12飯屋
俺たちは、受付で自分達の宿の鍵を貰いちょうど夕飯を食べていないので宿屋の前にある店に入った。その店は、異世界ラノベのテンプレのような内装になっていた。中に入るとウィスキーやスコッチのようなアルコールの強烈な匂いが自分達の鼻腔を満たし、エルフやドワーフなどの種族やあからさまな冒険者や魔法使いのようなみなりの人もいる。あちらこちらで話し声は途切れず自分の心の中に果たしてこれは本当に現実なのか?という疑問を抱かせるほどに、不思議に満ちていた。
そして、俺が立ち止まって呆けていると
「ねぇ、タカハシあそこの席空いてるわよ」
「お、おう。ごめんボーっとしてた」
アップルが見つけてくれた席に俺は座り壁に掛けてあるメニュー表を見ていた。
「なぁ、アップル。ビーストビーフのシチュー5銅貨って安いのか?」
「えっとねぇ、小銅貨が5枚で黒パンが一個買えて1銅貨で白パンが1個買えるわ。その事を考えるとこのお店は安いんじゃないかしら?」
「ありがとうな、アップル」
「どういたしまして。」
「すいません!注文いいですか?」
「はーい」
そう店員さんが言うとこちらに向かってくる
「ご注文はどうされますか」
「…」
「あのー?」
その店員さんは凄く凄く可愛いかった。彼女は誰が見ても可愛いと口にするぐらいの女の子でボブカットで髪の色は金髪でまぁ、とにかくかわい…そんなことを思っている間にアップルが注文を全て終えていた。
「あんた、そんなんだからいつまでも童貞なのよ。」
今回ばかりはなんとも言い返せなかった……
そうこうしているうちに頼んだ品が届き食べながらこれからのことと雑談をしていた。
「あの野盗が襲っていたあの人たちは誰だったんだろうな」
「知らないわよ。タカハシがすぐに お れ い を貰わずに行っちゃったんだから、まぁでも貴族とかそこら辺じゃないの?」
「なんで、そんな事分かるんだ?」
「女神の勘よ」
「なんだその信用ならない理由は?」
そんなたわいも無い話をしていると周りから同じ話がしきりにされていることに俺は気づいた。
「なあ、お前あれしってるか朝のビッグニュース。俺はその話を聞いた時は腰を抜かしたね。」
「あぁ、知ってるぜ魔王が死んだんだろ?」
「ふぁっ!?」
俺はたまらず変な声が出てしまった。