「プロローグ」
月や星の形をした金色の金属の装飾品で彩られた白いとんがり帽子を被った少女は誰も居ない学園の屋上に設置されている落下防止用の手摺に乗りかかる状態でため息をつき、手に持っている物に目を通す。
その紙には大きな赤い字で『0点』と表記されており、誰が見ても良い結果には見えない。
少女はその字を虚ろな瞳で眺めまたもやため息をもらすと独り言を呟く。
「また0点……お父様になんて言い訳をしよう……」
少女は再度ため息をすると、隣に掛けてあった箒を手に取りまたがる。そのまま空を見ると少数の人が普通の箒にまたがり、空を飛んでいた。それに比べて少女の箒は、箒だと言うのに先にブラシは無く、4つのロケットエンジンの様な物が取り付けられている。
「普通の箒に乗る事の出来ない魔法使いなんて、僕しか居ないよね……」
少女はそう呟き、手元に4つあるブレーカの様なスイッチの1つを入れる。すると、4つのエンジンの内、地面を向いていた1つのエンジンから強烈な音と共に火の粉が舞い上がり、猛烈な火が噴出され、その勢いで少女を乗せた箒は少しずつ浮上し、突然吹っ切れたかの様に猛スピードで上空へ浮き上がる。
そしてある程度まで上がると、少女は2つ目のスイッチを入れ、身を屈めると、少女とは真反対の方を向いたエンジンから、一気に炎が噴出され、その場に『キィーン……』と言う擬音語を残し、猛スピードでこの場を移動する。
その様子を他の魔法使いは慣れた様子で眺めていた。
僕っ子だー。
機会天使の外伝作品です。