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隠れ無双〜チートですか?いいえ実力です〜  作者: ハヤブサ
太陽暦664年:アミリア大陸編
24/65

24話【裁きの大穴】

 

「おらっ!」

「ぐぁあ!」


 ドサッとモンスターが倒れ、素材がドロップする。


「ふーっ。果てが見えねぇな……」

「くえっ!」


 既に裁きの大穴に突入してから随分と経った。しかし闇ギルドや時の石板は見つかる気配がない。

 隕石が衝突して出来たと言うからただ地面がえぐれているだけかと思いきや、どうやらその後にここを調査していた誰かにより整備されたようで、ところどころに階段や扉など人工物が置いてあった。


「ありませんねぇ、時の石板」

「……まぁそう簡単にはいかない」

「それにしても闇ギルドの下っぱすら見つからないとは……どういう事だ?」

「今回は下っぱ連れてきてねーんじゃねーの?」

「尋問されて情報を吐くよりはマシですからね……」

「あり得るな」


 それにしたって、 ここまで何の手がかりもないと流石に体に堪えるぜ。


「……これは……」

「ん? どうしたマルロ」

「……何かの紋様が書かれたスイッチ?」


 そこには俺の手のひらほどの大きさの円状の赤いスイッチが壁にめり込んでいた。


「いかにも押してくれと言わんばかりのスイッチだな。明らかに罠だ、こんなものに引っかかる馬鹿などいないだろうがな。」

「俺の方見て言うなよエリア。流石に俺もコレは引っかからないわ」

「シオンなら怪しいですけどね」

「……確かに」

「ひっでぇ奴らだな! アポロンは俺の味方だろ?」

「くえっ♪」


 ポチ


「そうだよなー! 流石アポロンだよ、全くお前らも見習、ん? ポチ?」


 アポロンの方を見ると、アポロンはニコニコと笑いながらスイッチを押していた。


 ガコッ


「え?」

「うわぁぁぉあ!!」

「きゃああああ!」


 すると俺たちの立っている地面が急に開き、俺たち全員その下に落下してしまった。


「いてぇ!!」

「……う、ここは?」

「ち、まさか落とし穴とは……」


 周りを見渡してみると真っ暗でよく見えない。


「灯りがないという事は……つまりまだここは未開拓の可能性がある、調べるぞ」

「なるほど、確かにそうかもしれないな、ソラ炎頼むわ」

「全く……。発動、燃える想い(バーンハート)


 ソラの炎により周りの状態が露わになる。すると、そこの壁には先ほどのスイッチに描かれていた紋様と同じようなものがたくさん描かれていた。

 そして奥の方には巨大な絵が3つ描かれている。


「これはいったい……」

「……あれは……人?」


 マルロが見ている奥の方の壁をソラが照らすと、そこには人とみられる絵が描かれている。


 これは、人と隕石……?

 絵に描かれた人が見上げている先には巨大な岩が落ちてくる様子が描かれている。そして逃げ惑う人々と対照的に隕石の下には1人の男が毅然と立っている様子が描かれている。

 そして絵の下には全く読めない文字が書かれていた。


「……これは……古代文字」

「マルロ、読めるのか?」

「ある程度は……」

「そうか、読んでくれるか?」

「……わかった。他のところに書いてあるのも読んでみる。」


 するとマルロはまず隕石の絵に書かれた文字を読み始めた。


 ――人々は逃げ惑う。大いなる力を人が持つ事に意味などあるのか。それでも神に勝つ事は出来はしないのに。――


「……そう書かれてるわ。」

「言いたい事はたくさんあるが、次を頼む」


 2つ目の絵は人々が隕石で出来た穴に逃げ込み、穴を掘っていく絵が描かれている。


 ――我々は奴が死ぬまで地上に出る事はない。何故あのような者が生まれてしまったのか。神に挑むなどという大それた事をしようなどと。せめて私達はひっそりと暮らそう。――


「次……」


 そして3つ目の絵はこの空間の1番奥に描かれていた。そこには黒で塗りつぶされた抽象的な巨大な何かとそれを崇める人々の絵が描かれている。これが……神?


