1:ジョニー
若干、喧嘩のシーンにて暴力的な描写があります。
それほど刺激の強いものを書いたつもりはないのですが、苦手な方は理解した上でお読みください。
「ダラッシャアアァ!!!!」
俺は拳を相手の腹に振り抜いた。
相手はうめき声をあげる。
相手はこの近くにある中学の「頭」と称されるリーダー格だ。
この中学が最近、俺の通う中学にちょっかいを出してきた。
黙っているわけにはいかない。
腹を押さえる相手に、だめ押しともいえる蹴りを放った。
そいつの体は地面から少しだけ浮く。
そいつが立ち上がり、俺に拳を向けることはなかった。
俺と、そいつと、そいつの何人かの取り巻きを、夕日は照らしていた。
血の赤は、オレンジの夕日と混ざって、目立たなくなった。
しばらくすると疲れが押し寄せてきた。
呼吸が荒くなる。
肩で息をした。
しばらく呼吸を整えた。
「テメェ等ぁ!!!!!!
全校生徒に伝えとけや!!!二度とウチにちょっかい出すんじゃねえってよぉ!!!!!」
取り巻きに一喝してやった。
大声を出し過ぎたので喉がひりひりと痛む。
相手の取り巻きは慌てて、倒れ込んだ頭を背負って駆け出した。
「おつかれ。」
声のする方を振り返ると、アクエリアスを片手に俺に笑顔を向ける一人の男がいた。
夕日と重なって眩しい。
この男は小学生三年生から一緒で、俺の数少ない友達の一人だ。
俺は無言でアクエリアスを受け取り それを喉に流し込む。