四話目救助
焔に包まれた町の中を獣人は一人走る。炎に包まれようと、それを振り払いただ走り続ける・・・そして
「うぉあちちち・・・おーい!リン!ルミ!居るか!?」
大急ぎで扉を開ける。中も炎に包まれその中に人影が見えた。
「リンか!?」
そうテイッパーが叫ぶとその人影が振り向いた。
「・・・貴様・・・確か」
そうテイッパーが言うとその人影が近づき笑う
「あら、覚えてくださってたの?戦争孤児さん?」
「・・・」
「そんな険しい顔しなくても~・・・」
「今更何用だ。吸血鬼」
「・・・折角あの二人逃がしてあげたのにそんな険しい顔しないの。」
そう言うと吸血鬼が笑う
「・・・逃がした?信じられるか!」
テイッパーがよりいっそう険しい顔をする。
「・・・ま、信じるも信じないも勝手だけど、あの馬鹿野郎が見つけるのも時間の問題よ。どう言うわけかベルはルミを血眼になって探してる。」
「・・・分かった。」
そう言うとテイッパーは建物から出ていった。それを見て吸血鬼は
「・・・あちゃーどこ行ったか聞かずに走り出しちゃった・・・まぁすぐ見つかるだろうけどね。」
吸血鬼は蝙蝠となり飛び去った。
「うぉらぁぁぁぁぁ!」
すさまじい勢いでテイッパーが走り続ける。すると
「おやおや?そんな急いでどこへ行くんだい?」
「ベル!」
そう言いテイッパーはベルに爪を振りかざす。だが
「おっと危ない。これが割れちゃうよ?」
そう言いベルは瓶を取り出す。中にはルミが入っていた。
「ッ!ルミ!」
そう言いテイッパーは瓶を取ろうとするが触れない。
「・・・幻影魔術。ルミとリンは他に居る。安心しろ、危害は加えない。」
ベルは淡々と口にする。そして
「だけど、一言言っとくよ。あいつらとは関わらない方がいい。」
ベルは冷たく言い放った。テイッパーは激怒し
「何故だ!」
と言った。ベルは
「ルミは崩壊者の危険性が高い。」
「・・・崩壊者だと?」
ベルは続ける。
「狂信者達に調べさせてるけどあの娘の住んでいた魔族の村は、人間が関連していない。少なくとも帝国や他の王国は関連していないそうだ。」
テイッパーは
「英霊はどうなんだ。」
と言った。するとベルは
「調査中よ。でもあの娘の魔族の国は英霊単独で滅ぼせるものではない。やれるとしても宮本武蔵程の大物の英霊ぐらいだ。そして崩壊者は魔族達の憎悪を煽り仲間を作ろうとする動きが見れる。ルミ一人残したのもそのためだろう。」
テイッパーは少し懐かしそうな顔をする。
「宮本武蔵・・・か。」
ベルは驚く様子も見せず
「会ったこと有るなら知っているだろう。あいつは金と酒にしか目がない」
そうベルが言うとテイッパーは
「だが英霊こあいつは進んで悪行に手を出さない。」
そうテイッパーが言うとベルは少し悩んだ。
「まぁ良い。私は帰る。お前もこの事にあまり首を突っ込まないことだな。」
そう言いベルは飛び去ろうとするが
「待て」
テイッパーの一言で止まった。
「何?」
ベルが言うとテイッパーは
「自分の義理の親連れてかれて黙って見てられるか」
と言った。ベルは少し驚き
「分かった。ほっとくのも面倒だし連れていこう。」
と言った。