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2−3:コンドーム

その後、歩いて俺の家にいった。


俺は玄関に手をかける。


開かない。

どうやらばぁちゃんはいないみたいだ。

買い物にでも行ったんだろう。


俺はポケットから鍵を取り出す。キーホルダーもなにもついてない、裸の鍵だ。




「ここがジョニーの家かぁ」



メグは俺の家をまじまじと見る。

俺は、うん、とだけ言って、家の鍵を開けた。



「さ、どうぞ」



俺は玄関のドアを開きメグを招き入れる。





「適当に座って」



俺はダイニングにメグを案内して適当に座らせる。


ダイニングテーブルにはばぁちゃんの置き手紙と一萬円札があった。


手紙には二泊三日で友人と温泉旅行に行く、と書いてあった。それに付け加え、恵ちゃんごめんね!!と書いてあった。


さっきの一万円はばぁちゃんが不在の間の生活費ということだろう。


「メグ、わりい。

ばぁちゃん、旅行行っちゃったみたいだわ」



メグに置き手紙を見せる。


「あらら……

じゃあご飯どうする??」



「ファミレスでも行くか??」



「うーん……」


メグはしばし不満そうに顔をしかめた。

そしてすぐにしかめっ面は解除された。


「じゃあ私が作ってあげる!!」


メグは笑顔で言った。

「うん!!それがいいよ!!

じゃあ作るね!!」



メグは台所に向かう。

まるで家の間取りを知ってるようだった。



「おいメグ、悪いからいいって」



「いいからいいから!!

ジョニーは座ってなさい」


そう言ってメグは台所に入っていく。

その後すぐに冷蔵庫を開け閉めする音がした。

俺は鼻をひとかきして、テーブルに目を戻す。


ん??

俺は、置手紙にふくらみがあるのに気づく

置き手紙のおいてあったところになにかある。

恐らく隠すように置き手紙を重ねたのだろう。


俺はそれを手に持ってみた。

コンドームだった。

一瞬訳が分からなかった。


置手紙裏を向けると、「頑張れ!!ばぁちゃんより」と書いてある。

すぐさまばぁちゃんに今日メグが来ることを伝えたことを後悔した。




ケータイがなる。


ばぁちゃんからだった。



「もしもし??」



「あ、譲二かい!?

いま友達と温泉旅行に行ってるんだけど」


「知ってる」



「なんだい??もしかしてもう帰ってきてるのかい??」



「あぁ」



「じゃあもしかして、置き手紙の裏……」



「コンドーム??」



俺の声は怒りで震えている。


「そう。

使ったかい??」



「バカ!!

てか、ばぁちゃん興奮しすぎだよ。

俺とメグはそんな関係じゃないの!!」



「あれで足りなかったら、あんたの部屋の机の上に三箱置いてあるから」



「はなしを聞け!!」



「かっかっかっ!!

じゃあ譲二頑張るんだよ」





ばぁちゃんは言うだけ言って電話を切った。


今のがばばぁの言うことか。



コンドームを財布にしまった。

無論使う気はない。隠すという意味合いだ。


そしてテレビをつける。


笑っていいともをやっていてそれを見ていた。



笑っていいともが終わりに近づき、最後のミニゲームが始まったあたりに、メグが両手に皿を抱えてやってきた。



「はい、どうぞ!!」



チャーハンだった。

白菜と桜海老が入ってた。



いただきます、と一言言い、一口頬張る。



「うん、うまい」




「よかった」



俺がうまいと言ったのを合図のように、メグも食べ始めた。



「うん、うまい。

やっぱ私天才だわ」



メグも自分で言い始めた。



「自分で言うなよ」



俺は笑いながら突っ込んだ。



明日も見てくれるかな!?とブラウン管のタモリ。

いいとも。心の中で答えた。




昼飯を食べた後は、メグとゲームをした。

鉄拳をした。




メグはやけに強かった。


俺もやり込んでる方だと思ってたがメグのが強かった。少しだけだけど。




「レディースやってたときに先輩とよくやったんだ」


メグは画面を見つめて言う。



「そうなんだ」



俺は必死にコントローラーを動かす。

キャラクターの体力は半分を切った。






負けた。










あっという間に時間は過ぎ、時刻は四時を回っていた。




「何時まで遊ぶ??」



「さぁ??

