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錬製の勇者~鍛冶師ですが、最強です~  作者: シウ
第一章 第一部 「外の世界へ」
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第一話 「夢」

思い付き‥‥

俺、村正蒼(むらまさあおい)はどこにでもいる高校生だった。いや、強いて言うならば家が昔、鍛冶師だったという事だけだ。

そして、今日はいつものように学校に登校する途中で、周りにも同じような制服を身に着けた同級生やら下級生たちいや、後輩となる下級生が話しながら登校していた。その誰もがこれからの出来事、入学式に心躍らせているようだった。


「まあ、そりゃそうだろうな、去年の俺もあんな感じだったし…」


何処か微笑ましそうに蒼はその様子を見ていた。その時だった。視界の端に何か白いモノが写ったかのように見え、それを改めて見た。するとゴミバケツの上に真っ白な、猫が居た。


「白猫か?」


見つけたその猫はまるで学校へと向かう生徒達を見定めているかのようだった。だがそれ以上に気になるのは、


「誰も、気が付いていないのか?」


整えられた毛並みは何処か気高い印象を与え、その眼はまるで何かを見定めているかのようだったが誰か女子が一人でも見つければ視線や携帯を向けるはずなのだが誰もそのような素振りすら無かった。


(見えてないのか?いや、まるでそこに存在していないかのような…)


周りとの違いに疑問を感じながらも蒼は改めて猫の方を見ると、猫の瞳が俺を見ており、一瞬目が合ったような気がした、その瞬間、何とも言えない感覚に襲った。


(な、なんだ!?)


蒼は思わず周りの人はどうだろうか視線を向けると周りの人は何喰わない感じで歩いていた。そしてそれは蒼以外には感じていないという事だった。いや寧ろ、

まるで、この空間だけが切り取られたかのような‥‥


『貴方だ。』


「な、なんだ!?」


いきなり、頭の中に直接響くような声が聞こえてきた。そして蒼は辺りを見回したが、近くに神社があるという事も、声が聞こえるという事も聞いたことが無い。それ以上に気になるのは、辺りの時間が、いや、まるでこの場所だけ隔絶された空間のような感じがした。という事を踏まえると、話しかけてきたのは‥‥


『そう、話しかけているのは、私だよ。それと、念のためにこの場を結界で覆わせてもらった。』


「そうだろうな‥‥それで、一体何の用事だ?」


そこまでの状況が揃えば否定することは出来なかった。何より蒼にとってこれは、慣れたような出来事だった。


『ほお、私のような存在が話し掛けても驚かないのか?』


白猫が不思議そうに話しかけてきた事に、蒼は肯定を返した。


「ああ、何度が似たような体験をしたことがあるからな。京都への修学じゃあ、間違って妖怪達の住む裏町に入っちまった事もあるからな」


お陰で周囲からは何処か優しく言えば不思議な、歯に着せぬ言い方をすればズレた子供のように周囲からは見られていたのだろう。


『なるほど、そのような経験があるのならば斯様な反応も頷けるものだ。それでこそ、我が世界を救う勇者には相応しい』


「はあ、我が世界、それに勇者だと?」


『ああ、そうだ』


何かの冗談だろとばかりに尋ねた蒼に対して猫はそうだとばかりに猫は頷いた。


「おいおい、一体何冗談なんだ?」


『冗談ではない。その為に私はこことは異なる世界よりこの世界に、勇者に相応しい人間を見つけるために我らは遣わされたのだから』


「我ら、か。という事は俺以外にもその勇者に相応しい人間とやらを見つけているという事か?」


『ああ、貴方だけではなく、貴方を含めた、勇者として相応しい五人を我らの眼で見極めた後、この世界に未練が無ければ彼方の世界、グラティアへと召喚するのだ』


なるほど、と少しづつ見え始めた。ようするに蒼が今周囲と隔絶されているの、


「俺達、いや一応俺を含めた五人の勇者達も同じような状態なのか」


『然り。そして、もしこの場で貴方が断っても気に病む必要はない。断られれば我らは他の適任者を見つける故』


なるほど、強制ではないという事か。だがそれは他人の人に面倒ごとを押し付けるのと同じことだった。


『ゆえに、唐突に尋ねよう。お前は今のこの世界を捨て、勇者を必要とする世界へと旅立つ覚悟があるか、または今いる世界にて過ごすことを望むか』


「それなら、その異なる世界とやらに行ってやるよ」


『‥…良いのか?この世界に家族が居るのであれば、もう二度と会う事は出来ないのだぞ?』


白猫はまるで、親身にこちらの事を心配してくれているのが、言葉を、いや頭に響く声音でよく伝わってきた。


「ああ、心配はいらねえよ。何せ、俺を育ててくれた母さんは事故で死んだし、親父も長い間行方不明だからな」


『それは、悪い事を聞いた』


猫は申し訳なさそうに言って来たが、蒼にとってはもはや乗り越えたモノだ。今更後悔するのは失礼に当たるだろし、泛ばれないだろう。だが決して忘れるという事は無い。


「いいよ。もう終わったことだ。だから俺を縛るモノは無い。だから、受けてやろうじゃないか、その勇者を」


『‥…本当に、良いのだな?』


それは、本当に最後の確認と感じさせる重みをもっていた。だが覚悟を決めた蒼に揺らぎはない。


「ああ」


『分かった。では召喚の儀を始めるとしよう』


蒼の言葉に揺らぎが無い事が伝わったのか。白猫がそう言うと、蒼の足元にファンタジーによくある魔法陣が浮かびあがり、光を放つ。


『世界を区切りし理の壁よ、今我らの御技を以てして、理の壁を超え、世界を渡らせ給え!』


白猫が詠唱を終えると同時に魔法陣がまばゆい光を発し、辺り一帯を白く染め上げる。


『貴方に、幸があらんことを』


白猫の言葉が聞こえたと感じたのを最後に、蒼の視界は真っ白に染め上げられた。だがこの時はまだ知らなかった。蒼の職業が勇者であるが、他の勇者達と違い、鍛冶師だった事に。


だが蒼は諦めず、一人、己の鍛え、また己の魔法を磨いた。その間にチートな力の扱いと、己の固有武装の扱いを習得した他の四人の勇者が魔王討伐へと旅立った。

そして、修練の果てに力を手に入れた蒼は四人の勇者達と合流し、共に冒険をし、やがて魔王を倒しす、最強の鍛冶師【錬製の勇者】呼ばれた蒼の数百年前の当時の出来事だった。



思いつけば、また二刀流になるかも‥‥

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