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「プレイングランク」

「では、この学園の事について少し説明しておきます。もうすぐイベントも始まる事ですしね」


 ホストみたいな青年は、喜希と使い魔を豪華な大きなイスに導くように座らすと同時に、次々と説明を続けていく。


「この学園では、私のことを、『スペードの13、ダビデ』とお呼びください。ダビテと省略して頂いても結構です。この呼び名システムですが、システム自体の名称をプレイングランクと言い、強い力を誇る者に称号を与えると言うものです。お解りだと思いますが与えられた称号は、この学園内での通り名となっています」


 このプレイングランクの称号は計53名に与えられる。もちろん、称号を得た者はその栄光を守るため、力を伸ばし続けなければならない。そうしないと称号を、別の者に略奪されてしまうからだ。

 次に称号の種類だが、スペードの1~13、ハートの1~13、ダイヤの1~13、クラブの1~13、そしてジョーカーとあり、役割に応じて種類は決められ、その中の力の序列として数字が与えられる。ちなみに数字が大きい程良く、ダビデなどの名前があるのは上位11~13までとなっている。


「お解り頂けましたか? 喜希さんは前にも言ったとおり『スペードの12、パラス』を名乗りください」


「わ、わかりました。パラス……ですね」


「はい。クラスでの自己紹介をする予定ですので、しっかり名乗れるように、なっていて下さいね。私は用事があるので、一旦、席を外しますが、喜希さんはここで待機していて下さい」


 ホストみたいな青年は、大きな部屋に一人喜希を残し、この場を後にする。

 取り残された様に佇む、喜希と使い魔。あまりにも雰囲気が気まずいので、喜希が使い魔へ話しかけることにしたのか、キョロキョロと使い魔をチラ見しながら話しかける。


「あの~。使い魔さん? あなたにはお名前はあるのですか?」


「無い」


「無いんですか!? え~と……どこから来たんですか?」


「気が付いたら……お前と行動していた。それ以外の記憶は無い」


「……。その右手首の紋章ってなんだろね?」


「さあな」


「じゃ、じゃあ! お近づきの記念に、お名前を考えよっか」


「勝手にしろ」


 あまりにも単調な会話。それでも二人は少なからずとも、距離を縮めつつあった。






「初めまして。ここでは『スペードの13、ダビデ』と呼べば良いのかしら」


 私立学園の廊下と思われる場所で、乱数調整がホストみたいな青年に、背後から話しかける。

 ホストみたいな青年は、背後に立たれていた事に気付いていなかったらしく、慌てて驚きながら、背後を振り向く。しかしホストみたいな青年の驚きかたが、尋常ではない。ただ、背後から話しかけられただけでは、これほどは驚かないだろう。

 ホストみたいな青年が必要以上に驚いたのには、理由がある。と言うのも、この廊下は一般の生徒の立ち入りを禁止している。と言うよりは、物理的に使用できないと表現した方が適切だろう。その上この廊下を利用する者は、彼と彼の父親のみだ。にも関わらず、声をかけられたのだ。

 このホストみたいな青年の驚きは、ただ、背後から話しかけられた事に対する驚きだけではないのだ。


「なにを驚いているのかしら? 私達はこれから喜希とやらを監視する同僚でしょ? よろしく頼むわね」


 ホストみたいな青年の肩に軽く触れ、青年を追い抜かすように颯爽と歩いていく。


「巫女服……と言う事は、本当に乱数調整が来たのか! 学園はなにを、そんなに焦っている!」


 すでに彼しか居ない廊下に、青年の声が響き渡る。

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