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猫子さん  作者: 柊 風水
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 どういう訳かいつの間にか結子は『うたこ』を『歌子』と認識したのだ。

 身内以外の対人関係が皆無に近い結子は『イマジナリーフレンド』が出来たのだ。


 何故『友達』ではなく『妹』なのかは今となっては定かではないが、もしかすればいつも琉人に守られてばかりだったから『妹』とゆう弱い立場の存在を作って『守る側』になって琉人の負担をなくそうとしたのではないかと後に琉人は考えている。


 先程猫子が説明した通り他の人と触れ合えば自然と消える存在なのだが、彼女の両親は結子がああなったのは祖母から貰ったあのぬいぐるみが原因ではないかと考えた。あのぬいぐるみがあったせいで結子がああなったのではないかと信じたからだ。……もともと祖母と仲が悪いのもそう思った一因かもしれないが。

 それから両親は『うたこ』を捨てようとあの手この手で結子から奪おうとしたが、大人しい結子は初めて反発した。『妹』が出来たお蔭で前は両親の言われるままだった結子が反抗する勇気を持てるようになった。


 両親は暴力を振ろうとする度に祖母は結子を庇った。祖母は医者をやっていた関係でイマジナリーフレンドを良く知っていた。琉人もオドオドしていた結子が明るくなっていく姿を見てあのぬいぐるみのお蔭だと思っている。だから『うたこ』を両親から守っていた。

 この攻防を結子の祖母が死ぬまで続いた。

 そして祖母の四十九日の夜に――――あの惨劇である。




「ところで瞳孔君。一つ質問していい?」

「何だ」

「野々神て、大学生を殺したのキミだよな? あとキミの家を燃やしたのも」

「……どうせお前には隠せないだろう」

「うん。ミーコが話してたもん」

 瞳孔君が驚いた顔で足元にいるミーコを見た。ミーコは顔を逸らした。


「…………ああ、確かにミーコに見られたな」

『……』

「殺人の動機はやっぱり青江さんの記憶を思い出させた事?」

「ああ。それと()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「正確には君が無実の罪を着せられた哀れな強盗殺人犯だね」

「他に四件も殺してんだ。二人殺した事にしても変わらんだろ。でもまさか適当に言った犯人がまさか実在するとわ思わなかったけどな」

「野々神が青江さんに近づいたのは父親の復讐?」


「はっ、まさか。あいつの父親は暴力酒乱借金の最悪三点揃いの男だ。母親も良くアレと結婚出来たよな」

「愛は盲目て言うしね~。じゃ何で近づいたの?」

「手前のオヤジのせいで両親を殺したせいで苦労を掛けた償いのつもりだとよ。殺すときに聞いた」

「ふ~ん。気持ちは分かるけど素人がずけずけと精神科医の真似事をするのは良くないな~。そのせいで目を覚ましちゃいけないモノを目を覚ましてしまった。黒幕は野々神て言われても仕方ないわね」


「あいつは償いをしたいんじゃない、あいつは自己満足したいだけだ。最初あいつの顔を見たとき嫌な奴と思ったさ。俺は何度あいつと付き合うのはやめとけて言った。……帰った時に半狂乱のユイを一人にしたあいつが許せなかった」

「だから殺した」

「ああ。あいつを殺した事に関しては後悔していない」


「証拠隠滅も?」

「悪いのはあいつらだ。あいつらが何にもしなかればユイは人殺しをしなかった」

「はあー……そこまあでいけば逆に凄いよ」


「シスコンで何が悪い」

「開き直った!!」 

「ユイみたいな頭が良くてスタイルも顔も良いヤマトナデシコな女だぜ? シスコンにならない方が可笑しい」

「ああバカだよ。最高級レベルのバカだよコイツ」

『すみませんお嬢、琉人はユイの事になると大馬鹿になるんですよ』

 ミーコすら呆れる程のシスコンぷっりである。


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