灼髪のツインテール
自習室の扉を開けると、目の前で深紅のツインテールが靡いた。
はにかんだ少女が突き刺すような目を俺に向けている。
一瞬の間の後、少女は面白げに頷き口を開いた。
「そうか、キミか……」
「なにか僕に用でも?」
「いやね、一つ命令があるんだけど良いかな?」
お願いならまだ分かるが、初対面の女子に命令されるとは思わなかった。いつから身分性が復活したというのか。
「あいにく、受験勉強があるので力にはなれませんね」
「キミはまだ一年生じゃないか。それに、この時期から受験勉強なんて急ぎすぎじゃないかい?」
「良い大学に行く為ですから」
「……典型的な……って訳か」
少女がボソボソと呟いた。しかしなんと言われようと余計なお世話だ。僕のことについてどれ程知っているかは知らないが、受験が終わるまで他人と関わるつもりは無い。
僕は席に座るため、少女の横を通り過ぎた。
「まぁ、待ちなよ」
「僕にかまわないでください。迷惑です」
後ろから肩を掴まれた。振りほどきたい衝動を抑えて冷静に咎める。
「そうはいかないかな」
「しつこ……ッッッ!!」
「手荒なマネをしてごめんね。言うことを聞かないから仕方なかったんだ」
突然走った痛みを堪えることができず、倒れる。腹を押さえている掌が熱い。何が起きたのか全く分からない。声にならない呻きを漏らしながら、俺の横に跪いた少女の顔を見る。
「命令だ。私の遊びに付き合ってもらう」
ふざけるな。ふざけるなよ……。
視界が暗くなっていく中でこの女だけは許さないと誓った。




