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第8章:すり減った財布

静かな章…ナツの心の声は静かに響く。

ナツは静かな夜の中、

一人暮らしの安いアパートへ戻ってきた。


ギィ……とドアが軋む。

部屋は古びて狭く、

長い時間が刻まれた生活の跡が滲んでいる。


ナツは鍵を閉め、

薄暗い部屋に足を踏み入れた。


布団の代わりに敷かれたのは、

薄っぺらい毛布が一枚だけ。


彼は引き出しを開け、

ボロボロの財布を取り出す。


中を覗いた瞬間――

視界に入ったのは、わずか300円。


ナツは顔をしかめ、

財布をそっと引き出しに戻した。


(……また、どうにか切り抜けないと)


重い足取りで洗面所に向かう。

ひび割れた鏡が、

自分を歪んだ姿で映す。


その姿を見るたび、

自分の無力さが胸を締めつけた。


気づけば拳が握られていた。


ドンッ――


拳が自分の頬を打つ。


痛みが走る。

けれど、その痛みすら

空虚な心を埋めてはくれない。


小さな洗面所に、

音にならない叫びが響いた。

静かな痛みを抱えるナツに、どうか温かいハグを…

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