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接敵

 まずは、あの見張りゴブリンどもを処理するところからこのクエストスタートだ。でも、俺がやるとは言ったものの、どうやって倒せばいいんだろうか? 俺は、どちらかといえば、一撃大技系だからな。スピードや、隠密性を重視した場合だと威力がかなり落ちちまうんだよな。威力が落ちるとは言えでも、ゴブリンどもくらいなら一撃なんだろうけど、それをバレないように近づいてやるとなると凄いハードルが上がっちまうよな。どうしたもんだろう?


「どうするのが一番いいと思う? 俺としてはゆっくり近づく以外の作戦はないんだけど、なんかいいのがあればそれを採用していきたいと思ってる」


「テンジが行けるって言ったんでしょ。もう、適当なこと言わないでよ。そうねぇ、テリーヌに俊敏系のバフをかけてもらえば? それか、隠密系のバフもありかもね。どちらにせよ、バフはかけてもらったら感動するわよ」


「嫌だよ。私はこの人の実力を見るために来てるのに、私が手を貸しちゃったらダメだよね? マイナス百点していいんだったら手を貸すけど?」


「いやいや、減点がでかすぎるんだって。これからはパーティとして活動していくんだろ? それなら、協力し合っていくのが当然のことじゃないのか? 俺にも力を貸してくれよ。確かに、俺だけでもできるとは思うけど、成功確率を考えたらバフをもらった方がよくないか?」


「銀貨20枚は捨てがたいかも……わかったよ。特別にバフをかけてあげる。俊敏系の強化でいい? ないよりはマシになるはずだから」


 いやいやながらテリーヌにバフをかけてもらった。

 かけてもらってすぐに効果を実感する。確実に体が軽くなっている。これなら、オリンピックでも連覇できそうだ。今の俺は世界最速の人間といっても過言ではないだろう。もちろん、この世界での話だ。魔王よりも早いだろうな。


「サンキュー。これなら軽くいけそうだ。体が軽いだけにな」


「つまらないこと言ってないで早く行きなさいよ。一応サポートはしてあげるから緊張しないようにね」


「私たちに背中は任せるといい。しっかりとカバーして見せよう」


 俺の粋なジョークも流され、悲壮な背中でゴブリンの元へ向かうことになってしまった。

 洞窟の入口には槍のようなものを装備したゴブリンが2匹、俺という天災が迫っているというのに、これでは無防備と言わざる負えないな。せめて、入口をふさぐくらいのゴブリンを配置していないと話にすらならないな。

 さてと、後ろまで歩いてきたが、後はゆっくり近づいてワンツーエルボーで終わりかな。気が付かれないようにゆっくりいかないとな。ここで、気づかれちまったら、わざわざ歩いて裏を取った意味がなくなってしまう。とはいえ、気が付かれても騒がれる前に仕留めることができれば問題はないよな。俺の後方に控えている二人は俺がバレた時ようにそうするんだろうな。残念ながら今回は二人の出番はないぞ。


「よしっ、この距離ならいけるな」


 聞こえない程度の小声でそう宣言する。


 テリーヌにかけてもらったバフを生かして、瞬時にゴブリンに肉薄した。

 そのまま、振り返る隙も与えずに俺はワンツーエルボーを放った。


 バシュン!! バシュン!!


 ゴブリンの頭部が綺麗に宙を舞った。

 舞うといっても吹き飛んだという表現のほうが正しいだろう。ゴロゴロとどこかへ飛んで転がって行ってしまった。


 頭部をなくしてしまったゴブリンは二匹ともその場に力なく倒れた。


「へぇー、本当にやるじゃないか。私も正直この目で見るまでは半信半疑だったのだがね。これは認めざる負えないかもしれない」


「いや、今のなんて一番威力を抑えてた攻撃だぞ? 大分しょぼかっただろ?」


「レミア、テンジは本気で言ってるのかい? 素手でこれだけできれば普通にCランクやBランクの実力はあるだろうに。それが、威力を抑えてるだって? ますます期待してしまうね」


「調子に乗ってるだけだよ。セラちゃんは簡単に信じすぎ。これも私のバフをかけてもらっての実力なんだから。普段なら今の半分くらいの威力なんでしょ? 私の目は誤魔化せないよ」


 本当に現状でできる最低の威力のエルボーなんだよな。速度も重視していたから威力は今までで一番下だろう。これを大振りの最大火力にしたらどれだけの威力を発揮するのか俺にすら未知数だ。まず間違いなく洞窟の中でそんなことをしたら全員生き埋め間違いないだろうな。


「昨日も見てるからテンジの言ってることは本当よ。今のは多分一番威力が弱かったわ」


「これで信じてくれたか? そもそも、見張りを静かに倒すって言うのに威力を出しすぎたらダメだろ。それくらい俺にもわかるんだ。だから、こんなに威力を抑えたんだからな」


「口では何とでもいえるんだから。そう言うんだったら、ホブゴブリンも一撃で倒せるんだよね?」


「うん? Eランクのモンスターなんだろ? そんなの楽勝だ。ちゃんと見てろよ」


 ホブゴブリンだろうが、ビッグゴブリンだろうが、ゴブリンである以上俺の敵ではない。そもそも、Eランクのモンスターに苦戦をするはずがないんだ。魔王と張る実力者なんだからな俺は。

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