「私立学園入園!?2」
「暴力主義者=テロリスト『そして誰もいなくなった』」
しかし何の変化も訪れない。だが、さっきまでガラスの向こうで騒いでいた人々が急に静かになり、次々にこの場を去って行く。
そして青年はそれを満足げに眺めると、喜希に言う。
「私は人の精神を操る魔法を得意としているので。では参りましょうか、『スペードの12、パラス』」
「スペードの12、パラス……?」
「我が私立学園ではそう名乗ると良いでしょう。それがあなたの力と権利を表すので。」
青年はそう言うと再び喜希を両手で抱え、病院を出る。
決してポカポカと言えない、そこそこ強い日光が喜希達を照らし、目を眩ませる。
「喜希さん、箒はどちらに?」
「多分、家にあると思うけど……」
青年は優しく微笑むと、近くにあった車と呼ばれる乗り物に向かう。その車は科学の力で宙に浮いており、摩擦を無くしたおかげで時速400㎞と言う凄まじい速度で移動する事が出来る。
しかし普通の人間がそんな速度で移動する車をまともに扱う事が出来るはずも無いので、普段は時速40kmくらいで運転するしかない。
そしてこの世界では免許と言う物が無い。つまり車を手に入れた瞬間、その車を運転する権利があると言う事だ。そしてなぜ、この世界には免許が無いか。それはこの世界には車を利用する者がほとんど居ないからだ。
と言うのも、ほとんどの者は車より、空を移動する為もっと高速で移動できる箒を利用する。
そして何よりも車は値段的な意味で、ものすごく高いのだ。その証拠に車を利用するのは一部の貴族くらいだったりする。