案内された先で
「なんといっていいのか」
案内をして、しばししてから警備兵を解散させたとき以外は言葉を発さなかった渋面を作るダッタ団長がぼそっと呟いた。
あれからけっこう歩いている。
今はこのダッタ団長と儂の二人だけである。
「済まぬ」
何やら歯を食いしばるように言った。
「すまぬ、私としても恩人にこのような真似をさせてしまうのは心苦しいが、もう都市を守るためには手段を選んではいられない状態なんだ。だが、どうにか機を見て解放できるようにしてらつからな。それまでどうにか辛抱してくれ・・・・いや、聞こえていないよな・・・・はぁ・・・・」
こちらを見ずに盛大なため息も交えて懺悔めいたことを言っている。
ひょっとして、完全に従属していると思っているのか?
まぁ、そうだな、儂、ここにくるまでなにもしゃべらんかったしの。
まぁ、この腕輪の効果を知っておれば、当然のことかもしれんがな。
歩いてようやくゴールが見えたようじゃ。
とりあえず、幽閉って形をとるようで、ダッタ団長、何やら、懐からアイテムを取り出し、廊下の隅に設置し始める。
ふむ、封印系のアイテムじゃな。
それが起動するや結界が生成される。
鑑識でみてみたが、かなり強力な結界であるようじゃ。
それが済み、そのすぐ奥の一室へ案内された。
最上階の一番奥の角部屋である。
外の見晴らしはそこそこいい。
もっともエインワーズ商会の館よりは小さいのでなんともいえんがそこそこ良い部屋のようじゃな。
団長は儂を先頭に立て、部屋の中へ一緒に入る。
その隙をついて儂は身を屈め、団長もろともに部屋の中へと転がりこんだ。
「なっ!!?」
突然の貴音に防御する術もなく儂は団長に馬乗りになり、ついでにさっとローブ内にいれていた武具類のひとつで錆びた小剣を一本取り出して団長の喉元にあてた。
「静かに。結界があるから多少はともかく、騒がれると面倒です」
錆びた小剣は言わずと知れた牢獄内スケルトンから回収したものである。
まぁ、何かに使えるかなと思って結局、とっておいたものである。
貧乏性からかけっこうローブの収納範囲が広がっていることもあり、重量も現在は90000ほどは入るので余裕がある。
それゆえにこういうのも入れていたりしている。
と、思い出すのはここまでにしよう。喉元にあてている冷や汗をかきながらこちらを驚愕の表情で団長は見ていた。
「ど、どうして?」
「ん?ああ、従属の腕輪のことか?まぁ、総量のステータス値で一万を超えないと抵抗できないということだからけっこうなものなんじゃろうけど、お生憎様、儂のステータスはそれをはるかに凌駕しておるから無駄なのじゃよ。もっとも副次効果はなかなかのものじゃからこのまま頂かせてもらうからの」
にこにこ顔で儂がいっていたが妙にダッタ団長はびくついている様子である。
まぁ、多少のやましさがあったのじゃろうから致したかない。
「ゆ、許してください。その腕輪でお怒りなのでしょうが・・・・ですが、この都市を守るために・・・申し訳ない・・・・」
目を閉じて肝炎したかのように抵抗せず大の字になってじっとしていた。
「ふむ・・・・まぁ、お主、さほど悪人にも見えんし、こういうのをつけたりする片棒を担ぐとも思えんしの。なにかわけありでもあるのかの」
「・・・・はい」
あー、まぁ、言葉尻から悪いという意識はあるんだろうな。
うーん
「そのワケアリってどうしたの?」
「部下への給料も未払であり、かつこの都市の経済は余裕がなく逼迫しつつあるのです」
え?そうなの?
外見からそうは見えなかったけど。
「そうは見えなかったけど・・・」
「パッと見はわからないでしょう。ですが、税もじりじりあがり、末端の警備兵に対してはこのところ給金が払えないことが続いています。これはさっきの徴税金が原因です。払えないと戦禍がここに迫ってしまういますから」
「・・・なんか相当追い詰められているみたいだねぇ。にしてもなんでそこまで追い詰められておるんじゃ?」
「それは・・・・・」
声のトーンが落ち、たまり溜まっていた何かを吐き出すように大きな声で叫んだ。
「全ては今の王がいけないんです!!!」




