第6章:怒れるボス
ボスは今日もお怒り。緊張感MAX。
会議室の空気は、重く張り詰めていた。
テーブルの先頭に立つのは、
スタジオのマネージャー・クドウ。
鋭い視線が社員たちを射抜く。
リュウは背筋を伸ばしながらも、
心臓がバクバクと暴れていた。
「リュウ!!」
雷のような声が炸裂し、
リュウはビクッと身体を震わせる。
「は、はい!」
「作者には連絡したのか」
低く、威圧感のある問い。
「はい……今朝、指示通りメールしました。
ですが、まだ返信は……」
クドウの表情がさらに険しくなる。
「ダメだ。全然ダメだ。
何がなんでも口説き落とせ。
ウチの前の作品は大失敗だった。
多額の損失が出ている」
社員たちは息を呑み、目をそらす。
リュウは胃がキリキリと痛む。
(どうやって説得しろっていうんだよ……
それにナツの仕事も……)
「リュウ! 聞いているのか!」
「は、はいっ!」
「明日までに返事をもらえ。
できなきゃ……クビだ!」
ガンッと机を叩く音が響き渡る。
リュウの顔が真っ青になる。
「ぜ、全力で頑張ります!!」
会議は強制終了。
退出していく社員たち。
リュウはドアにもたれかかり、
小さくため息。
「マジで怖すぎ……」
その様子を見ていた
ユマとウマが駆け寄ってくる。
「うわー、大変そうだったね」
ユマが肩をすくめる。
「またあのオッサン怒鳴ってた?
ほんと、ただのドラマクイーン!」
ウマは悪戯っぽく笑う。
ユマがクスクス笑いながら言う。
「でもさ、
あのイケメンの友達、まだ受付にいるよ?」
リュウの目がカッと見開く。
「まだ待ってるのか!? なんで!!」
リュウは再び全力疾走。
二人は
「やれやれ…」と苦笑いで見送る。
◆◆◆
受付では、
ナツが腕を組んだまま静かに目を閉じていた。
アヤが困ったように説明する。
「だいぶお時間がかかりそうだったので
戻られるように言ったのですが……
どうしても待つと」
リュウはナツに近づき、指を鳴らす。
「おい、何してんだよ。
帰れって言ったろ?
連絡するって言ったじゃん」
「……悪い」
ナツは申し訳なさそうに呟く。
リュウは肩を軽く叩き、ため息。
「とにかく、仕事は俺がなんとか探すから」
その時、
グゥゥ~……と
間の抜けた音。
ナツは視線を落とす。
お腹が正直すぎる。
「……何も食ってねえのか?」
リュウが笑いを堪えながら言う。
「どっか行って飯食う? 奢るって」
ナツは首を横に振る。
しかし――
グゥゥゥ~~~……
リュウは吹き出す。
「ほらもう絶対腹減ってんじゃん。な?」
それでもナツは無表情のまま立ち上がり、
黙って出口へ向かう。
リュウはその背中を見つめる。
(あいつ……
全部一人で抱え込むから……)
胸の奥に責任感が湧き上がる。
リュウの拳が
ぎゅっと握られた。
可哀想なリュウ…プレッシャーやばいです
画面越しに応援してあげてください




