第2章:朝の大騒動
朝は戦場——しかもテストの日ならなおさら。
大人気ウェブ小説『真実を追うペガサス』の作者、
ララはベッドの上で気持ちよさそうに眠っていた。
彼女の部屋は、創造性と先延ばしが混ざり合った
“カオスの芸術作品”のような空間。
中央には大きなベッドが堂々と陣取っている。
机の上には、散らかった紙やペン、タブレット。
そして仲間たちと並ぶペガサスのポスター。
ピピピピ――
無情なアラームが、彼女の睡眠を容赦なく引き裂いた。
ララは片目だけ開けて、手探りでスマホを掴み、
アラームを止めると再び布団に潜り込もうとした。
しかし――
突然、脳内に警報が鳴り響く。
「昨日、更新するはずだったのに……!!」
跳ね起きたララは、まだパジャマのまま
タブレットを掴んで画面を連打。
設定を押し間違えて慌てふためきながらも、
なんとか新しい章を公開することに成功する。
「ふぅ~、よくやった私! 天才か!」
自分の肩をポンポン叩き、どや顔で大満足。
そのまま再びベッドへダイブし、
布団を鼻まで引き上げて――
「おやすみ……」
と、朝なのに寝る宣言。
コンコン!
母親の鋭いノックが静寂を破った。
「ララ! もう大学遅刻するでしょ! 起きなさい!」
「明日行くからぁ……」
枕に顔を埋めて反抗。
「試験は今日なの! 明日じゃないでしょ!」
母の声が雷のように落ちてきた。
「し、試験!? わ、忘れてたーーーっ!」
ララは慌てて洗面所へ直行。
水音と歯磨きの音が部屋中に響き渡る。
部屋は嵐が通り過ぎたような有様。
服、教科書、食べかけのお菓子が散乱している。
母は呆れ顔で腕を組み、部屋に乗り込む。
「何度言えば片付けるの?」
「制服が見つからないの!」
ララは部屋中を引っ掻き回す。
母が小さな手鏡を差し出した。
ララは鏡を覗き込み――
「おっ、私、けっこう可愛いじゃん?」
とポーズをキメる。
「昨日そのまま寝たのよ」
母が呆れたように鏡を下ろす。
「あっ、忘れてた~!」
ララは苦笑い。
「もう! 先に朝ごはん食べなさい!」
「はーい!」
ララは元気よく返事をし、食卓へ。
タブレットを見ると――
驚くほどの“いいね”と閲覧数。
ララの唇が嬉しそうに緩む。
ペガサスの方がララより早起きです




