倒れているりゅう君。


 拳を作って荒い息をしているお父さん。


 驚いた様に目を見開いているお母さん。


 手に裁縫バサミを持っているお母さん。 


 お母さんの足元には――――足元には。








 ――――ぐちゃぐちゃにされた宝物の、おばあちゃんの唯一の形見の、私の妹の様な、トモダチの










 ――――――ぬいぐるみの、うたこ。














 そうだ。私は『うたこ』がボロボロになっているのを見て、悲しくって悲しくってそれ以上に許せなくって怒りでどうしうようもなかった時に見つけてしまったのだ。

 机の上に乗っていた林檎と―――果物ナイフ。






 しっかりとナイフを待って。


 お母さんに向かって走って。


 体重全てをナイフに捧げて。


 お母さんに体当たりをした。


 肉の感触が気持ち悪かった。

 


 倒れるお母さんにもう一度。もう一回。あと一回。最後の一回。おまけにもう一回。……もう一回。

 もう一回もう一回もう一回もう一回もう一回もう一回もう一回もう一回もう一回もう一回もう一回もう一回もう一回もう一回もう一回もう一回もう一回もう一回もう一回もう一回もう一回もう一回もう一回もう一回もう一回もう一回もう一回もう一回もう一回刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して指して刺して刺して刺して刺して刺して刺してさして刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺してさしてさしてさしてさしてさしてさしてさしてさしてさしてさしてさしてさしてさしてさしてさしてさしてさしてさしてさしてさしてさしてさしてさしてさしてさしてさしてさしてサシテサシテサシテサシテサシテサシテサシテサシテサシテサシテサシテサシテサシテサシテサシテサシテサシテサシテサシテサシテサシテサシテサシテサシテサシテsasite

 







 後ろから耳障りな獣の叫び声がした。

 此方に突進する音がして咄嗟に後ろに振り向こうとしたが、如何せんナイフが簡単に肉から外れなかった。


 だけど、お父さんが突然転んだ。


 お父さんの右足にりゅう君が必死の形相でお父さんにしがみついていた。


 お父さんがりゅう君から離そうとして頭を左足で蹴っている。


 りゅう君に気を取られている間にナイフを肉から外してそのままお父さんに向かって走った。

 ナイフを横にしてお父さんの首に向かって思いっきり引裂いだ。






 視界が真っ赤になった。







 パジャマの袖で眼鏡を拭いて視界がやっと晴れた。そこでやっと私の頭が冷静になった。



 全身が真っ赤になってるお母さん。うつ伏せで血だまりの中に倒れてるお父さん。唖然とした表情で私を見ているりゅう君。

 私はジワジワと自分のやった事の重大さに気付いた。肉の感触が段々と思いだしてしまった。


『う……わ……ああ!』


 私はとんでもない事をしてしまった。そんな事は幼い子供である私でも分かった。


『――――――――――!!!!』 


 声にならない悲鳴。私は頭を抱えて蹲った。

 悲鳴を上げて上げて声が枯れそうになるまで叫んだ。

 自分が犯した罪に押しつぶされそうになって落ちていたナイフを手に取って自分の喉に刃を当てて――


『何やってんだよ!!』

 手に持っていたナイフを叩き落された。

 叩いたのはりゅう君だった。


『だ、だってりゅう君私、私!』

『お前は悪くない! 悪いのはとうさん達だユイは悪くない!』

『だけどお母さん達を私殺したんだよ! こ、このまま生きても苦しくて生きて行けないよ! だから!!』

『ッ……見ろ!』


 りゅう君が落ちていたナイフを掴んでお父さんの背中に突き刺した。

 三、四回突き刺した後、お母さんだったモノにも同じようにナイフを突き刺した。

 気が済んだのか刺すのを止め、ナイフをそこら辺に投げ出した。私の肩を強く掴んでからゆっくりと聞き分けなのない子供に言い聞かせる様に言葉を紡いだ。


『いいか、良く聞け。止めをさしたのは俺だ。『俺が父さん達を殺したんだ。』お前はこれだけを覚えて後は忘れろ。分かったな?』

『でも、でも』

『お前も分からずやだな。良いか』

 りゅう君が肩を強く掴んだ肩が湿ってきた。

『『俺が父さん達を殺したんだ。』これは誰にも言ってはダメだ』 


 その声の強さでりゅう君の意思の強さが分かった。

 その声に押されてしまって私は思わず頷いた。……本当はりゅう君が私の為に自分が罪を背負ってくれた事が嬉しかった。


『……うん』

『良し。じゃあ指切りだ』

 差し出された小指に私は恐る恐る自分の小指を絡めた。

『指切りげんまん』

『嘘ついたら針千本の~ます』

『『指切った』


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