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21話

「ギメイ、普段より目つきが悪いよ…どうしたんだい?」


「普段よりは余計だろ…昨日調整がなかなか終わらなかったんだよ」


「なるほどね、いいじゃないか…真剣にやってくれて」


「まあ、それはそうなんだが」


「支障があるなら今日はやめとくかい?」


「いや、いい、行こう」


「なら行こうか」



「そういえば…魔導袋って買えたのか?」


「ふふーん、これさ」


「おおー」


そういって足についているポーチを指さす。


「何か入っているのか?」


「所持金ぐらいだね」


「おおー」


いまいち凄さがわからん…が有用なのは確かだろう。


「いくらくらいしたんだ?」


「金貨1枚と小金貨2枚で前話したものよりも一段階いいのが買えたんだよ」


「さすが」


「このサイズでリュック三つ分くらいは入るよ」


「すごいな…」


「飛猿のしっぽ換算で300本くらいかな」


「これで、リュックとそれで一往復合計500個まではいけるのか…」


半日500体だなんて倒した日には環境破壊もいいところだろうなぁ…

まあ運べる容量が変わっただけで、倒せる速度はあんまり変わらないので稼ぎ自体は変わらなそうだな。


倒せても1日中森にいて400体くらいだしな。

実働15時間休みなしとか頭おかしくなるでほんま。

娯楽ないしなぁ。

と、そこまで思考が行ったうえでこの世界の娯楽事情を考えるとよこしまな気持ちになったが…そこでまあそんな時間があるなら金策したいとなるあたり俺もあっち側なんだろう。