 ――神は平等だ。我々に平等に死を与える。だからこそ神の怒りを買ってはならないのだ。全ては神による裁きを平等に受ける事になる。――


「……だそうよ。」

「神ねぇ……」

「ふん、くだらん。」

「でもこれ神とかいう抽象的なものはともかく、最初の絵のこの男、大いなる力ってもしかしてこの男が隕石を落としたのでは?」


 ソラが突然そんな事を言い出した。いやいや、絵の通りならこの男は人間だぞ。人間がこんな巨大な穴をあけるほどのスキルを持つなんて不可能だろ。


「流石にそれはないだろー」

「いや、わからんぞ?」

「どういうことだエリア?」

「貴様も見たであろう。ロズモンドの規格外のスキルを。あれも隕石とは別ベクトルだがありえないスキルだ。ならばもしかしたら隕石も可能かもしれん。」

「うーん、そう言われれば……」


 しかしだとすると隕石落とせるだけのスキルの持ち主ってヤバすぎだろ……。


「くえ!」

「どうしたアポロン?」


 アポロンが急に鳴いたかと思うと、アポロンの見るこの空間の右隅には人1人が通れそうな扉があった。


「おお、あんなとこに扉が。アポロン、お前こういうのよく見つけるなぁ。」

「くえっ♪」

「とりあえず入ってみるか」

「待て、扉にも何か書かれてるぞ」


 本当だ。扉にも古代文字とやらで何かが書かれてるみたいだ。


「マルロ、頼む」

「ええ……」


 ――時を超えんと願う者よ、この先にはその願いに足る物があるであろう。しかし歴史そのものを変える事が出来る代物にはその器に相応しい者が扱うべきである。いつかこの扉を開け、私が成しえなかった世界を在るべき姿へと変える者が現れる事を願う。


 ギルガメッシュ――


「……と書いてあるわ」

「時を超えんと願う者よ、だと!?」

「という事はこの先に……時の石板がある可能性が……!?」


 まさかの大当たりだせ!! よっしゃあ! 

 と、思っていたその時だった。


「いやぁ、凄い凄いっ! 本当に見つけちゃうなんてねーっ!」

「誰だ!?」


 この声は……! 俺たちは後ろを振り返り、声を発した人物を見た。

 そこにいたのは、ゴスロリと呼ばれるフリフリの服を纏う1人の女。


「お前は……」

「やっ! 久しぶりーっ。マリーでーすっ。」


 そう、そこにいたのは紛れも無い闇ギルドのボスの1人薔薇の棘(ローズペイン)のマリーだった。

 なんでこいつがここに……!


「お前、尾けてきたのか?」

「もちろん。私のスキルでここにあなた達が潜り込んできたのはわかってたからね」

「お前達の目的はなんだ?」

「教えてあげなーいって言いたいとこだけど、もうここまで来たんなら教えてあげるよ。私たちの目的はギルガメッシュを現代に連れてくる事だよ」


 ギルガメッシュ……だと?

 その名はさっきこの扉の文に書かれていた……


「ギルガメッシュ……ってのは何者だ?」

「私もそこまで親切じゃないよっ。後はもう少し協力して貰ったら教えてあげよーかなっ」

「協力だとっ!? 誰が貴様らなぞにっ!」


 エリアが激昂し今にも襲いかかろうとしている。


「エリアッ! 待てっ!」

「なぜ止める!」

「アポロンが捕らわれてるっ!」

「くぇぇ……」


 いつの間にかアポロンはマリーに捉えられ、奴の後ろに生えるつるに縛られていた。

 あのアホッ!


「また貴女ね……しつこいねー。言っとくけど貴女のそれ逆恨みだからねっ!?」

「逆恨みだとっ!? 貴様に私のなにがわかるっ!?」

「わかんないから逆恨みって言ってんでしょっ。貴女の一族を滅ぼしたのは私じゃないのっ、クロードっていう他の人っ! 私は一切関与してないのっ!」

「クロード……!? そいつが私達を……!!  おいっ教えろ! そいつは今どこにっ!?」

「知らないよっ。私達は各々の事なんか把握してないわっ! そんな事より……早く扉を開けてっ。そうしないとこの子がどうなっても知らないよ?」

「くぇぇ」


 アポロンを絞めているツルの力が強くなり、アポロンの顔が険しくなっていく。


「おいエリア! お前にも事情があるんだろうが、今は俺の方について来てるんだから俺の事情を優先させて貰うぞ! マリー! アポロンを離せっ、扉は開けてやる!」

「素直だね〜っ!」

「シオン……!」

「ソラ、マルロ、ここは奴の言う事に従うしかない。すまないが耐えてくれ。」


 そして俺は扉を開けた。


 ぎ、ギギギ……


「……なんだあれは……?」

「人……?」


 扉を開けた先には、全身を墨のように黒く塗る潰された人型の何かがあぐらをかき、待っていた。


 バタンと扉が閉じると同時に、そいつは目を開け、そして口を開いた。



「……さて……お前達の器はいかほどだ……?」

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