異世界生活の始まり
初投稿ですので誤字脱字、文におかしいところなどがあるかもしれません。
指摘してもらえれば直しますのでよろしくお願いします。
「た、倒したぞー!!!」
前線で戦っていた青年が、一人雄叫びをあげた。
それを聞いて、みんな膝を地につけ、喜びや達成感に浸っている。
「やっと終わった……」
「これで私達帰れるのよね……!」
「死ぬかと思ったぜ……」
俺達は、ありがちな異世界転移というもので、クラス全員この世界に飛ばされた。
この世界では魔法などがあり、あるあるな剣と魔法の世界というやつだ。
そしてみんなに魔法使いや戦士、僧侶といった職業を神様から授かり、1年間死にものぐるいでダンジョンに潜ったり、剣を振ったりして、魔王討伐を目標に頑張った。
もちろん、魔王討伐をする前のダンジョンなどでも死者は出ているし、魔王討伐最中も多くの死者が出た。
異世界転移したときは36人いたクラスメイトも、魔王討伐が終わった今は、18人までに減っていた。
俺達は、ボロボロになりながらも、宮廷まで戻り、王様に報告をした。
「王様。魔王討伐が完了しました」
みんなが王様の前で膝をつき頭を下げてる中、クラスのリーダーの四ノ宮がそう言った。
「おお!そうか!よくやってくれた…!お主達には本当に迷惑をかけたな…。死人も出てしまいなんてお詫びすればいいか……」
王様はとても申し訳なさそうな顔をしていた。
こういう系のラノベだと、王様は実は悪い奴だったというのがテンプレなのだろうが、この王様は違かった。
初めて死人が出た時は、涙を流して俺達と悲しんでくれて、立派な墓も作ってくれた。
それに俺は、みんなには内緒だが、この王様と仲が良かった。
まぁなぜ仲良くなったかの話はまた今度しよう。
王様が謝ると、四ノ宮が答えた。
「僕達は王様のことをよく知った上で、協力したくて、魔王討伐に向けて頑張ったんです。王様が喜んでくれるだけで報われると思いますよ」
そういうと、王様は「そうだな…」と一言呟いて、その場で天に祈りを捧げた。
「王様、僕達はこの世界が好きです。ですが、そろそろ帰らないと行けないので、転移魔法をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「お、おお、そうだな!おい!マルダ!」
王様が呼ぶと、マルダさんが来た。
「マルダ、では頼む」
そういうと、マルダさんは黙って頷き、俺たちを1列に並ばした。
「なんで1列に?」
「返すのには1人ずつじゃないと出来ないんです。手間をかけて申し訳ないです」
マルダさんが頭を下げて謝ると、疑問をこぼした男は顔を真っ赤にして、慌てふためいていた。
マルダさんは絶世の美女だからな。そうなるのもおかしくはない。
その上、宮廷魔法士だ。
俺にはなぜマルダさんが未だ独身なのかが分からない。
俺達は、1列に並び、前から王様に別れの言葉を一言言ってから、元の世界へ転移していった。
一番最後は俺だ。他のみんなは元の世界へと転移されていった。
「ユキよ、お前には一番助けられた…。ありがとう」
「俺もガリルと仲良くなれてよかったよ」
王様と熱い握手を交わしたあと、マルダさんに話しかけられた。
「ユキ……本当にいっちゃうの?」
「マルダ。物事にはどうしようもない事というものがあるんだ。ユキの都合も考えてやれ」
なんか、とても感動の場面になっているが、俺は気にせず王様に言った。
「ガリル、俺、帰らなくてもいい?」
王様もマルダさんも目を点にしてこちらを見ている。
あれ?そんなおかしいこと言ったか?
「でもお主も帰りたいと言っておったではないか」
まぁ、最初の方はホームシックに襲われて、毎晩のように家族を思い出して涙を流していたが、俺はこの世界でまだやり残したことがある。
「ガリル、俺はこの世界でまだやり残したことがあるんだ」
「なんだ?」
「俺はまだこの世界を見て回ったり異人を見たりしていない!!!!」
またもや王様とマルダさんはぽかんとしてる。
だって異世界来たらエルフとか獣人とかみたいじゃん!なのに来てからずっと修行修行。ダンジョンに行くのも、マルダさんが瞬間移動魔法を使っちゃうから街すら見て回れなかった。
「ユキがいいなら良いか…」
「おう、これからもよろしくな」
「ではこの世界で暮らしていくのに必要なものは用意しとく」
「いや、金貨を少し貰えればいいよ。色々見に回る予定だから」
「そうか……。では今すぐ用意させよう」
そう会話をしていると、マルダさんが顔を赤くしながら、話しかけられた。
「ユキはこの世界にいるんだよね……?」
「ああ、そうするつもりだ」
そう答えると、マルダさんは下を向いてなにかごにょごにょ言っているが何言っているか分からない。
すると、王様に「マルダ!白金貨を3枚持ってきてくれ」と言われ、マルダさんは言ってしまった。
なんだったのだろうか。
「ユキよ」
「なんだ?」
「マルダを一緒に連れて行ってくれないか…?」
「……は?」
マルダさんを連れていく?なぜだ?