「どうしたの?」


「マジで何でもない」


「そう?」


「早く行こうぜ」


「それもそうだね」






狩りが終わり、ギルドで換金するとそのまま夜ご飯を食べに行く。

もうこの流れがすっかり定着している。


えーっと、今日の戦果小金貨2枚か…なんか小金貨2枚がデフォルトになってきた。

本当に金銭感覚がおかしくなりそうだ…収入が小金貨で出費が金貨単位なんて…


飯と今となっては宿代が金銭感覚を引き留めてくれる。

いや、銀貨の宿代が高いって話だったからもう狂っているのか…



「しっかし…クコの街にくらべて変化が少ないな…」


「まあ、平和っていうのも違うかもしれないけど…まあ焔雷竜が来るよりいいんじゃない?」


「それもそうだな」


ただ…進んでいるのか不安になるときがあるんだよなぁ…今はまだいいけど…

何かできることを探したい時っていうか…


「そういう事なら明日からは最低限金策はできるくらいで、レベリングに適した敵にしようか」


「いいな、それ。やる気出てきた」


「うん、稼げることは分かったしね。いったんレベル上げようか」


「最高」


「そういうことならじゃんじゃん食べよう!」


「応!」








「よし、行こう!」


「目に見えてやる気がでてるね」


「そりゃそうよ、やっぱりレベルが上がった時がいっちゃん興奮すんねん」


あまりの興奮にエセ関西弁が出るレベルよ。


人を助けたい、無力なのはいやだ。

それはそうとしてレベルが上がるのは楽しい。

これはゲーマの性だからしょうがないんだよ。


「今回の討伐対象はグランツリー、目安レベルは20。火属性に対して強い耐性を持っている動く木の化け物さ」


「主な攻撃手段は根による地面からの刺突と、とびかかりの質量攻撃だろ」


「こちら側ができる攻撃手段は僕の剣とギメイの【剛力】かな」


うーむ、大型の魔物に対する攻撃手段が乏しい気がするなぁ。

まあ、俺たちもまだレベル20だしな。

銀級の目安まで10レベルくらいある。格上に挑む気持ちで行こう。


グランツリーというレーシングゲームみたいな名前をしている木の魔獣は普段は木に擬態している神山の麓にしかいない特別な魔物種だ。

慎重に【千里眼】で探っていく。


「あーあれか…」


思ったよりも分かりやすかった。

というのも周りの木に比べてかなり大きいからだ。


「よし、行こうかギメイ」


「応」


アランと俺は剣を抜き、アランは直線で、俺は【軽業】を使用し木々を渡りながら行く。


地面からの根の攻撃はアランなら耐えられるが俺はわからないからだ。

最初にアランが敵に気付かれる。

グランツリーに目や口はなく、根や葉によって情報を取得しているからだ。


「足場!奥に二つ!」


「『マ グレンデ ゾルデ アルク』(拡大、圧縮、固定)道となれ!」


アランが剣を振ると体が流れるように前にすすみ、俺が出した足場を経由して一気にツリーに近づく。

【剣舞】にああいう使い方があるのは知らなかった…


「はぁ!」


木の幹ど真ん中に剣が突き刺さる。

だが、魔物とは言っても木は木なのでなんの致命傷にもならない。


これ、木の幹をバッサリ半分ほど切り落とさないといけないのだ。

そのまま抜いた刃で【剣舞】を使ったのだろう、一瞬の間に同じ場所を三回ほど切りつけると、横に退く。


近づかないことには俺も攻撃できないので、【軽業】【剛力】でとびかかりながらアランが切りつけた目印に向かって剣を突き立てる。

筋力Bを【剛力】で上げたのでアランと同じくらいの筋力が出ているはずなのだが…アランがつけた傷に比べるとその三分の一も削れてはいなかった。


「クソ、かってーな」


今さっき水魔法を足場に飛んで行ったアランに根は攻撃を仕掛けられていた。そのことを考えると根や葉が感知しているのは地面の震動というよりも魔力なんじゃないかと思い、薄めの霧を【水魔法】で作ってみる。


おそらくビンゴ。ツリーは霧に向かって根を突き出している。


「アラン!魔力に反応してそうだ!囮を作っておく!」


水球を複数個だし、ツリーの周りを周回させておく。


「『マ グレンデ ゾルデ アルク』(拡大、圧縮、固定)」


そのうえで自分は【軽業】と足場を使いツリーに張り付きに行く。

攻撃手段が根と突進なら幹に張り付いていれば攻撃し放題だからだ。


「ふん!」


木の幹にアランからもらったナイフを突き刺し体を固定する。

振り落とそうと体を揺さぶっているが、【軽業】でバランスが取れるのでそのまま剣で切りつける。


まあ手数で勝負しますか。


アランよりかは一撃のダメージが低いが、攻撃を避けながらではないため、かなり楽に攻撃できる。

ちなみにアランは【剣舞】で根をはじきながら攻撃している。バケモンかよ。


そのあとは突進攻撃が来たが、一度離れて、また同じ流れになってグランツリーは倒せた。


「ふう、グランツリーは討伐証明部分をとるのがめんどくさくてね…」


「幹か…」


「そう、これを斬りきらないといけないんだ…」


「斧持ってきたほうがよかったかもな…」


「同意だよ」


そういうとアランは木こりを始めたので俺は周囲の警戒をしておく。


「この後は飛猿狩りにもどるんだっけか?」


「んーグランツリーは倒せなくはないけどあんまり効率が良くなかったからね…できれば獣系がいいんだが…」


「グランツリーって一体当たりいくらぐらいになるんだ?」


「銀貨1枚ぐらいじゃない?」


「確かにこれは金策向きじゃないな」


木を切り終わったアランがそれを魔道袋に入れた。


「入るんだな…明らかに口のサイズがあっていないのに…」


「空間魔法産だからね…吸い込まれるように入っていくよ、ほら」


そこだけ空間が曲がっているかのようなぐにゃり方をしながら板がでてくる。

しっかし、グランツリーもスライムが消化しているんだろうか?

