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3話

まだ少し暗さが残っている朝。

「いっつー」

かたい床で寝ることに慣れていないからか朝起きると体の節々が固い。


体をストレッチしながら起こすと枕代わりにしていたリュックを背負いなおし早めにギルドに行く。


ギルドに行くとこの早朝にもかかわらず多くの冒険者が掲示板をのぞき込んで依頼の取り合いをしている。

かくいう俺も昨日はお目にかかれなかった高給単発依頼があればいいなぁという気持ちだ。


だが昨日の話を聞いてよっぽど高給でもない限りは薬草採取などの恒常依頼をこなそうと思っている。

早く鉄級に上がって、ステータス鑑定をしたい。

異世界に来たってことは隠された能力の一つや二つはあっていいと思うし、もしなかったとしてもステータスなんて、全ゲーマーが陶酔した悪魔のシステムだ。興味津々にきまってる。


高給依頼…ないな。やっぱりそういうのは紙級には縁がない話らしい。

恒常依頼は…≪薬草採取・五個につき7鉄貨≫≪商業ギルド雑務・1刻につき鉄貨9枚≫≪下水掃除・1刻につき銅貨1枚≫だけか…


こうしてみると個数で報酬が決まるのって少しギャンブル要素があるなぁ、まあ昨日の感じで行くと薬草採取が一番タイムパフォーマンスが良さそうだ。

そうと決まると門まで早歩きで向かう。


「ああ、どうもー」


「これ、カードです」


「はいはい、大丈夫ですー、じゃあ行ってらっしゃい」


「ありがとうございます、いってきます」


門の外に出ると昨日は道の右側をやっていたので、今日は左側でやっていく。目標は今日中に鉄等級だ。13回分、つまり65個薬草があればいい。


昨日から少し考えていた。森に少し近づいた平原の一帯に群生地があることが多かった。つまりここら辺を重点的に探して回ると…ビンゴォ!。


んーあらかたとったかねぇ。体感五時間くらいぶっ通しで探している気がする。今57個かぁ…あとすこしだし、今日中にがんばりますか!






死ねぇ!!!マジで!!!!物欲センサー!死ねぇ!!!


現在、64個!あと一個!あと一個がもう2時間以上見つからない…さすがに日が落ちる前には戻らないといけないので残された時間はそう多くない。


もう、腰が痛いし、目がなんかぱしぱししてきたし、この状態で続けられるのか?いや、あと一個だぞ!本当にあと一個なのか?数え間違いとか…いやしっかり数えたはずだ。


改めて数えなおして64。しっかりとした絶望と希望。


「あと一個…あと一個…」


もう群生地である必要はない。一つ、ただ一つあればいいのだ…



「あっつたぁ!!!!!」


ハヤリ草!!!!!おれはお前を!愛してる!


リュックに丁寧にしまい、絶対に落とさないように丁寧に、しかし急いで帰る。


「おつかれさまーってリュックいっぱいだねぇ」


「ええ、これで鉄級にいけるはずです!」


「二日で鉄級、がんばったねぇ」


「ありがとうございます!では!」


受け取った冒険者カードをしまいながらギルドへと一直線へ向かう。


「すみません、薬草採取の完了手続きをおねがいします」


「了解しました。かなりたくさん集めましたね。一気にこんなに持ってきた人はあなたが初めてかもしれません」


「あ、すみません」


「いえ、褒めてますよ」


「じゃあ、ありがとうございます」


「ええ、確かに65個、報酬としては銅貨9枚と鉄貨1枚です。鉄等級になることができますが今手続きしますか?」


「是非!」


「はい、それではそちらの冒険者カードを預からせてもらいます。その間に鉄等級になった方に無償で行っているステータス鑑定を済ませておきましょう。こちらの部屋に」


案内された部屋には冒険者カードを作った時の水晶が大きくなったようなものが置かれていた。


「では、そちらの水晶に触れていただいて」


「はい」


やっべ!すっげ!わくわくする!心の底がゾクゾクする感じ!最高!


「こちらがギメイ様のステータスです」


渡された紙を見るとこのように書かれていた。


================


ギメイ・アカラサマ Lv 1


体力 E

筋力 D

魔力 E

器用 D

知力 D


スキル【千里眼】


================



お、おお~。なんというか、簡素だぁ。


「ギメイ様…本当にゴブリンに立ち向かうのは無謀でしたよ、無事でよかった」


あ、俺のステータスそんな低いの!?ゴブリンとか大人なら余裕をもってぼこせるとか書いてあったけど!

まあ、高くはないのはなんとなくわかるけどさぁ!神様!俺何のために転生させられたの!?こんなんじゃいてもいなくても変わらんてぇ!


「ステータスの平均とかって…」


「あ、いえ、ステータスはLvの中では普通なんですが…」


ああ、Lvが低いのね。ならまあ救いようがありますわ。


「Lv2には赤子ないし三歳児までには到達するといわれているので…」


あ、俺赤子レベルだったんだ、文字通り。そりゃゴブリンに立ち向かうなんて馬鹿なことだわ。まじで。よく生きて帰ってこれたな。


まあ、そういうことなら話は早いな。レベリングだ。


っと、そういえばスキルのこと何にも聞いてなかった。


「スキルの【千里眼】ってどんな効果なんですか?」


「遠くのものが鮮明に見えるようになる、見つけたいものを見つけやすくなるといった視力や集中に関連するスキルらしいです」


「あーだからゴブリンに石当たったんですかねぇ」


「そうかもしれません。スキルを使っていたとなるとステータスの値以上のダメージが出ることはよくあることですので」


まあ、なんかぱっとはしないけど便利そうなスキルで悪くないな。


「それでは冒険者カードが更新できたみたいなので受付に戻りましょう」


「はい」


もどりながら質問したいことが浮かんできた。


「そういえばレベルが上がるとスキルって増えるんですか?」


「ええ、増えますよ。なんなら今所持しているスキルが強化されることもあるらしいです。だいたい5レベルくらいですが…まあそこは人によるとしか」


「なるほど」


まあ当分はレベリングだな。

しかもいかに安全にレベリングするか…俺はステータスが馬鹿みたいに低いんだよなぁ


「そういえば赤子がLv2になるのってなぜですか?」


「…?それはご飯を食べたり呼吸をしたりしているからでは?」


「え?」


「?」


え?モンスター倒したりしなくてもレベルって上がるの?MMOの生活系経験値みたいな話?


「魔力を取り込むことで魂の器が広がります。それがLvの上昇とみているのが最新の定説です。魔力を取り込むことで手っ取り早いのが魔物を倒すこと。必要なことですし。冒険者は必然的にLvが上がっていきます。しかし普通に生活しているだけでも魔力は少しずつ体に取り込まれるのでLvが少ないときはそれでLvが上がるというわけです」


「はー」


「では、こちらが新しい冒険者カードです」


鉄でできた冒険者カードを受け取り今日もギルドの貸し宿で寝る。


しかし、普通に生活するだけでLvが上がるかぁ…待ったほうが安全なのかなぁ


いや…うーん。





待てないな。安全にレベリングする方法を探らないと…。

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