「ユキは気づいておらんかもしれないが、マルダはお主にぞっこんなのだよ」
おいおいそんな素振り今まで感じたことないぞ。
「今までそんな素振りされたことないぞ?」
「あやつは真面目だからな、ずっと気持ちを抑えていたのだよ。なぜわしが知っているかというと、マルダと仲のいいメイドに聞いたからだ」
「まぁ、本人がついていきたいって言うならいいけど……」
そういうと、タイミングよくマルダさんが戻ってきた。
「王様、白金貨3枚をお持ちしました。ご確認を」
「確認した、ユキよ。これを」
俺は王様から白金貨を受け取り、別れの挨拶を交わした。
「ユキ…。元の世界へ帰らないといえど顔を見れないとなると寂しくなるな…」
「まぁまた顔出すよ」
王様との話が終わると、俺はマルダさんの方を向いた。
「マルダさん。あのさ…、一緒に来る?」
そういうと、そんなこと言われると思っていなかったのか、マルダさんが困惑している。
「え、いや、私は仕事があるので……」
王様は少し食い気味に言い放つ。
「マルダよ。行ってこい」
「ですが……」
本当に真面目な人だな。
「マルダは行きたくないのか?ユキのことが好きなのだろ?」
そう王様がいうと、マルダさんは顔を真っ赤にした。
「え、お、王様!!なんでそれを!」
「見てればわかるわ。ならば断る理由などないだろ?」
「本当に…よろしいのでしょうか?」
「ああ、行ってこい」
マルダさんも決心できたようなので、早速出発することにした。
「じゃあそろそろ行くよ」
「ああ、また何かあったらいつでも来なさい」
こうして新たな俺の異世界生活が始まった。
そして俺は今、マルダさんと宮廷を出て、宿を探していた。
「マルダ、宿とかどこにあるか分かるか?」
「よ、呼び捨て……」
マルダはそう言ってまた顔を赤くして下を向いてしまった。
「嫌だったか?今から仲間なんだしさん付けはおかしいだろ」
「いや、嬉しくて…」
そんなやり取りを聞いていたのか、周りの男性から殺意の込められた視線を感じる。
美人すぎるっていうのも罪ってこういうことを言うんだな。
「宿知ってたら案内してほしいんんだけど…」
「う、うん!わかった!」
こうしてマルダの案内で、宿にやってきた。
「ここが宿だよ」
「じゃあ早速入るか」
宿に入ると、奥から、元気そうなおばさんが出てきた。
「いらっしゃーい!何泊だい?」
いくらか分からないが今は白金貨3枚も持っているんだ。それに、この国にはもう少し居たいし、6泊くらいにしとくか。
「6泊にしておく。飯もつけて貰えるか?」
「はいよー!6泊ご飯付きで銅貨70枚だよ!」
「白金貨でいいか?」
そういうと、おばさんはぎょっとした。
「白金貨なんてお釣りが足らないよ!もっと細かいの持ってないのかい?」
困ったな。王様から貰ったのはこれだけだし…。
どうしようかと悩んでいると、マルダがマジックボックスから銅貨70枚を取り出し、払ってくれた。
「ありがとな」
「仲間ですから…」
ちょっと恥ずかしそうにマルダがそう言う。
「ちょうど貰ったよ!部屋は5番と6番ね!」
そう言い、鍵を受け取り、俺は自分の部屋に入った。
部屋はシングルベッド一つに小さなテーブルが一つというシンプルな部屋だ。
俺は、部屋にあったベッドに飛び込んで、寝っ転がった。
「ああ〜、疲れた……」
今日魔王討伐してきたばっかの俺は疲労困憊だ。
傷などは僧侶に治してもらったから傷痕すら無いが、体力は戻らないからな。
そいえば、ステータス見てなかったな…。
魔王倒したし結構上がってたりするのか?
俺はステータスを開いた。
「ステータスオープン」
白河 雪
年齢 : 16歳
種族 : 人間
職業 : 魔法剣士
攻撃力 24000
守備力 26500
俊敏力 30005
魔力 45000
能力
全属性魔法習得済 超鑑定 超隠蔽 剣技・武術習得済 威圧 異常状態無効化
まじか……。
思っていたよりステータスが上がっていて驚いた。
魔王討伐に行く前は全ステータス10000くらいだったのに……。
まぁ、どれくらいやばいのかが伝わりにくいと思うからこの国の騎士団長のステータスを見せよう。
ゲビニア・ルイス
年齢 : 36歳
種族 : 人間
職業 : 剣神
攻撃力 15000
守備力 12600
俊敏力 11500
魔力 3650
能力
剣技習得済 威圧 武術の心得 指揮官の才能
こんな感じだ。
なんか職業のところが剣神っていうのかっこいいな。
まぁ、俺がどのくらいぶっ壊れてるのか分かっただろう。
俺はステータスを確認し終わると、不意に来た睡魔に襲われ、眠りについた。