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思いついたので書いてみました!
すぐ完結する予定です!
もう1つの悪役令嬢ものをちゃんと投稿します、、はい、ごめんなさい、見捨てないでください、、
公爵家に生まれた令嬢の私は幼い頃から王子の婚約者として育てられた。
私が婚約者であるアシュラに会ったのは5歳のこと。
そこには王族である証の黒髪に深い端正な将来を約束されたような顔立ちの王子がいた。
婚約者と知りつつ初めて会った私はその姿に、、
(好みじゃない)
と思った。
しかし、いかんせん政治的な意味でも公爵家の娘である私が王妃になるより他はなかった。せっせと辛い王妃教育をうけ、そこら中で開かれるパーティーやお茶会にはアシュラが私をエスコートした。
時は流れる。
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「エルティア公爵家シルヴィア嬢との婚約を破棄する」
そう高らかにアシュラの18歳の誕生日を祝う夜会で宣言するのは今まで私の婚約者、だった人。
「お前はこの男爵令嬢レイチェスに不当な数々の嫌がらせをした!よってシルヴィアはエイーンバーン家のルシュドとの婚約を命じる」
アシュラ王子の横で可愛く彼の裾を掴み下を向いている彼女は男爵令嬢のレイチェス。ツインテールの茶色の毛をクルンとカールさせている。
エイーンバーン家のルシュドといえば家柄は王族により近いものに匹敵するものの、豊満な体格の、、要するに豚のような男であった。さらに性格も問題で夜会にも滅多に現れず卑屈豚との噂である。
皆が固唾を飲み、静かに私の言葉を待つ。
さらりと自分のストレートな銀髪が横に見える。
「はいっ。かしこまりました。仰せつかります」
自分が思っていたよりも嬉しそうな声が出てしまった。
「は?」
王子が口をあんぐりさせて、目が点になっている。
「いや、もっと、シルヴィアはそんなことしてないとか、、反省してるから婚約に戻して欲しいとか、、ないのか?」
アシュラがオロオロと聞いてくる。
「いいえ。もし心当たりがないとしても、そう思われる行為を彼女にしたことになりますもの。それはすなわち私の落ち度でございます。」
今度はキチンと悲しそうに微笑んで見る。
周囲の人たちから同情的な視線が送られる。
アシュラに。
実を言うとこのアシュラ、シルヴィアにベタ惚れだった。いつも礼儀はしっかりしてるがどことなくそっけない彼女を手に入れたく、シルヴィアの気持ちを確かめるためにこの芝居をうっている。それは最早周知の事実となっている。野心家な男爵令嬢のレイチェスは王子が好きであったし、本当に自分が婚約者になり、王妃になると思っている。
そしてそのこともシルヴィアは全て知っていた。なんせこの芝居の裏を握っていたのはシルヴィア本人であるからだ。
夜会にこの後、王が見えるよりも早く書面を作る必要が会ったため、形式的で簡単ではあるがあらかじめアシュラに裏から回しておいた、婚約破棄届にとっととサインする。
よし。これで確実に破棄だ!向こうが言い始めたのだ。向こうから覆すことは難しいだろう。
「シ、シルヴィア!君が反省して涙でも見せるのならば俺は、俺は、、、!!」
サインを見てもなおそんなことを言うアシュラに心の中でしつこいと罵倒しながら
「アシュラ様。これでも私はエルティア公爵家の人間。自分の不始末を受け入れられるだけの覚悟は持ってますわ」
と儚げに微笑んで見せる。
この姿に会場にいた男性は頬を染め、婦人たちは同情の視線をよせた。彼ら彼女らはシルヴィアが裏を握っていることを知らない。王子の気持ちに振り回される可哀想な令嬢と思っている。私の家族以外は。
王子の気持ちは届くことなく、シルヴィアは会場から去って行った。




