9話
「こちらがギメイさんの新しいステータスです」
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ギメイ・アカラサマ Lv 13
体力 D
筋力 C
魔力 D
器用 C
知力 C
スキル【千里眼】【水魔法】【剛力】
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レベルが3上がって、体力が一段階上がったな。さらに新しいスキルだ。
「えっと【剛力】ってどういう効果ですか?」
なんとなくわかるけれども…
「えーっと筋力を底上げするスキルらしいです。使うと疲れるらしいです。どれくらい疲れるかは…人によってまちまちだと」
「なるほど」
まあ、分かりやすいスキルだし。今の俺の攻撃力不足を補える。かなりありがたいスキルかもな。
ただ、水魔法とかとは違ってかなりアクティブスキル寄りだな。クールタイム式というよりかはスタミナ消耗型のようなイメージだろう。
それと、あれだけ狩ってレベルが3しか上がらないことがかなり驚きだ。
昨日より1.5倍ほどを俺一人で倒した計算なのだが…だんだんゴブリンとのレベル差が開いているのだろうか?
経験値の量がものたりないな。まあ、金はその分たくさんもらったからいいんだけど。
あ、お金で思い出した。
「そういえばフランさん、魔法言語の先生の話あったじゃないですか」
「ええ、どうします?依頼されますか?」
「それが、『森の狼』のリリーさんに教えてもらえるって話になって、とりあえずの目途が立った報告をしておこうと思って」
「ああ、それはよかったですね。『森の狼』の方なら大丈夫でしょう」
「それとパーティーを組もうと思っているんですけど…パーティーの注意点とかってありますか?」
「アランさんですよね」
「はい」
1、依頼金の分配はパーティーリーダーがだす申請書で決まる。(基本的には等分)
2、依頼を受ける最終決定ができるのはパーティーリーダーだけ
3、パーティー内での揉め事は自己責任
4、ギルドのルールに抵触する場合はその限りではない
5、パーティ契約というものがあり、依頼者とその契約を交わすとその一定期間はパーティーからの脱退不可
あと、メリットとしてパーティーを組んでおくとギルドから指名依頼を受けやすいらしい。
それは銀級になりやすいことを意味する。
「だから鉄等級、遅くても銅等級でパーティーを組むということは正しい戦略です」
「なるほど」
「まあ、気を付けることは人間関係だけですね」
「まあ、とりあえずやってみます」
「ええ、最初のパーティーは難しいことも多いと思いますが、分からないことがあれば都度聞いてください」
「それじゃあ、ありがとうございました」
銅でできた冒険者カードを受け取り、アランのところに戻ろうとする。
「はい、無茶はしないでください。あ、あと…どうせ銅級依頼を受けるでしょうから、これ…」
「これは?」
「銅級で討伐依頼がでている魔物の特徴と、弱点、生態、目安レベルをまとめたものです」
「え!ありがとうございます!」
攻略本じゃん!まじ?
