表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
防衛者  作者: クラリオン
序章  召喚
5/21

第三話  王城で

個人的事情により遅れに遅れての投稿です。


主人公の王城での日常…



 召喚されてから既に一週間。今日も今日とて俺は<防衛魔法>の自己鍛錬に励んでいる。ステータスを調べた後、俺たちは一人一部屋ずつ、王宮の部屋を割り当てられていた。


翌日から<勇者>に対する、この世界の地理と歴史についての学習が始まったらしい。らしい、というのも俺は、呼ばれなかったのだ。なんでかって?知らん(大嘘)

では今日まで何をしていたか。ダイジェストでお送りします。


初日、こちらの世界での身体の特殊性の復活と、<勇者>のころの魔法やスキルが残っていること、以上の二点の確認。内山も同様。


二日目、<防衛魔法>でできることを確認。まだ<絶対障壁(バリア)>と<周辺警戒(レーダーマップ)>しかできないと判明。レベル1だったが、両方とも使ってみた。<絶対障壁>は、自分の周りに青いドームができた。MP消費は10秒に1だが、耐えきれる攻撃には限度があるようだ。<周辺警戒>は、視界の右上に、ゲームでよくあるマップが出てくるものだった。周囲の生命体はすべて黒点で表示される。春馬さんの話の通りならば、レベルアップすれば、敵味方の判別もできるらしい。


なおこの日から内山が情報収集すると言って、授業に出るようになった。なんでも<勇者>様方(笑)からお誘いを受けたんだとか。


三日目以降は特にやることもなかったから、たまたま遭遇した騎士団長に話をして、訓練場の一角を貸してもらった。そこでひたすら<周辺警戒>を作動させ続けた。その甲斐あってか、四日目にはレベル2になった。探知範囲と、敵味方識別が可能になった。流石異世界召喚、かなりのチートだ。何はともあれ団長に感謝だ。推測だが、彼は<防衛者>について何か知ってるんじゃなかろうか?




斯くして一週間、俺は鍛錬、というか練習に、内山は情報収集に精を出してきた。なお、連絡はすべて<勇者>時代の通信石で行っている。魔道具マジ便利。


話によると、俺たちが、魔王を倒した後、送還されて二百年後にヴァルキリア皇国は解体し、いくつかの王国に分かれたらしい。その一つがここ、シルファイド王国なのだとか。

まあ、滅んだわけではなく、皇国が州制に移行して、そのまま各州が国として独立したという自然な形での解体だったらしいので良しとしよう。

そして、問題なのは、今回俺たちが召喚された全体的な経緯だ。なぜ召喚したのかが一番気になる。



その前に俺達が前来た時との変化について考える。まず地理だが、どうも人族・亜人族と魔族の居住範囲は、俺達が召喚された時と大して変わっていないようだ。基本的にこの世界は、二つの大陸から成り立っており、東にある方が人族・亜人族領、西にある方が魔族領となっている。この二つの大陸は、間に海峡を挟むものの、繋がっているところが複数ある。ただし、その海峡側には両大陸共に巨大な山脈があるため、行き来するなら、南端もしくは北端のぎりぎりを、陸に沿って海路をいくのが安全かつ最速なんだとか。ちなみに<勇者>の時は、北からいった記憶がある。


変更点としては、その繋がっている部分のうち、最南端の接続を抑えていた山脈が消滅して、道ができている。ちなみにほかの接続点へはやはり山脈が邪魔して行けないらしい。結果として、魔族領の南端部が人族領となったようだ。



山脈が消えたのは自然現象か?しかし出来た通り道からほかの場所を遮るように新たな山脈が形成されている……まさか大規模土魔法か?だとすれば誰が?いや、そもそもなぜだ?



………わからないことが多すぎるな、詳しい奴に聞く必要がある。一番手っ取り早いのは…アイツか。今は…魔族領の南端の山の中にいるか、また面倒な…いや、合理的ではあるか、流石、伊達に魔族の頭を張ってきたわけではない。



こうして、<周辺警戒>を発動しつつ、王都からどこへ向かい、何を知るべきかの算段を立てていると、視界の端に青い点と黄色い点が写った。青は味方、つまり内山。ならば黄色は恐らくクラスの連中。どうやら今日から戦闘訓練を始めるらしい。ご苦労なことだ。だからこっちに来るな。


