「一組の主人公2」
「あんた……その制服……ちゃんと学園行ってるの?」
「当然だぜ。炉心溶融Meltdownって通り名もあるし、学園のナンバー3なんだぜ!」
「そんな事、知ってるってば。ただ、自分の力に溺れて学園サボって無いかな~って思ったのよ。
けど、まぁ、その様子じゃ一応、通ってはいるみたいね」
しかし巫女少女がこの小さなナンバー3を疑うのも仕方が無い。と言うのも、この少女の服装があまりにも酷いのだ。
学園内には無数の学び舎が存在する。その無数の学び舎の中で自分の気に入った授業を開催する学び舎を見つけると、そこへ授業を受けに行くのだが、そうなると毎回、授業を受ける校舎が変わってくる。そしてその学び舎も、教える側として授業を受けにくる生徒に授業を受ける為の必要最低限の条件を与える。それが一定の魔法を覚えている事、だとか指示する物を準備しておく事とか、たくさんあるのだが、中には服装に条件を付ける学び舎も存在する。
当然だが、炉心溶融の様な服装をしている生徒など断る学び舎も多い。だから巫女少女は炉心溶融にそのような質問をしたのだろう。
「なんだよぉ! お前だって、巫女服じゃないかぁ!」
「私はいいの、『卒業者』だから。それに私だって学園に通っていた頃は地味な制服着ていたのよ。」
「これだって、制服だぁ!」
巫女少女はそう言われ、小柄な炉心溶融を凝視する。炉心溶融は目に見えて身長が低く、着ている服や、ネックレスと言ったアクセサリーのサイズが一回り小さい。
そして、正常な制服だと主張する炉心溶融の肝心の服装は、長袖のカッターシャツの上に、赤いネクタイと意図的に小さく作られた黒いベストを着ている。
そして下半身は黒いスカートだ。しかしそれならまだ良い。
と言うのもカッターシャツの襟や手首にはフリルが付いていて、前を止める為のボタンの代わりにチャックが付いている。
しかもチャックが中途半端な個所までしか止められて居なく、へそが丸見えである。
さらに赤いネクタイにはピンクのリボンと、ネックレスの様なアクセサリーが付けられていて、
黒いベストには、鎖がジャラジャラと付いており、絶対に無意味な星やハートといった様々な形をしたボタンが数個、留められていた。
そして黒いスカートだが、大きなベルトに、またもやフリルが満載。
さらには様々な装飾品がその黒いスカートを彩っていた。
「可愛いーだろ~!」
「はいはい、そうですね~。ところで、わざわざこんな所に何の用? 学園からかなり遠いわよね、ここって。なのに訪れるって事はかなりの事よね」
「さすがに察しが良いな。やっぱ幼馴染は違うぜ。そんじゃ、単刀直入に言う。使い魔を召喚させた魔法使いが現れた。情報によると偶然の成功らしいが、まだ詳しい事は分かってない。だからこれからの方針も未定だ。ひとまず、そいつはバカらしいから、とある私立学園で保護させた。って所。そんで、お前はおれと一緒に学園へ着て貰う。OK~?」