私はいつでもいいよ」



「そっか」



俺はコントローラーを動かし続けた。



「今日さぁ……泊まってっていい??」





また負けた。




「は??」



画面にはコンティニュー??の文字が浮かぶ。

もう俺達は中三だ。異性の家に泊まる、ということにどのような比喩が隠されているか、知らないわけがない。



「だから、今日泊まってっていいって聞いたの」



メグは少しうつむいた。

頬が紅い。



10……



「変な想像してると思われたくないんだけどさ、それを普通に言ったら大抵の男は襲ってくるな」




9………



「……わかってるよ」

わかってねえ。



8………



「俺だって男なんだ」




7…………



「……わかってるよ」



6…………



「わかってねえだろ。

わかってたらんなこと言わねえよ」




5…………



俺は体をずらしてメグから目をそらす。



少しして衣擦れの音がした。

まさか、と思い振り返るとメグは服を脱ぎ始めていた。


メグが下着だけになったとき、コンティニューの制限時間は00になり、YOUR LOSEの文字が浮かんだ。



しばらく時間がたち、画面もオープニングに戻っていた。



「しないの??」



メグは言う。


下着は白だった。

ブラジャーの下にはふくよかな胸があった。



俺の顔は紅く火照り、まともにメグを見れない。


「……しねえよ」




「…………もしかしてジョニー童貞??」




「メグはしたことあんのかよ??」



「処女だよ」



「そりゃ大胆だこと」



俺は再びコントローラーを握った。


1人プレイを選択した。

キャラを選ぶ。



始まったと同時に後ろから抱き締められた。


たちまちもう一人の俺が姿を表す。




「……私じゃダメなの??」



俺はメグを押し倒す。



30秒ほどたって、試合終了のゴングがなる。当然だが負けた。



メグは目をギュッとつむる。



「目開けろよ」



俺は上着の制服を脱ぐ。


メグはゆっくりと目を開ける。


メグは俺と目が合うと、逸らした。



「なんで目逸らす??

誘ってたんじゃないのかよ??」




メグはこちらを見た、目があって数秒、メグの目から何か流れる。



「終わりだ。服着ろよ」



俺は立ち上がり、メグの服を渡す。

ムスコが興奮してたので前かがみで。




メグは服を手に持ったまま動かない。



「しないの??」


メグは蚊の鳴くような声で一言、そう言った。



「半年付き合うだけでいいならする。

けど十年以上付き合うなら今はしたくない」



そう言うとメグは黙って、服を着始めた。


その間、俺は何回も髪をかきあげる。

興奮の汗でも冷や汗でもない汗が出る。わきを中心に。



「ごめん」



メグは言った。



「別にいいよ。

ってかもったいないことしたなー」



俺が少し笑ってメグを見たら、メグも少し笑った。



うん、いい笑顔だ。




「で、なにする??」



「わかんない」



「じゃあゲームだ。

一回くらい勝たせろ」



「ジョニーには一生負けないよ」





また笑ってコントローラーを取る。


性の女神は肩をすくめて消えていった。










「だぁーーー!!また負けたぁ!!」




十五回やってすべてまけた。




メグはまたいい顔をする。


気がつくと日が沈んでいた。



「もう六時か……」



そして気付くと既に三十連敗。




「ジョニーお腹空いた??」



「うん。腹減った」



「じゃあご飯作ってあげるよ」



そう言ってメグは台所に入っていった。





数分後、見覚えがあるものが出てきた。


またチャーハンだった。



「またチャーハン??」



メグに恐る恐る聞く。



「これは焼き飯!!」



なにが違うんだよ……



そう思いながらご飯を口に運ぶ。


なんてことはない。

ただの美味しい……焼き飯だ。


「あー美味かった!!

ごちそうさま」



俺は焼き飯を完食しごちそうさまをした。



「お粗末さまでした」



メグはそう言った後、食器の片付けを始めた。



「で、ホントに今日泊まっていっていいー??」



きっとこれにエロい意味はないだろう。

俺はトシを泊めるのと変わらない感覚で承諾した。



明日の朝飯はなんだろうな??


多分焼き飯かチャーハンか……ピラフあたりか…




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