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22話

寝ると嫉妬やらがすっきりなくなっていた。

我ながらシンプルな構造をしていて笑える。


「あ、ギメイ」


「おはよ、相変わらず早いな」


「ギメイの武器ができるまであと10日か…」


「そうだな、今日一応スキルが追加したことを報告しに行くか…」


「はは、彼女ならそうしたほうがよさそうだ」


「今日はどうする?」


「…正直昨日の感じだと一段階強敵に挑んでも僕たちなら勝てると思う」


「まあ、同意だ」


【覇気】強そうだったもんな。

俺も【貫通】あるし。


「だから今回はフォレストタイガーに挑もう」


「目安レベル25か」


勝てるとは思うが…いざと言う時のことを考えると格上に挑むときは慎重にならなければならない。


「特にこれといった能力はない。ただ身体能力がばかにならない」


「弱点もないもんな」


「生物としての弱点はあるけどね」


「まあ生命として器官があったほうが戦いやすいし、分かった」


「よし、じゃあ食べ終わったら行こうか!」








「あれかぁ…」


「なんというか…普通のトラだな」


「行くよ!ギメイ!」


「応!」


そういうとアランは金色の軌跡を残しながらフォレストタイガーに急接近し…一刀で切り伏せる。


「え?」


「は?」


戦闘が終わったことに頭が追い付かない…

トラを見て、アランを見て、状況を整理する。


「強すぎだろ…」







あのあと【超回復】で回復したアランと共にフォレストタイガー狩りを続行した。

合計でフォレストタイガー12体を倒し小金貨1枚と銀貨3枚の稼ぎになった。


「これ…アランまたレベル上がるんじゃないか?」


「んーどうだろう、あがってるといいけど…確認してみようか」


「ギメイ様はどうしますか?」


「あー一応お願いします」


あの後は俺も経験値を稼がないとまずいと思い、先手を取れるように魔法を主体として戦ったが…



「こちらがアラン様とギメイ様のステータスになります」


================


アラン・ハート Lv 22


体力 A

筋力 A

魔力 C

器用 D

知力 D


スキル【剣舞】【超回復】【夢魔法】

   【覇気】

================


================


ギメイ・アカラサマ Lv 23


体力 C

筋力 B

魔力 C

器用 B

知力 C


スキル【千里眼】【水魔法】【剛力】

   【軽業】【貫通】

================


ああ、一応俺もレベル上がってた…だけどパッとしねぇな!

アランは自分の強みがはっきり出ている完璧な前衛型だ。

俺のこれは何?どうすればいいの?

圧倒的に…平凡で地味だ。



「んー僕は武器より鎧を先に更新しようかなぁ」


「い、いいんじゃないか?」


「ギメイ…顔凄いことになってるよ…」


「何を言っているんだ、アラン。いつも通り笑顔じゃないか」


「普段は真顔じゃないか」


え?真顔なの俺…表情筋が死んでるからだろうか…

しっかしこのままだったらアランのパワーレベリングから抜け出せない…

役割も分担できない…どうすればいいんだろう…







俺はジオール防具店の扉をたたいていた。


「グラぁ~、助けて~」


もちろんアルゴスさんには普段通りに接したさ。


「どうしたの…急に」


「あ、こちらが新しいステータスです」


「ああ、ありがと」


一応来た理由を先に済ませておく。


「もし変更とかあったら全然しちゃって大丈夫だから」


「特に予想を外れたことが起こっていないから今のところは大丈夫ね…それで?どうしたの」


「ああ、実は…」




「ふーん」


「いや、こうもうちょっと反応あってもいいんじゃないか?真剣に悩んでいるんだよ」


「じゃあ言いうけれど、自分ができること以上のことを考えないこと」


「でもそうなると成長しなくないか?」


「そのラインを探ることは大事だけれど今すべきことじゃないわ、あなたが今すべきはある手札をうまく使えるようになることよ……まあ冒険者じゃないあたしからの助言だからね気にしすぎないで」


「…ありがとう、考えとくよ」


「それじゃあ、またステータスが変わったら連絡に来なさい。おやすみ、いい夢を」


「ああ、おやすみ」


宿への帰り道、夜風に当たりながら考える。


「うん」


グラの言う通りちょっと考え方がないものねだりというか自分ができないことの方にばかり流れていたのは事実。

自分が持ち合わせる手札を考え直そう。

取り合えず明日の朝に【貫通】の検証からだな。





迷いが少なくなってからの日々はあっという間だった。

【貫通】の研究をして、たまにポーションを使ったときは自前で作り直して、【軽業】を活かすために朝と夜に柔軟体操を入れ、魔法の複数同時発動に慣れるための訓練を寝る前にする。

そして昼にはアランとレベリングに行き、たまに飛猿を狩って金策をする。


日が昇り、沈むを繰り返すうちにステータスが体に定着してきて体が動かしやすくなったし、魔法の発動も早くなった気がする。

いいじゃん、ゆっくりかもしれないが進んでる。





「とうとうだね」


「ああ、楽しみだ」


今日は頼んでた武器が出来上がる日。

朝いちばんに来いとのことだったので朝っぱらからこうしてアランと向かっているわけである。


ちなみに今日の予定はもっぱら慣れるために飛猿狩りである。



「おじゃまします」


「失礼します」


「ああ、ギメイ君にアラン君じゃないか」


「アルゴスさん、おはようございます」


「おはようございます」


「グラなら工房にいるよ」


「ありがとうございます」



そういって奥にあるドアを開けると、真剣な表情のグラが立っていた。


「来たか」


「あ、ああ」


なんかキャラ違くないか?