「やあ神崎君、何をしているんだい?」


「ん?おお、篠原かどうしたこんなところで?授業中じゃないのか?」


「ああ、今日から戦闘訓練をするらしくてな、戦えるか魔法使える人はここで訓練らしい」


「おうそりゃあご苦労なこった。んで…ああ、俺が何してるかって?お前らと同じこと。訓練だよ。騎士団長から、『魔法とスキルは使えば使うほどレベルが上がる』と聞いてな。訓練場の一角を貸してくれるって聞いたから、ありがたく乗らせてもらった。部屋で何もしないよりはましだろう?<勇者>じゃないとはいえ、一応戦えるようになっておくのにこしたことはないだろ?」


「確かにな、自主練か。すごいな…でも、何かしてるようには見えないんだけど」


「<防衛魔法>っていうのはどうも特殊な魔法らしくてな、使えるスキルが今のところ人に見える物じゃないんだよ、自分の脳内に周辺のデータをインプットする的な」


「ああ、確かに守るなら周辺情報は必須だな。ああ、すまない、邪魔してしまった」


「いや、気にするな、逆に良い訓練になったよ。お前も頑張ってくれ」


人としゃべりながら<周辺警戒>使うって中々難しいな。使えるようになっておかないと。斯くして邪魔者は去った。訓練続行だ。サクサク上げていこうぜ、楽しい異世界ライフのために!





…とか思ってた頃が俺にもあったんだがな、何でこうなった?


現在俺は、模擬剣構えて男子と向かい合っています。相手は<剣聖>水山孝弘。常識的に考えて敵うわけがない。さて、ここでとっとと負けるか勝つか、どうしようかね。


ちらっと内山を見た。『勝て』と言ってる。目がヤバイ。あれは駄目だ、本気の目だ。負けたら後で殺されるぞ。しょうがないね。ステータスを呼び出し、職業を<勇者>に変える。


「来ないのか?」


「お先にどうぞ?」


そういいながら人差し指をクイックイッとしてみる。わかりやすい挑発だ。


「ケガしても文句言うなよ!」


ほいほいっと。突っ込んできた水山が振り下ろしてきた模擬剣の横腹を叩いて軌道をずらし、その隙間に入り込んで横に薙ぎ、よけたところで剣を叩き落とし、そのまま喉元に剣を突きつける。


楽な仕事だな。え、大人げないって?戦闘前衛職じゃない人間に<剣聖>と戦えって言う方が酷いだろ?<勇者>?いえ、<防衛者>ですが何か?


と、いうわけで、勝負は数秒でついた。なぜか満足そうに微笑む内山と、沈黙するクラスメイト。


「「「「「「「「「「はああああああ?!」」」」」」」」」」


ん?  


「なんでだよ!」


それはこっちが聞きてえよ。何で<剣聖>なのにあの程度の動きしかできないんだよ。キースは遥かに良い動きしてたぞ。ああ、キースってのは前回俺達と一緒に戦った当時最強の騎士な。ちなみに当時<剣聖>だったのは俺です。


「それは俺の台詞だ。いくら相手のステータスが低いからって、真正面からいってどうするんだ」


職業を<防衛者>に戻しながら答える。


「あのさ、一応俺剣道やってたんだからさ、剣を握るのは初めてじゃないの」


両刃剣なんて剣道じゃ使わない。大嘘にもほどがあると思うが、対応できたのは<勇者>ステータスの恩恵だ、と正直に言う訳にもいかないだろう。とはいえ、小学校上がる前から中学校三年生まで続けてきた剣道だけど、流石に三年ブランクが有って見切れるわけがない。


「せめてフェイントをかけろ。動きが複雑化するだけで俺には多分見えなくなる。動きが単調だから見えて、いや、わかってしまうんだよ。見えなくなったら俺は基本何もできない。お前らみたいにそこまで高ステータスでもないからな。というかそもそも何で俺に仕掛けてきた。相手ならもっといるだろうが」


周囲の騎士とか。というかそもそも俺に試合ふっかけてくるときに、いきなり「俺と勝負しろ!」とか言い出すし。馬鹿なのか、それとも確実に勝てると思ってきたのか。ちょうどいいので団長に言っておくか。


「団長、まだ彼らはレベル1でしょう?ある程度こちらの剣術を覚えさせるべきですよ。ただの剣道経験者に負ける程度では話になりません。今のままでは、ただ<剣聖>の称号を持つ素人と、経験者の戦いになるだけですよ」


