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冒険者ギルドにて

「あっさりついちまったな……楽過ぎてちょっと違和感だわ」


 二人の後をついていくだけで冒険者ギルドまでついてしまった。何かひと悶着あったりとかそう言うのもまったくない。ノンストップでここまで到着。やっぱり今の俺はついてるぞ。

 モンスターという危険な存在を討伐する仕事をしているだけあって冒険者ギルドはなかなか大きい建物だ。現状この町に入ってから見たもので一番大きいかな。危険な仕事をしてるのに金がないなんて割に合わないもんな。


「おっと、もう二人は入っちまったか。俺も今は部外者だけど入ってもいいんだよな? 最初は冒険者になるために何かあるとは思うが、どちらにせよ入ってみるしかないか」


 流石に、冒険者になる方法までは話していなかったのでこれからは俺が実際に自分の力で進めていかないといけない。

 とはいっても、もうほとんど終わっているようなもんだし、最後の仕上げをするだけみたいなもんだな。とりあえず中に入ってみて話を聞いてみれば一発だろう。問題は初期費用が必要とか言われたりしたらだけど、それは全力で後払いにしてもらおう。つけでというやつだな。


 俺は意気揚々と冒険者ギルドに入った。




 中には防具や武器を持っている人ばかりで、剣、槍、弓、杖と様々な武器を所持している。自分の戦闘スタイルに合わせてあっているものを選択してるんだろうな。この場合俺は何を装備するべきなんだ? 肘以外はいたって普通だからな。護身用に剣でも持ってればいいかな。でも、動くのに邪魔になるし、この世界にあればだけどメリケンサックとか手につける系の武器があってるかも。


 しかし、これだけ冒険者がいればモンスターだって狩りつくしてしまいそうな気もするんだけどな。あの森で遭遇したモンスターなんてスライム一匹だけだぞ。それに、この感じだと冒険者は各町にいるだろうから人数もすさまじそうなんだが……それだけ強力なモンスターも多いってことなのか? いや、そのあたりはおいおいでいいか。まずは、俺が冒険者にならないと話にならん。


「入ってきたのはいいんだが、何処で冒険者になることができるだろうか? あんまり初心者感出したくないし、できればあんまりグダグダしたくないよな。第一印象は肝心だし、気合い入れていこう」


 ひとまず、冒険者たちが列をなしている受付を観察してみるか。

 何かの手続きをする場所で間違いなさそうだけど、いくら何でも冒険者になりに来た人達が作っている列では無いだろう。あまりにも多すぎる。


 


 少し見ていてわかったが、どうやらあの列がクエストの達成を報告して金をもらうところらしい。皆、嬉しそうに金が入った袋を受け取っている。これで、クエストを報告するときには困らないんだけど、今はそれ以前の段階で困ってるからな。


「あなたさっきからずっと立ち尽くしてるけどどうかしたの?」


「え? えーと、俺のこと?」


「そうよ、あなた冒険者ギルドは初めてでしょ? 見ていたらわかるわ。もしかして、冒険者志願?」


 いきなり声を欠けられ少し焦ったものの何とか違和感なく応対できただろうか? それにしても声をかけられるとは……俺目立ってたのか?

 俺に声をかけてきてくれたのは驚いたことに女の子だった。それも飛び切り美少女。燃えるような赤い髪に整った顔立ち。これが元の世界だったら余裕で芸能人だろうな。


「俺って目立ってましたか? 初心者っぽい感じは出さないようにしてたんですけど」


「それなら、もっと装備を整えてこないと無理よ。何も持たないで冒険者ギルドに入ってくるのなんて、冒険者じゃあり得ないもの」


 そう言うことか、完全に盲点だった。

 俺としたことが、そんな当たり前のことで目立ってしまっていたとは、とんだ赤っ恥だな。


「君のいう通り俺は冒険者になりたくてギルドにやってきたんだけど、どうしたらいいかわからなくて困ってたんですよ。申し訳ないけど、冒険者になるにはどうしたらいいんですか?」


「そうだと思った。それと敬語なんて使わなくていいわよ。見たところ歳も同じくらいだろうし、これからは冒険者の仲間になるんだから。あっ、その喋り方が喋りやすいんだったら別にいいんだけど」


「いやちょっと無理してた。ありがとう。俺はテンジ。今日この町に到着してそのまま冒険者ギルドに来たんだ。とにかく金を稼がないと今日の飯代すら無くてな。割とまずい状況なんだ」


「私はレミアよ。まだまだEランク冒険者で駆け出しだけどテンジよりは先輩だからギルドのこともわかるわ。えーと、旅でお金を使い果たしちゃったのね。それなら、余計急がなくちゃ。こっちの受付で登録できるわ。ついてきて」


 こんな可愛い子がこんなに優しいことなんてあり得るのか? 神は人類に女神を降臨させちまっている。おっと、ちゃんとついて行かないと。


「ここで、冒険者登録ができるわ。すぐに終わるから安心して」


「ほんとありがとう。この恩はいつかきっと返すから」


「別にいいのよ。困ったときはお互い様でしょ」


 一生ついて行きます姉貴って感じだな。

 もはやそれ以外の感情が出てこない。とにかく、これで冒険者登録も無事に終わりそうだ。とってもラッキーボーイ。

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