表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛川愛夢がみたのは現実  作者: 荒畑時雨
2/9

いろんな意味で

「おはようさん、愛夢。」

「おはよう、宗太。」

こいつは葉村宗太(はむらそうた)

私の幼なじみというべき存在である。

小さい頃から少しバカというかなんというか

まぁバカである。

でも見た目は一般的にみればイケメンという部類に入るらしい。

クラスの女子からも人気がある。

「愛夢知ってるか?バッティングセンターという拷問部屋を。」

また始まった、おバカ発言が。

バッティングセンターを拷問部屋と結びつけるのはこいつくらいのものだろう。

「知ってるけど、なんで拷問部屋?」

そう私が言うと途端にシャツをあげ腹を見せた。

クラスの女子は何も言わず凝視である。

どこかのクラブでボクシングをやっているこいつは腹筋が割れているのだが、その腹筋に殴られたようなあとがあった。

なんとなく察しはついた。

「あれは拷問部屋だ、いくら俺でも150キロの

速球を直前までみて避けるのは難しかったよ。

みんなどうやって避けてるのかね?」

避けるわけがない、彼の言い方だと真ん中に立ってボールを見極めて避けていたみたいである

「バッティングセンターってバットおいてなかった?たぶん20本以上はおいてあると思うけど。」

「そういえば置いてあったなー、あんなにたくさん何に使うんだろうって思ってたよ。

まぁあれは、たぶん最終手段なんだろうと思って俺は使わなかったけど。」

最終手段?彼はどういう想像をしているのだろう。

彼の脳内はどうなっているのだろう。

「宗太みたいにみんなやってたの?」

「みんな?俺一人しかいなかったよ

だんだん人が入ってきたんだけどなぜか俺の後ろで拍手してるんだよな。」

止めなかった店員も店員である。

「宗太、バッティングセンターってボクシングの練習で避けたりするものじゃなくて一般的にバットでボールを打ってストレス発散するところだよ。

だから変わったことしてる宗太をみて他の人がすごいと思って後ろで拍手してたんだよ。」

なぜここまで言うか、なぜここまで言わないといけないのか

それは彼がここまで言わないと分からないからである。

「そうだったのか、俺めちゃくちゃ恥ずかしいことしてたのか、おそるべし拷問部屋!」

彼の中で拷問部屋という概念は変わらないらしい

「ならさ、次の休みバッティングセンターって

具体的にどうやってやるのか一緒に行って教えてくれよ。」

「えっ、バットでボール打つだけじゃん。」

「いいから、行こう!」

強引である、拷問である。

「・・・・わかった。」

早く話を終わらせたかった。

なぜならクラスの女子達はその話をずっと聞いてこっちを見ていたから。

バッティングセンターよりもこの教室のほうが拷問部屋だ。

「デートだねー、愛夢。」

ほらこうなるから、彼がいなくなるとすぐこれである。

「ハハハ、そうだね。」

愛想笑い。

まぁ大体こうなることは分かっていたのだけれど。

まぁいろんな意味で。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