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「人気者?」

 ガラスで出来た大きな階段を、少年と喜希たちは歩いていく。

 昨晩と違い、周りはたくさんの女子たちが賑わっていた。それはこの階段を中心に、部屋が枝分かれしているのが理由だろう。


「ところで、お前誰?」


 さっきまでは眠気が抜けなかったのか、無口だった稚気が、少年にして当然の質問をする。


『……』


 それに対して少年は何も答えない。ニコニコとした表情で階段を下りて行くだけだった。無視をしているのか、単に聞こえてないのか。稚気はさっきより大きな声で、それも強気で質問をする。


「おい! お前誰だよ!」


『え? あ、僕に言ってたの?』


「お前以外に誰が居るって言うんだよ!」


 少年は階段のど真ん中で立ち止まり、肘を抱えて、考えていると言うことを表現する。


『ん~と……じゃあ、秘密』


 少年は、にやにやとした笑みを稚気に向け、再び階段を下って行った。稚気は、少年の言動に、頭の上に疑問符を浮かべながらも、今度は別の質問をする。


「まぁ、秘密なのは良いんだか、それより、お前ここに居て良いのか? ここ、女子寮だろ?」


 周りを良く見れば、賑わっていると言うよりは騒いでる。そんな感じもしなくはない。それも、皆、喜希たちに視線を送っているような気もする。


『……』


 その事に今、気付いた。と言った顔をした少年は立ち止まりきょろきょろと辺りを見渡す。

 それに対して、さっきまでうるさいほどに騒いでいた女子たちが、急に沈黙し始めた。

 そしてその沈黙に耐えかねた喜希が、少年へ質問をする。


「あ、あの、やっぱりここに居て問題じゃないんですか?」


『いや~、困ったな。やっぱり、僕がここに居たらまずかった?』


 少年の質問に、喜希たちは頭を黙って縦に振った。

 すると、少年は続けて話し出す。


『そうだよねぇ。僕って人気者だから、女子寮に現れたりしたら、問題だよね~。いや~失敗失敗。また、ダビデに怒られちゃうよ。じゃあ、改めてイベント会場に向かおうか』


 少年は、自慢げに、それも無駄にかっこ良くそう言い終えると何事も無かったかのように歩き出す。

 喜希たちは、黙ってついて行くしかなかった。


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