「鉄級のも作ってたんですけど…このペースじゃ使わないと思って急遽銅級に変えました」
「…フランさん。すみません、お仕事増やしちゃって」
「いいんですよ、私がやりたくてやってるんですから。だから、くれぐれも無茶はしないように」
「はい!」
「うん、いい返事です。それじゃあ銅級冒険者、おめでとう」
「ありがとうございます!また明日!」
今日は帰ってくる時間が遅くなることが予想されていたので貸し宿代は先に払って夜ご飯を食べに向かうつもりだ。
ロビーに戻るとアランが待っていた。
「やあ」
「パーティー申請はうまくいった?」
「いやぁ、名前をどうしようか思いつかなくてねぇ、明日だそうと思っていたところだ」
「名前か」
「いい名前でもあるかい?」
こういうのはいくつものゲームで見てきた。クラン、ギルド、同盟、レギオン…呼び名は数多あるがそれらの名前には安牌なワードとダサくなる可能性が高いワードが存在する。
猫、この言葉を入れておけばとりあえずちょっとかわいい系。少なくともイタダサくなることはない。
騎士団、枕詞が命だ。オリジナルに走ると痛い目をみる。
夜や、星、それと難しい漢字はできれば避けたいところだ。かっこいいものになるのか、かっこつけているものになるのか…後者になることが多いからだ。
出来れば凝りすぎず、イメージしやすく、仲間意識を持たせやすく、シンプルでかっこいい名前がいいのだが…
この間わずか1秒。高速回転した俺の頭はある一つの結論にたどり着く。
「なんでもいいよ」
だって無理だもん!というか俺の名前がそもそも適当だし!パーティーネームもなんか適当でいいよ。暗黒竜騎士団とかじゃなければ。
「はは、困るねえ」
「俺も同じでいいものが浮かばないんだよ」
「まあ、一晩考えようか」
「そうしよう」
「じゃあ、夜ごはんを食べにいこう」
「その前に…これ」
「…?今回の依頼、僕はゴブリンを倒していないし、依頼完了をしたのは君だろう?」
「俺たちはパーティーなんだよ。だから受け取れ。譲る気はないぞ」
「ふふ、まあそういうことなら」
その1、報酬はパーティーで山分けしましょう。
手伝ってもらってばっかの俺が唯一正当にアランに恩を返せる手段だ。
ちなみにアランと理詰めで話すつもりはない。俺が負けるからだ。
「あ、きたきた!おーい、こっちよぉ」
「あ、またせてたか…すみません、遅れました」
「いやいいのよ、ほら、いい加減あんたも顔をあげなさい」
「その…昨日はすまなかった…本当に…楽しくて…」
あーアレスさんがしぼんでみえる。おそらく昨日のことを今日思い出して、合わせる顔がない…って感じのテンションなんだろう。
「いやいや、自分は魔法言語が教われるっていうのでうっきうきですよ」
「そういってもらえると、たすかる」
「まあ、とりあえず乾杯しましょ。今回はこの席にお酒運ばないように伝えているから大丈夫よ。はい、かんぱーい」
「か、乾杯」
「かんぱーい」
「はは、かんぱーい」
「乾杯です!」
酒場での食事が始まったが…約2名食事にも手を付けず、紙とペンを取り出すものがいた。
周囲はちょっとあきれていたが、冒険者だしなと自分たちの会話に戻る。
「さて…まずはそうね…私が教えられるのは呪文だけよ。それも全てではないわ。魔法陣やエンチャントはまだ私もできないの」
「はい」
「じゃあ、呪文の説明をしていくわね…」
かなり分かりやすい説明だった。
箇条書きのメモにまとめたものが以下になる。
1、場所の指定→魔法の発動→それにアクションを指示。基本的にはこの流れ。
2、場所の指定は「マ」発音上はアに近い。そのあとに魔力を込めているところから魔法が発動する。
3、行動指定ワード
「纏え・シータ」「規模拡大・グレンデ」「規模縮小・ヘレゲル」「膨張・アボール」「圧縮・ゾルデ」「放出・クルド」「留まれ・アルク」
あとこれは豆知識というか、テクニックなのだが。修辞語をいれることで魔法の威力が上がることが確認されているらしい。おそらく精霊元素に自分が行いたいことのイメージが伝わりやすいからだとされているが、詳しいことはしらないらしい。あくまで学者ではなく冒険者なのだ。
つまり、『マ ゾルデ クルド』でビームを撃てるってことだろうか?
それに、流れる水は矢のごとし、とかいえば威力が上がるの?なんか想像つかねぇ…
さっきまで水球とその形を変えて頑張っていた俺がばかみたいじゃないか…
「ここでやるのは…」
「やめたほうがいいわ」
「ですよね」
「ほかにもいろいろあるんだけど…まずはこれをパッと使えるようになってからがいいと思うわ」
「わかりました。練習しておきます…」
「あと、これから護衛依頼で2日間ほど町を離れるの。だから続きは帰ってきてからになるわ。おそらくちょうどいいと思うんだけど…」
「そうですね。2日間あれば使ってなれることができると思います」
「よかった。じゃあまた3日後の夜ね」
「はい、今回の時間で」
さて、少し冷めかけている料理を口に頬張りながら行動指定ワードを反復していく。
あんまり頭はよくないので、こういうのは沢山やらないといけないんだよなぁ。