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第5章:頼れる友

KIDZスタジオ。ナツとリュウ。

彼の物語はここから始まる。

その頃、日本のど真ん中。

アニメ制作会社《KIDZスタジオ》は今日も大忙し。


アシスタントマネージャーのリュウは、

重要な資料がぎっしり詰まったファイルを抱え、

巨大な「ミーティングルーム」の扉の前で深呼吸していた。


社内では、

絵コンテ、作画、打ち合わせ……

クリエイターたちの熱気と集中が渦巻いている。


そんな中、女子社員のウマとユマがこそこそ話。


「なんかさ、見たことある人いなかった?」

ウマが目を細める。


「受付にいたイケメンのこと?

先週リュウと一緒にいたよね?」

ユマはほほを赤らめながら答える。


「あ〜、あの人!

でも、今日は何の用なんだろ?」


一方リュウは別の危機に直面していた。


スマホが震えっぱなし。

画面いっぱいの不在着信とメッセージ――


『会いたい』

『電話出ろ』

『そっち行く』


リュウは眉間を押さえため息。

折り返そうとスマホを手にした瞬間――


画面が真っ暗。


「……今、電池切れる?」

ミーティング開始まで、あと数分。


そこへウマとユマが駆け寄る。


「リュウ、会議だよー?」

「10分前からもう待機?

あの部長怖すぎてビビってる?」


「ち、違うって!

遅刻は絶対イヤなだけ!

ていうか、仕事戻ってよ!」


「それよりさ〜、

あんたの友達何してんの?」

「そうそう、受付の

背高くて黒髪でクールでイケメンな――」


リュウの目が一気に見開く。


「ナツ……!?

来ちゃったのかよ……!」


胸騒ぎを覚え、

リュウは急いで受付へ走り出す。


「ちょ、会議!」

「間に合うから大丈夫!」


◆◆◆


受付ではナツがソファに座り

無表情で一点を見つめていた。


受付嬢のアヤが困り顔。


「リュウさん、なかなか来ませんので…

一度お戻りになられては?」


「待つ」

ぶっきらぼうな返事。


その時、息を切らしたリュウが到着。


「アヤさん、ありがとうございます。

まだ時間あるので大丈夫です」


「会うとは思わなかったよ、ナツ」


「……ん」


「電話もメッセも無視とか冷たくね?」


「……充電切れたんだって」


「……ふーん」


「相変わらず“ん”しか言わんな」


「ん」


リュウは苦笑しながら聞く。


「で、なんの用?」


ナツは少し迷い――ぽつり。


「……仕事」


リュウの顔がピシッと固まる。


「まさか、またクビか?」


返事は沈黙。


リュウは肩に手を置き、

優しく笑った。


「じゃあ、会議終わったら

仕事探してやるよ」


ナツの瞳にかすかな光が宿る。


アヤが提案する。


「マネージャーに相談すれば

何か紹介できるかも。

でもあの人、怖いですけどね…」


ナツは俯いたまま。


リュウは彼の顔を覗き込み、

包み込むように笑う。


「大丈夫。友達がついてる」


ナツは小さく頷く。


「リュウさん、急いでください!

会議始まります!」

アヤの声が響く。


「じゃ、また後でな。

一旦帰って待っとけよ」


肩を軽く叩き、

リュウは走り去っていく。


残されたナツは――

静かに息を吐き、

再び座り込んだ。

リュウのスマホが充電切れした理由:

「アニメの研究」で夜更かし(ほんと?)

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