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牢獄の出入り口に到着。
そのまんま開け放たれていて特に変わった様子もない。
「ふむ、特に何もないのぉ」
顎に手を当てて周囲を見回しつつ、出入口を見た。
改めて見るとそこかしこ風化しているのか、かけているところが多く、、何よりも蔦やらコケやらで随分と年季を感じさせる。
そもそもほとんど人の出入りがあった形跡が内容に見受けられる。
「本当に『忘れ去られた』なんだなぁ」
なんとなく寂しさが募る気持ちになる。
ということはここの骨たちは主のないままただひたすらここを回っているということか。
もっとも自動ポップする魔物なんだろうからそういうものなのかもしれないけど、それでもつい感慨深いものを感じてしまう。
「ふぅ、とりあえず、もう一度、中を見てみないことにはな」
そう、慌てて、外の事しか頭になくて失念していたがここを出る途中に両脇に扉があった。
改めてその中を調べてみることにしよう。
今日はその調査をじっくりとするかな。
暇があって体動かしたくなったら、さっきのスケルトンの回廊を回ればいいんだし。
ではまずは向かって右側からみるかな。
ふむ、中はけっこうな熱気に包まれていた。
いるだけであせが出る。
その正体はすぐにうかがい知れた。
パンやらスープやらを作っている機械があった。
部屋の中央にどんと置かれて下の方に二つの口があって一方からはパンが、一方からはスープが出続けていた。
スープに関してはその真下にみずがめのような大きな瓶があってそれに満たされている様子であり、パンはあとからあとから出て下に落ち続けていた。
そして、床は古びたパンやスープでぐしゃぐしゃになっており混沌としていた。
どうやら作り続けるだけで貯めておくようではないようだ。
原材料はどこからなのか疑問だが、時折下に落ちているものを吸い上げては取り込み作るを繰り返していたり、最上部に何かきらきらとしたものを空中から吸い取ってそれを物質化しているようであった。
奇っ怪なものであるが、ふと、ここはファンタジー世界であるのだし、一種のアーティファクトなのかなと思い直した。
昔の話でも突拍子もない変な物体はあったりするし、物語世界に出現したりしていた。
これもそのたぐいのものなのだろう。
ま、これはゲーム世界なのだし、こういうのもあっていいだろうな。
あと、別に飢えて死ねというわけではなかったのだなとも思ったが、さっきの暗闇の中、ただ漫然とじーっとしているのは死よりも辛いものがあったのかもしれない。
それを考えると、この体の主には相当きつい所業であったろうな。
ちょっと同情。
まぁ、よい。
とりあえず、空腹度というものがあるこの世界、餓死はないまでも体をほぼ動かすことができなくなる仕様なのであるのは助かる。
あと、地味に飢えと乾きは精神に応えるものがある。それに現状、ログイン・ログアウトができないものだから、このあたりは切実である。
ま、味の保証はないが、苦しくなることはないのが救いであった。
この部屋は以上かな。
試しにいくつかのパンや溜まったスープを【鑑定】してみたが、最下層であのスケルトンがもってきたものと同じものであった。
無論出来たてのものは品質もよいので、地下におりるまでに悪くなったのだろう。
アメリカンジョークの中に、真夏の中、アイスコーヒーを持って行っているあいだにホットコーヒーになってしまった、なんて笑い話があったが、ある種、それに質は似たものがあるのかな。
とにかく、確認してよかった。
魔物も出ないようだし、ここを拠点にしていろいろ見て回るとするか。
なお、混沌としているのを整理するのは今は置く。
正直けっこう腰を据えないといけないしね。
では、次は反対側を見てみることにするかな。