謎は深まるばかりである。







「んー、ちょっと考えないといけないね」


「そうだな、お世辞にも相性がいいとは言えなかったな」


「まあ、それはそうとしてお疲れ、ギメイ」


「ああ、今日はがっつり疲れたな。あとで風呂いくか…」


「じゃあ換金行ってくるよ」


「おう」


そうやってギルドの受付に向かうアランを横目に周りの人の装備を見る。

これが最近の俺の隠れ趣味なのだ。

大きな斧を持った人もいれば短剣一本のシーフみたいな人もいる。

魔法使いと思われる杖を持つ人はみなローブを身に着けているが、毛皮で作られたものや、宝石が縫い付けられているものなど多岐にわたる。


たまにとんでもないファッションの人がいるが…みな見慣れているのか適度にスルーしている。


「ギメイー」


「ん?何だ?」


呼ばれたので受付に向かうと受付の人が説明してくれる。


「パーティ『針と糸』の皆様にギルドとしましてはステータス確認を推奨します」


「ああ、全然いいですけど…どうしてギルドが?」


「報告されているレベルから考えると最近の『針と糸』の依頼効率は異常ですので…ギルドとしましては冒険者の情報はより正確に把握しておきたい所存です」


「ああ、そういう事なら全然」


レベルが上がってる可能性が高いってことだもんな。


「ではご案内します」





「こ、こちらがアラン様とギメイ様のステータスです」



================


アラン・ハート Lv 21


体力 B

筋力 A

魔力 C

器用 D

知力 D


スキル【剣舞】【超回復】【夢魔法】 

   【覇気】

================




================


ギメイ・アカラサマ Lv 22


体力 D

筋力 B

魔力 C

器用 B

知力 C


スキル【千里眼】【水魔法】【剛力】

   【軽業】【貫通】

================


おお、やったレベルが2も上がってる。

やっぱりアランがレベルが上がりにくいって言っていたのは事実らしいな…

今のところアランのほうが魔物を倒している数などは多いのだが…俺のほうがレベルが上がっている。



しかし【貫通】というスキル…こいつはいい。

今の俺に必要なスキルだ。

クリティカルみたいな概念で、たまに装甲を無視して攻撃が通るらしい。

それは鉄の鎧を紙のように切り裂く…って言われていたがどうかは知らない。

もし本当にそんな攻撃力が手に入ったなら俺の時代が来たといっても過言じゃない。



「ユニークスキルが2つも…」


「あはは…」


「え?」


隣でアランのステータスを確認した受付のおじさんが震えている。

なにユニークスキルって?そういえば【覇気】ってスキルフランさんからは教えてもらってないな…


「【覇気】ってどんなスキルなんだ?」


「さあ?」


「分かってたらユニークスキルじゃないですよ…」


「えってことは…」


「ユニークスキルは前例がないスキルのことなんだ」


「裏手の練習場で待っていてください、サブギルドマスターを呼んできます」


「【夢魔法】の時もおんなじことになったけど…たいしたことなかったからすぐ終わったよ」


「はは…」


何こいつぅ!俺も欲しい!ユニークスキル!二つもあるなら一個俺にくれよ!

【貫通】うれしいよ、嬉しいけどさぁ!


複雑…


言われたのでギルドの裏にある練習場にきた。


「はぁ…」


「ギメイ…元気出してよ」


「クソぉ…俺も欲しい」


「いいじゃないか…【貫通】だって君がすごい欲しがっていただろう?」


「それはそうなんだが…」



「お待たせしました」


「ああ、君がアラン君かい?」


受付のおじさんとメガネのお兄さん…おそらくサブマスターが歩いてくる。


「こんばんは、『針と糸』のアランです」


「早速だが【覇気】の検証と行こうか…あんまり時間がなくてね」


「わかりました」


「じゃあ、一回発動してみよう」


アランが【覇気】を発動したのだろう。

アランの周りに金色のオーラというか空気がまとわりついている。


「すごい…」


「ためしに剣を振ってくれ」


「はい」


剣を振る速度は目に見えて早くなっている。


「少し、武器をお貸しいただいてもいいですか?今なら普段より重い武器が楽に振れそうです」


「ああ、構わないよ。鍵を開けてくれ」


「はい」


武器倉庫の扉があき、アランが中に入る。


でっかい大剣を片手に歩いてくる。

銀貨一枚で武器を試した時のやつよりももっと大きい。


それを今さっきと変わらない感じで振ってやがる…絶対強いスキルじゃん…


「身体強化系かな?」


「そうですね」


「了解した、一旦は大丈夫だ。もしほかに分かったことがあったらギルドに報告してくれ」


「わかりました」


金色のオーラが霧散する。


「あ…」


膝から崩れ落ちたアランを急いで支える。


「大丈夫か?」


「あ、ああ。どっと疲れるな」


「なるほど、使用後には一気に疲れが押し寄せると…」


「けれど強力なスキルですね」


「ああ、いいスキルを手に入れたな」


「ありがとうございます…」


「このまま宿に向かうぞ」


「いや、ギメイちょっとまって」


「なんだ…歩けないレベルならおぶっていこうか?」


「いや違うんだ」


1分ほど呼吸を整えたアランは自分で立ち上がった。


「え?」


「【超回復】は体力も回復できるのさ」


ず、ずりぃ…



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