確かに職人気質ではあったが…最初にあった時は一応女の子してたぞ


だが俺の思考はすぐに中断される。

それは机の上に置かれた二振りの剣に目を奪われたからだ。


「これが…」


「ああ、今できるあたしのすべてを注ぎ込んだ。今のあたしにはこれ以上は打てないだろう。…まあ、説明をしようか」


「説明?」


「まずはこっちのレイピア」


そういって黒色で光を反射しない刀身に金色のつば飾りがついたレイピアを渡してくる。

握ってみると握りやすく、重さがちょうどいいい。適度な重さがありつつも振りやすい。


「それはミスリルと黒竜の灰、それに金獅子の風切羽で刀身を作り、金獅子の鬣でスウェプトヒルトを、グリップはヒヒイロスギから作った。」


すうぇ…?なんて?


どうやら柄の装飾のことをスウェプトヒルトというらしい。かっこいい名前だ。

説明を聞いてから刀身を見るとうっすらと金色の模様が走っていた。これが金獅子の風切羽なのだろう。


「この武器は切れ味は前提として魔力親和力が高く魔法との併用に優れている。また金獅子の風切羽は風を切るとき加速する」


「つまり…」


「この剣は加速する」


すっげえー!


「あとはスウェプトヒルトの形だが…実用性はもちろん考えたうえで、『針と糸』というパーティにあうように糸がほどけ、束なる様を意識してみた」


適当に考えた名前なのに…なんか悪くなくなってきたぞ『針と糸』!

にしてもこの剣かっけぇー


「名は『さらさら』」


………?


「ごめん、もう一回言って?」


「…?『さらさら』だ」


「ごめん、アラン、さらさらってどういう意味だ?」


「すーと流れていく様…かなぁ」


「だよな、アランから見て普通のことなのか?」


「いやあ…まあ独特…だよね」


「あーグラ…さん」


「なんだ」


「名前が…ちょっとかわいいというか…武器っぽくない気がするんですが…」


「ふむ、不満か?」


「……いや名前は俺はなんでもいいんだが、何か意図したうえでの命名なのかなぁと思って」


「不満なんだな」


「まあ、はい、少し…」


「じゃあどんな名前がいい?」


どんなって言われてもなぁ…かっこいい感じでもおしゃれな感じでもいいんだが…この場合俺はある程度の答えを出さないとただのめんどくさい奴になってしまう。


「んー、くどさを感じさせないくらいの音のシンプルさかつ、この武器になにか関連するものの名前とかだったら…いいのかなぁ?」


「なんでそこで君が疑問形なんだ」


「俺だってあんまり考えてなかったんだ…」


「それは、難しいな…」


あー困らせてしまった。


「一応ほかにも名前を考えたんだが…その条件にあたる名前は一つしかない」


「…どんな名前です?」


「『糸』」


おー…確かに条件にはあってる。

それに…逆にかっこいいかもな。


「いいっすね」


「敬語…」


「あ…いいな、その名前」


「それじゃ『糸』で」


グラは武器には執着しているがその名前は興味がないのだろうか、それともネーミングセンスが俺とかけ離れているだけ?


「次は…これだ」


そういって短剣を渡される。これも握った時からしっかりと手に張り付いてくるようだ。

見たところシンプルで少し太身なダガーといった感じだ。


「それは黒金で作られてある」


「黒金!?」


「私の実力不足でまだ簡単な成型しかできないけど」


「黒金ってなんだ?あれか?黒金貨とか黒金級とかのあれか?」


「うん…まあそうなんだけど…」


「?」


「そのナイフの価値って…」


「ギメイには言わないで」


「……分かったよ」


「ねえこれいくらするの?怖いんだけど…?」


「大丈夫だ、ダガーとしての価値はそんなに高くない」


えーそれってそれ以外の価値は高いって事じゃん?


「それはこの腕輪と共に使って。グリップに刻まれた魔法が腕輪とリンクしているから投げても手元に戻ってくるわ」


「はー?」


もう頭おかしくなるで。


「合わせて金貨三枚よ」


「あ、ああ」


まあそういう約束だったし、俺はそれでいいんだが…もらっていい奴なのかこれ…

明らかに今の俺にはオーバースペックな気がするんだけど


「ギメイ」


「おん?」


「ありがとう」


「へ?」


どういう事?この流れで俺がお礼を言われる筋合いが本当にないのだが…鈍感系主人公ってこんな気持ちだったの?そりゃ分からねえよ。

他の人からみたら分かりやすいサインとか出てたのか?俺が見逃しただけ?


「その短剣の名は『夢』、そこは譲れないわ」


「『夢』…」


まあ壮大な名前だがいいんじゃないか?少なくともこの流れで文句言える度胸は俺にはないよ。


「じゃあ、また来てね」


「あ、ああ。まあ当分更新しなくてもよさそうだけどな…」


「本当にね…」



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