2
完結目指す!
「さてと」
自室でメイドの入れた紅茶を優雅に飲んでいる私は今後の計画について考えを巡らせた。王家が黙っている今のうちにエイーンバーン家の倅と結婚しなくては。
思い立ったが吉日、私はエイーンバーン家の新しい婚約者であるルシュドに会いに来ていた。
「ようこそおいで下さいました。エイーンバーン家のルシュドです」
噂に違わぬタプタプという音が喋る度に聞こえてくる、気がすると思いたい男が目の前にいる。顔は脂ギッシュでテカテカ。さらに無精髭が汚さを醸し出している。
「まさか息子にこんな素敵な婚約者が出来るなんて、、!」
エイーンバーン夫妻は感動に胸を膨らませている。
「エルティア家のシルヴィアと申します。不束者ではございますが今後とも末永くどうぞよろしくお願いします」
微笑みをたたえ、綺麗な挨拶をした私にルシュドは顔を赤らめそのあと
「ふ、ふん!」
とそっぽを向いた。夫妻は感動しすぎて涙を流している。さてそんな卑屈豚のご両親はとても美形である。
(あぁ、素敵だわ)
エイーンバーン家当主であり、卑屈豚の父であるルカリオを見つめ興奮する。そう。私の好み、ドンピシャである。
「シルヴィーが息子に嫁いできてくれるなんて夢みたいだ。ずっとそうなればいいと思っていた。これからよろしくね可愛い義娘さん」
(キャーーーーーーーー!!!!!!!!)
私の心は美丈夫の言葉にテンションMAXである。何しろ私がルシュドと結婚しようと思ったのは彼がいるからである。金髪碧眼のルカリオ、とてもカッコいい!!そう。私は黒髪より金髪碧眼が大好きなのだ。
「私も素敵なお義母さまとお義父さまが出来てとても幸せです」
喜びを全開にすると感動で涙を流していたお義母さまは号泣してしまった。まぁ受け入れられているのは嬉しい。
あとはお若い2人で、とお見合いじゃねえんだよと言いたいセリフを残して出て行ったお義母さまとお義父さまを見送り、ルシュドの前に腰を落とす。
「お前も金目当てなんでぶか?権力でぶか?あぁ、婚約破棄されたと言っていたでぶね」
、、、、、、、、語尾にデブをつけるのを止めろ。今すぐにだ。
もちろん私だって無計画で婚約したわけではない。父譲りの金髪碧眼。ほぼ肉で埋もれているがしっかりある綺麗な目鼻立ち。
ふふふふふ!
ふふふふふふふふ!
私は彼の未来の姿を想像して胸を膨らませた。
いい男がいないなら作って仕舞えばいいホトトギス!!!
「エルティア家は公爵家、お金にも権力にも困っておりませんわ」
といってもエイーンバーン家に嫁ぐことで政治的意味をしっかりなす。王家に最も近い存在だからだ。
「素敵な夫婦になりましょうね」
微笑んで見せればルシュドはたぷたぷ言わせながら顔を赤くした。
「でも僕を見れば女たちは眉を潜めコソコソと罵倒する生き物でぶ!君みたいな女神のような人とはあわないでぶ!!」
僕なんか、僕なんかと言い始め挙句の果てには自分の見目を他者のせいにし始めた。
ふむ。卑屈である。しかし自分の見た目のことを理解しているのか。これは好都合。
「でしたら、誰にも一切文句なんて言わせないようなお似合い夫婦になりましょう。全力で協力しますわ」
脂ギッシュな手を握り、視線を合わせて訴えれば肉に埋まった目を瞬かせて、と言っても肉に阻まれてちっとも空いていない。
「僕頑張るでぶ!!」
と答えた。
私はうまくいきすぎるくらいうまくいっている現状にほくそ笑んだ。
まずは上々ね。