「ふむ、そうだな」


これくらいでいいかな。次戦うのがいつかは知らないがそこで負ければ済む話だ。


そしてまた座り込んで<周辺警戒>を発動させた瞬間に、赤い点が急接近してくるのが見えた。

ので<絶対障壁>を張る。次の瞬間、火球がはじけ、障壁も大きくたわんだ、が、持ちこたえた。よろしい。


じゃなくて。


「おい、何やってんだ」


ここは訓練場だが、魔法と剣術の訓練スペースはそこそこ離れているうえに、攻撃魔法用の標的は向こう側の壁際、つまり俺と反対側にある。ミスショットにもほどがあるだろう。あるいは意図的?面倒だ。


「悪いな、ミスった」


そういいながらニヤついてるじゃねえか。確定。黒だな。


「次から気を付けろ」


《<絶対障壁>がレベルアップしました》


ここでレベルアップか。耐久度が上がったようだ、素晴らしい。するとさっきより大きな点が接近するのが見えた。またか。


さっきとは違い、炎槍が飛んできた。が、あっさりと受け止める。たわみもしない。


「おい!」


「わりぃ、ミスったわ」


「なあ、お前職業なんだっけ?」


「<魔導師>だがどうした?」


「いや、お前<魔導師>辞めればって思ってな。コントロールできないで味方撃ちする魔法使いとか百害あって一利なしなんだが」


「なんだと?」


「言ってることが理解できなかったか?使い物にならねえから辞めろって言ったんだよ」


「<勇者>でもないくせに!」


「はぁ…味方を殺して戦功と宣う<勇者>なんぞこっちから願い下げだっての」


実際今の<炎槍>は、<防衛者>の驚異的魔防と、<絶対障壁>があったから耐えきれたようなものだ。一般人だったら確実に焼死している。まあ<勇者>なら片手で消せるけどさ。


「なっ!貴様言わせておけば……<ファイア…」


「そこまでだ」


騎士団長グッジョブ。説明すると、詠唱を始めた<魔導師>(笑)の川島直樹との距離を一瞬で詰めて、首元に剣を突きつけたって状況。というか無詠唱じゃないのか。


「<魔導師>カワシマ殿、あなたの魔法は確かに強力だが、その標的を違えてはいないだろうか?」


そうそう俺の周りには他の王国騎士たちがいるんだからな。一応<勇者>として召喚されてるのに、何やろうとしてるんだお前は。まあ挑発したの俺だけど。


「…わかった」


不満気だな。また何か問題起こさねえかな。で巻き込まれて…というのが大抵のネット小説テンプレ展開だが、<防衛者>の場合、魔法・物理によるリンチはあまり意味がない。俺のMPが尽きるより、相手の気力が先に尽きるだろう。防御特化万歳。


「ちっ、<勇者>でもないくせに」


「調子乗りやがって」


俺の防壁破れないくせに()。聞こえてるからな<勇者>(笑)。ていうかそれ言うと、本来の<勇者>の定義に当てはまる者なんてこの場所にいるのは…俺と篠原だけだろう。そこら辺は知っているのだろうか?いや、さっきの陰口を聞く限りでは、恐らく知らないとみていいか。伝承が途切れている箇所が大きすぎる。<勇者>の異常性を、実地で見た時どう思うんだろうね、()()()()()()()()()()なんて、持つものじゃない。首がもげても再生、跡形もなくなっても再生。正直ただのグロ画像だな。


本来の<勇者>の定義は、<聖剣>を持つ事、<聖剣>に主と認められる事、<聖剣>と一蓮托生である事。


というわけで、ただ<召喚者>として<勇者>の称号を持っているだけの人間は、第一項から真の<勇者>からは外れる。同様に、第二項から<聖剣>を強奪、あるいは盗んで己の物とした人間も<勇者>たりえない。最終項は文字通りの意味を取る。


<聖剣>が壊れない限り死ぬことは無いし、<勇者>が死なない限り<聖剣>もまた壊れない。つまり、同時に潰す必要がある。なんてチートだ。まあそうでもないと、ただでさえ人間は死にやすい上に、敵の本拠地に攻め込むわけだから主人公が死んでしまっては物語が続かないからなあ。


<防衛者>のことと言い、<聖剣>のことと言い、伝承が消え過ぎだ。というか篠原は<聖剣>を召喚できるのだろうか?まあ<勇者>として召喚されたんだからそれくらいできるよね!多分きっとおそらくそうであることを願いたい。まあ出来なくても<魔王>と戦うことは無いし大丈夫だとは思うけど。


…大丈夫だよね?



以上です、乾燥批評質問等お待ちしております。



今後とも亀&マイペース更新ですが、それでよければ読んでやってください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